二年目の春・2
「そういえばさ、最近貴女の肌艶が妙にいいのよね。 どうやってるのかいい加減教えなさいよ。」
その後食事会も後半になると大人は酒が入り初等部の新人なんかは帰り始めていた。
あちこちに顔見せしていたシャークティは暇になったのか横島達のテーブルで刀子と横島を相手に酒を飲んでいるが、ふと以前から気になっていたことを追求していた。
「別にたいしたことはしてないんだってば。」
「嘘つくならもっとマシな嘘つきなさい。 貴女がちょっと無理すると肌が荒れるの知ってるのよ?」
少し酔いが回ったのか若干遠慮がなくなったシャークティは刀子のお肌の弱点を知ってるようで、そこを指摘して更に追求するも真相は横島製の老化防止魔法薬なので言えるはずがない。
少女達はそんな大人の女の会話を興味津々な様子で聞いていたが、同時に数人の少女は意外に嘘が下手な刀子に若干心配そうな表情もしている。
どうやら少し前からシャークティは同じことを何度か聞いていたが、刀子がなんとか誤魔化していたようだった。
「教えてあげたらどうっすか? 多分原因は例の魔法化粧水の試作品っすよね?」
なんとなくこのままでは刀子とシャークティの関係が悪くなるのではと周囲が不安になる中、意外なことを口にしたのは横島だった。
「ちょっと横島君! あれは……って化粧水?」
まさかここで横島が口を挟むとは思わず刀子や少女達は何を言うんだとビックリしていたが、刀子は横島が口にした魔法化粧水という言葉にしばし言葉が止まる。
「まさか貴方の仕業なの? 魔法化粧水って何?」
「回復用の魔法薬ってあるでしょう。 基本的にはあれを流用したもんっすよ。 可能な限り効果を薄くして肉体への影響を最小限にしつつ肌のダメージだけを無くすんです。 実験的なものなんで刀子さんに試してもらってたんっすよ。」
突然の横島の行動に周囲が固まる中、横島はまるでそれが真実かのように嘘を並べていきシャークティを納得させていく。
刀子も途中から横島の意図を見抜きそれに乗る形で話を合わせると、シャークティはそれが嘘だとは気付かぬまま騙されてしまう。
「横島君って符術士じゃないの?」
「生きてく上で役に立ちそうなことは一通り学んでますよ。 魔法薬は独学なんで麻帆良にあるやつとはちょっと違いますけど。 よかったらシャークティさんにも融通しますけど完全に安全が確認された訳でもないんで自己責任っすよ。」
この男は意外に嘘もつけるのかと半ば呆れながらも感心する刀子と少女達だが、魔法化粧水は実は過去に魔鈴が開発して神魔戦争時代に売っていた商品の一つになるので満更嘘でもない。
人の寿命を伸ばす老化防止魔法薬と違いこちらは社会的な問題にあまりならなかったので、それこそ敵味方問わずばら蒔くように売り捌いた商品になる。
効果がほとんどない分だけ副作用の心配もないので結果としてバカ売れしていた。
「なるほど魔法薬なのね。 それだと迷うわね。」
横島の嘘によりシャークティは刀子の肌艶の原因は納得したが、それが魔法薬だと知ると流石にすぐに欲しいと言えなくなる。
これは横島の策であったが、この世界では魔法協会で安全性を認めた魔法薬以外は使いたがらないのが普通だった。
横島の秘密を知る刀子ならばともかくシャークティではいくら友人が使っていると言っても尻込みしてしまう。
シャークティからすると刀子は横島に惚れてるので信用してるように見えるが、魔法関係者にとってよく分からない魔法薬ほど怖いものはないのだ。
「販売はするの?」
「今のところ予定はないっすよ。 騒がれるのは嫌なんで。」
安全性が確認されたら大ヒット間違いなしだとシャークティは元より刀子も思うが、横島はそんなことをしてまで稼ぐ必要はないし過去にも麻帆良カレーなどで儲かる権利を手放してる変人なのでやっぱりかとシャークティは残念そうにする。
