一方女子中等部ではこの日来週に迫った修学旅行の班決めなど行われていた。

行き先は三学期に行ったアンケートでハワイに決まっていてこちらも歴史の解離が進んでいる。

ちなみに本来の歴史で行くはずの京都は木乃香・刹那・亜子などが関西人であることを理由に回避されていて、史実のようにネギのために無理に京都に変更されることはない。

そして現状では３ーＡの修学旅行が襲撃されるような事件は今のところ起きる気配すらない。

そもそも３ーＡの修学旅行襲撃は幾つかの思惑と偶然が重なった事件であり、意外に先の歴史へと与えた影響が大きかったりする。

一つは東西融和を嫌う関西呪術協会の非主流派の一部の過激な者達が天ヶ崎千草などを使い、東西融和の先駆けとなるはずだったネギによる関東魔法協会からの親書を奪う計画を建てたことだろう。

これに関しては実は意外に根が深く西日本の各地で彼らは妖魔などを使い事件を起こすなどして、京都と関西呪術協会本山を手薄にするなどかなり計画性があり賛同者も意外に多かったのだ。

次にこの事件はフェイト・アーウェルンクスが同時期に関西に潜入して日本国内で姫御子と創造主を探していたことも事件を複雑にしている。

実は関西呪術協会の謀叛といえる計画の裏には彼の暗躍が少なからずあり、フェイト自慢の他人に成り代わる魔法でかなり彼らの計画を利用する為に賛同者を集めたりと工作した結果でもあった。

結果としてリョウメンスクナのような危険なものを持ち出したのも関西側の計画というよりは、フェイトがリョウメンスクナの封印に主たる創造主が封印されてるのではと疑った為にリョウメンスクナの封印を解くために暗躍した結果なのである。

正直なところリョウメンスクナなど持ち出しても関東魔法協会は倒せないし関西の主力も倒せないだろう。

だが一部の過激な者達はリョウメンスクナの実態も実力もあまり知らないので関西の主流派を抹殺して自分達が関西の実権を握ることまでは夢見ていた者はいるが。

実際そんなことをしても誰も人が着いてこなければ意味がないので彼らの計画は根本から間違ってはいるとは言えた。

さてこの事件の影響は関西の後始末などいろいろあったが、一番の問題はこの事件で明日菜がフェイトに魔法無効化能力を見られたことにより、後に明日菜の正体を探る為に魔族ヘルマンの襲撃があったことや魔法世界での明日菜の拉致など多大な影響があったことだろう。

これに関しては近右衛門や詠春の失態以外の何物でもなかったし、襲撃してきたヘルマンを生かして帰したネギの甘さものちに彼らを苦しめることになる。


だがこの世界ではフェイトが関西に潜入してないことと横島側から詠春に土偶羅が調査した関西の内部情報などが渡っていることで一部の過激な者は存在するが、謀叛の計画どころか賛同者すら集められずに常に監視されているだけだった。

元々彼らにはフェイトの暗躍なくしては大規模な計画を建てるなど不可能な程度の連中でしかなく、詠春もさほど神経質になるまでもなく押さえ込めている。

明日菜に至っては横島により能力はすでに封印されているし、木乃香などと同じく異空間アジトのメインシステムで常時身辺を警戒しているので修学旅行に行っても何の問題も起きる可能性はなかった。

万が一急遽襲撃などが計画されても最悪の場合は異空間アジトに強制転移させれば済むので、それこそ土偶羅からすればボタン一つポチっと押せば解決出来るレベルだった。


「本物のハワイ楽しみだね！」

「本物の？」

「まっ、前にハワイアンセンターに行ったらしいのよ。」

さて少女達だが、異空間アジトのハワイに何度か行っては居るがあそこは本物のハワイと違うので普通にハワイの修学旅行を楽しみにしている。

ちょっと天然な桜子はつい本物のハワイと口にして話を聞いていた朝倉和美に疑問を抱かれ、円に少し慌ててフォローされていたが。