二年目の春・2
「困った人に捕まったわね。」
明石教授が人の話を聞かないジジイの相手をする中、明石教授と一緒に居た刀子が苦笑いを浮かべて横島達の元に歩み寄る。
「誰っすか?」
「あの人は麻帆良大の高杉教授よ。 表では日本史の研究をしていて裏では関東で数少ない符術士なの。 有能だし気さくでいい人なんだけど……。」
随分変わった人だなと横島と少女達は呆気に取られるが、彼は家が代々符術士であり関東に所属する符術士では強力な符も作れる数少ない一人らしい。
ただ関東魔法協会では符術は西洋魔法に比べるとお札の制作技術の難易度の高さからマイナーな魔法の一つでしかなく、今一つ人気がないとのこと。
元々符術は使うのは比較的簡単な反面制作する技術は習得することが難しいことから、先祖代々伝えて来た者など以外だと使い手が増えないようである。
「まあ確かに呪文を丸暗記して練習するだけの西洋魔法と比べると辛いっすね。」
実は刀子は神鳴流として符術も使えるが肝心の符を自作するだけの技術はなく、京都の神鳴流本山から送って貰うか目の前の小山田教授に作って貰っていたらしい。
以前破魔札を横島が少女達に使わせた時に発覚したが、この世界ではお札の種類や性能は横島の世界の人間界より優れているが代わりに量産する技術は確立されてない。
西洋魔法という便利な魔法があるだけに代わりに発達してない技術もそれなりにあるのだ。
「あの教授が話してたお札とは何のことです?」
「ああ、いいんちょ達は知らなかったのですね。 横島さんが以前鍋を温めたりお皿を冷やすお札を作ったことがあるのですよ。 名前は確か温めるのがあつあつ君で冷やすのがひえひえ君でしたか。」
一方肝心の高杉教授は話しても聞かないらしく手足をバタバタとさせているものの結局は明石教授に子供のように引きずられて会場をあとにしていくが、それを見た少女達はあれが大学教授なんだと自分達の大学教授のイメージがガラガラと崩れていた。
ちなみに木乃香達以外の少女は横島の作ったあのお札のことを知らないようで夕映が説明していくが、あのお札に横島は温めるお札のあつあつ君と冷やすお札のひえひえ君という微妙な名前を付けていたりする。
相変わらず命名センスだけは微妙な横島であった。
「ひえひえ君の方は夏場に使ったら良さそう!」
「うちわとか扇風機に貼れば程よい効果で涼めるんじゃない?」
その後横島と少女達はサークルの勧誘をする人々を眺めながらお札の話をしていくが、素人である少女達はお札を日常生活の便利なアイテム程度にしか考えてなく次から次へと普通は考えないような使い道を想像し騒いでいく。
「面白いな。 夏場用に作ってみるか?」
「あの、横島君。 あまり新技術出されると困るんだけど。」
中には靴に貼れば夏場に足が蒸れないなんて言い出す少女もいてもう好き勝手に言いたいことを言っていたが、横島はこの手のアイデアが好きなので割と乗り気なようである。
ただ刀子は放置しておけば技術的ブレイクスルーが起きそうだと感じたようで、それをやると横島が目立ちすぎて困るので横島や少女達を止めていたが。
結局夕映達も止めたことでこの話はとりあえずこの場では収まり、刀子は夕映達を関係者として引き込んで良かったとしみじみと感じる。
目立つ気はないというが放っておくと何かしらの目立つことをしてしまうのが横島という男である。
一人じゃ止めきれないと少し疲れたように改めて感じていた。
明石教授が人の話を聞かないジジイの相手をする中、明石教授と一緒に居た刀子が苦笑いを浮かべて横島達の元に歩み寄る。
「誰っすか?」
「あの人は麻帆良大の高杉教授よ。 表では日本史の研究をしていて裏では関東で数少ない符術士なの。 有能だし気さくでいい人なんだけど……。」
随分変わった人だなと横島と少女達は呆気に取られるが、彼は家が代々符術士であり関東に所属する符術士では強力な符も作れる数少ない一人らしい。
ただ関東魔法協会では符術は西洋魔法に比べるとお札の制作技術の難易度の高さからマイナーな魔法の一つでしかなく、今一つ人気がないとのこと。
元々符術は使うのは比較的簡単な反面制作する技術は習得することが難しいことから、先祖代々伝えて来た者など以外だと使い手が増えないようである。
「まあ確かに呪文を丸暗記して練習するだけの西洋魔法と比べると辛いっすね。」
実は刀子は神鳴流として符術も使えるが肝心の符を自作するだけの技術はなく、京都の神鳴流本山から送って貰うか目の前の小山田教授に作って貰っていたらしい。
以前破魔札を横島が少女達に使わせた時に発覚したが、この世界ではお札の種類や性能は横島の世界の人間界より優れているが代わりに量産する技術は確立されてない。
西洋魔法という便利な魔法があるだけに代わりに発達してない技術もそれなりにあるのだ。
「あの教授が話してたお札とは何のことです?」
「ああ、いいんちょ達は知らなかったのですね。 横島さんが以前鍋を温めたりお皿を冷やすお札を作ったことがあるのですよ。 名前は確か温めるのがあつあつ君で冷やすのがひえひえ君でしたか。」
一方肝心の高杉教授は話しても聞かないらしく手足をバタバタとさせているものの結局は明石教授に子供のように引きずられて会場をあとにしていくが、それを見た少女達はあれが大学教授なんだと自分達の大学教授のイメージがガラガラと崩れていた。
ちなみに木乃香達以外の少女は横島の作ったあのお札のことを知らないようで夕映が説明していくが、あのお札に横島は温めるお札のあつあつ君と冷やすお札のひえひえ君という微妙な名前を付けていたりする。
相変わらず命名センスだけは微妙な横島であった。
「ひえひえ君の方は夏場に使ったら良さそう!」
「うちわとか扇風機に貼れば程よい効果で涼めるんじゃない?」
その後横島と少女達はサークルの勧誘をする人々を眺めながらお札の話をしていくが、素人である少女達はお札を日常生活の便利なアイテム程度にしか考えてなく次から次へと普通は考えないような使い道を想像し騒いでいく。
「面白いな。 夏場用に作ってみるか?」
「あの、横島君。 あまり新技術出されると困るんだけど。」
中には靴に貼れば夏場に足が蒸れないなんて言い出す少女もいてもう好き勝手に言いたいことを言っていたが、横島はこの手のアイデアが好きなので割と乗り気なようである。
ただ刀子は放置しておけば技術的ブレイクスルーが起きそうだと感じたようで、それをやると横島が目立ちすぎて困るので横島や少女達を止めていたが。
結局夕映達も止めたことでこの話はとりあえずこの場では収まり、刀子は夕映達を関係者として引き込んで良かったとしみじみと感じる。
目立つ気はないというが放っておくと何かしらの目立つことをしてしまうのが横島という男である。
一人じゃ止めきれないと少し疲れたように改めて感じていた。