それからシャークティはしばらく悩んでる様子だったが、流石に最後まで欲しいと口にすることはなかった。
その後食事会も後半になると大人は酒が入り初等部の新人なんかは帰り始めていた。
あちこちに顔見せしていたシャークティは暇になったのか横島達のテーブルで刀子と横島を相手に酒を飲んでいるが、ふと以前から気になっていたことを追求していた。
「別にたいしたことはしてないんだってば。」
「嘘つくならもっとマシな嘘つきなさい。 貴女がちょっと無理すると肌が荒れるの知ってるのよ?」
少し酔いが回ったのか若干遠慮がなくなったシャークティは刀子のお肌の弱点を知ってるようで、そこを指摘して更に追求するも真相は横島製の老化防止魔法薬なので言えるはずがない。
少女達はそんな大人の女の会話を興味津々な様子で聞いていたが、同時に数人の少女は意外に嘘が下手な刀子に若干心配そうな表情もしている。
どうやら少し前からシャークティは同じことを何度か聞いていたが、刀子がなんとか誤魔化していたようだった。
「教えてあげたらどうっすか? 多分原因は例の魔法化粧水の試作品っすよね?」
なんとなくこのままでは刀子とシャークティの関係が悪くなるのではと周囲が不安になる中、意外なことを口にしたのは横島だった。
「ちょっと横島君! あれは……って化粧水?」
まさかここで横島が口を挟むとは思わず刀子や少女達は何を言うんだとビックリしていたが、刀子は横島が口にした魔法化粧水という言葉にしばし言葉が止まる。
「まさか貴方の仕業なの? 魔法化粧水って何?」
「回復用の魔法薬ってあるでしょう。 基本的にはあれを流用したもんっすよ。 可能な限り効果を薄くして肉体への影響を最小限にしつつ肌のダメージだけを無くすんです。 実験的なものなんで刀子さんに試してもらってたんっすよ。」
突然の横島の行動に周囲が固まる中、横島はまるでそれが真実かのように嘘を並べていきシャークティを納得させていく。
刀子も途中から横島の意図を見抜きそれに乗る形で話を合わせると、シャークティはそれが嘘だとは気付かぬまま騙されてしまう。
「横島君って符術士じゃないの?」
「生きてく上で役に立ちそうなことは一通り学んでますよ。 魔法薬は独学なんで麻帆良にあるやつとはちょっと違いますけど。 よかったらシャークティさんにも融通しますけど完全に安全が確認された訳でもないんで自己責任っすよ。」
この男は意外に嘘もつけるのかと半ば呆れながらも感心する刀子と少女達だが、魔法化粧水は実は過去に魔鈴が開発して神魔戦争時代に売っていた商品の一つになるので満更嘘でもない。
人の寿命を伸ばす老化防止魔法薬と違いこちらは社会的な問題にあまりならなかったので、それこそ敵味方問わずばら蒔くように売り捌いた商品になる。
効果がほとんどない分だけ副作用の心配もないので結果としてバカ売れしていた。
「なるほど魔法薬なのね。 それだと迷うわね。」
横島の嘘によりシャークティは刀子の肌艶の原因は納得したが、それが魔法薬だと知ると流石にすぐに欲しいと言えなくなる。
これは横島の策であったが、この世界では魔法協会で安全性を認めた魔法薬以外は使いたがらないのが普通だった。
横島の秘密を知る刀子ならばともかくシャークティではいくら友人が使っていると言っても尻込みしてしまう。
シャークティからすると刀子は横島に惚れてるので信用してるように見えるが、魔法関係者にとってよく分からない魔法薬ほど怖いものはないのだ。
「販売はするの?」
「今のところ予定はないっすよ。 騒がれるのは嫌なんで。」
安全性が確認されたら大ヒット間違いなしだとシャークティは元より刀子も思うが、横島はそんなことをしてまで稼ぐ必要はないし過去にも麻帆良カレーなどで儲かる権利を手放してる変人なのでやっぱりかとシャークティは残念そうにする。
それからシャークティはしばらく悩んでる様子だったが、流石に最後まで欲しいと口にすることはなかった。