二年目の春・2

「相変わらずモテモテだな。」

さて横島達と豪徳寺達に加えて追加で刀子達を呼んだが、刹那はカラオケ自体が行ったことがないので断っていて刀子はまだ魔法協会の仕事で忙しいらしく今夜は無理らしい。

他には雪広さやかなんかも呼んだらしいが時間が時間なだけに丁寧な断りのメールをもらったようだ。

結局は横島達と豪徳寺達だけでカラオケをすることになったが、麻帆良では比較的モテる部類に入る豪徳寺達であるが流石に中学生とはいえ十一人もの女の子に囲まれてる横島には圧倒されている。

豪徳寺達も中村達也や山下慶一などかなりモテるメンバーが居るが、そもそも女の子に囲まれながら女の子同士が仲がいいのは意外に珍しいので若干不思議そうにも見ていた。

なんというかあまり女の子に囲まれると女の子同士のピリビリとした空気が見えることもあり少し苦手な者も彼らにはいるらしい。


「豪徳寺さん達の方が女子高生や女子大生にモテてるじゃないっすか!?」

「へ~、マスターは私達じゃ不満なわけ?」

「いや、そう言う意味じゃ……。」

ただ豪徳寺達のそんな半ば呆れたような感心したような呟きが聞こえた横島は、当然ながら抗議するように豪徳寺達がモテてる現状をくちにするが言い方が気に入らないらしい美砂を筆頭に何人かの少女はニッコリと笑顔に見えないを見せながら追求を開始する。

相変わらす女性や女の子に責められるのが何より苦手な横島はすぐに慌てて誤魔化そうとするも、流石に付き合いが長いので簡単には誤魔化されない。


「マスター、次は私とデュエットだよ!」

しかし横島の周りではこの程度のことは割とよくあるので、特に問題が大きくなるほどではなく半ば聞き流して笑っている者がほとんどで桜子なんかはちゃっかり横島とデュエットしようと勝手に曲を予約していた。

少女達の中では一際マイペースで天真爛漫な桜子は相変わらす要領がいいらしい。


「モテるって言えば古菲も相当なものよね。」

「でも古菲だし……。」

一方この日珍しく横島達と一緒の古菲は、今夜は横島の奢りだと聞いて注文した料理を何故かタマモと張り合うようにばくばくと食べている。

流石に小さいタマモに勝ち目はないが美味しそうに食べるタマモに触発されたらしく、まるでライバルを見るように張り合い料理を食べていたのだ。

横島に近いメンバーで一番モテるのはやはり千鶴だが、千鶴の追っかけもといストーカーは横島が壊滅させてしまったので現在は格闘系男子にカルト的な人気のある古菲が恐らくクラスで一番モテる女になる。

実は横島自身も少女達が周りを固めてる影響であまりモテてない現状があるように、横島の周囲も横島の彼女だとの噂から表向きあまりモテてない。

本当は料理大会の影響で木乃香なんかは隠れファンが結構居たりするし、夕映とのどかも妹的な存在として大学部近辺では結構人気なのだが。


「確かに彼女は凄いモテるぞ。 俺達なんか彼女と修行するようになってから、毎日だからいったい何人の格闘系サークルの連中に勝負を挑まれたことか。」

ちなみに一部の女子からは古菲は逆ハーレムを作ってると噂され横島と別の意味で有名だった。

ほとんどは恋愛よりもバトルが好きな古菲を知るゆえの冗談であるがごく一部には本気にしてる者も居たりして、そしてそれが男子に伝わり強くなれば古菲と付き合えるとの根も葉もないどころか足や羽まで生えた噂が広まっている。


「まるで一昔前の不良漫画だな。」

「なにそれ?」

「最近はあるのか知らんが一昔前には学校でも街でもケンカばっかりしてる漫画がたくさんあったんだよ。」

結果として豪徳寺達を倒せば古菲と付き合えるとの噂から豪徳寺達は登下校時は元より昼休みまで戦いを挑まれる、横島いわく一昔前の不良漫画のような生活をしてるらしい。

流石に少女達は知らなかったようだが本人達は横島の例えに微妙な表情で笑うしか出来ないようだった。


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