二年目の春・2
「相変わらず凄い情報量ね。 頭が痛くなりそうだわ。」
少女達と楽しい夕食を終えた横島の店のこの日最後の客は刀子だった。
時間的にも客は途絶えており横島は店を閉めて後片付けなどをしながら少し遅い夕食を取る刀子の相手をしているが、刀子は最近横島から貰ったノートパソコンを見ながらこめかみを押さえている。
「全部見るのは無理っすよ。 軽く流し読み程度でも大変っすから。」
昨年の年末から教師と魔法協会の仕事にプラス横島の担当もしている刀子には魔法世界や完全なる世界の情報が渡されていたが、機密保持の観点から近右衛門や刀子など横島の秘密を知る大人には専用のノートパソコンが先日渡されていた。
見た目はこの世界でも一般的な雪広グループ製のごく普通のノートパソコンであるが中身はほとんど別物で、魔法科学を用いて作られた異空間アジト製になる。
無論通常のパソコンとしても使えるがスペックとセキュリティは超鈴音が使用する未来の物を凌駕していて、最大の利点は異空間アジトのメインシステムとの通信が常時可能なことだろう。
この世界の情報に関しては機密度Sクラスも必要に応じて閲覧出来るし、横島の世界に関しても機密度Bランクになる横島の個人情報に関わらない一般的な誰でも見れた情報は閲覧が可能だった。
刀子の場合も以前から負担軽減の意味合いから土偶羅が密かに肩代わり出来る一部の仕事を肩代わりしていたが、今後はこのパソコンでサポートするらしい。
「分かってるんだけどね。」
現時点で刀子がするべきことは実はあまりなくある程度の情報を頭に入れておくだけであるが、それがまあ大変だということだった。
まあ本来刀子の裏の仕事である木乃香を始めとする麻帆良の要人警護の統括は、情報の分析や警護の人員の配置までかなりの部分で土偶羅がサポートしていて全体としては仕事量が減ってはいる。
ただし扱う情報が一国の国家の元首も真っ青なレベルなので精神的な疲労はあまり変わってない。
「どうぞ。 少し楽になりますよ。」
「ありがと。」
知らない方が幸せとも言える情報の数々に少々お疲れの刀子に横島は魔法料理のハーブティを入れていた。
魔法薬ほど効果はないが身体への負担もない魔法のハーブティは、その爽やかな香りからして刀子を癒していく。
正直なところ惚れた弱味が無ければ逃げ出していたかもしれないと刀子はハーブティを飲みながら漠然とだが考える。
仮に相手が武器を持ち剣で戦えと言われるならば相手がどんなに強敵でも戦うが、敵も味方も正義も悪もはっきりしない情報という世界での武器を持たぬ戦いがこれほど辛いとは思わなかったのだろう。
「それにしてもこの子は自分の行動の意味理解してるのかしら?」
「してないと思いますよ。 理解してたら出来ないでしょう。」
そのまま刀子はハーブティでしばらく心を休めていたが、ふと一人の少女の情報を閲覧し以前から感じていた疑問を口にする。
その少女は葉加瀬聡美。
超鈴音の計画の最大の協力者であり、パートナーの少女である。
少女達と楽しい夕食を終えた横島の店のこの日最後の客は刀子だった。
時間的にも客は途絶えており横島は店を閉めて後片付けなどをしながら少し遅い夕食を取る刀子の相手をしているが、刀子は最近横島から貰ったノートパソコンを見ながらこめかみを押さえている。
「全部見るのは無理っすよ。 軽く流し読み程度でも大変っすから。」
昨年の年末から教師と魔法協会の仕事にプラス横島の担当もしている刀子には魔法世界や完全なる世界の情報が渡されていたが、機密保持の観点から近右衛門や刀子など横島の秘密を知る大人には専用のノートパソコンが先日渡されていた。
見た目はこの世界でも一般的な雪広グループ製のごく普通のノートパソコンであるが中身はほとんど別物で、魔法科学を用いて作られた異空間アジト製になる。
無論通常のパソコンとしても使えるがスペックとセキュリティは超鈴音が使用する未来の物を凌駕していて、最大の利点は異空間アジトのメインシステムとの通信が常時可能なことだろう。
この世界の情報に関しては機密度Sクラスも必要に応じて閲覧出来るし、横島の世界に関しても機密度Bランクになる横島の個人情報に関わらない一般的な誰でも見れた情報は閲覧が可能だった。
刀子の場合も以前から負担軽減の意味合いから土偶羅が密かに肩代わり出来る一部の仕事を肩代わりしていたが、今後はこのパソコンでサポートするらしい。
「分かってるんだけどね。」
現時点で刀子がするべきことは実はあまりなくある程度の情報を頭に入れておくだけであるが、それがまあ大変だということだった。
まあ本来刀子の裏の仕事である木乃香を始めとする麻帆良の要人警護の統括は、情報の分析や警護の人員の配置までかなりの部分で土偶羅がサポートしていて全体としては仕事量が減ってはいる。
ただし扱う情報が一国の国家の元首も真っ青なレベルなので精神的な疲労はあまり変わってない。
「どうぞ。 少し楽になりますよ。」
「ありがと。」
知らない方が幸せとも言える情報の数々に少々お疲れの刀子に横島は魔法料理のハーブティを入れていた。
魔法薬ほど効果はないが身体への負担もない魔法のハーブティは、その爽やかな香りからして刀子を癒していく。
正直なところ惚れた弱味が無ければ逃げ出していたかもしれないと刀子はハーブティを飲みながら漠然とだが考える。
仮に相手が武器を持ち剣で戦えと言われるならば相手がどんなに強敵でも戦うが、敵も味方も正義も悪もはっきりしない情報という世界での武器を持たぬ戦いがこれほど辛いとは思わなかったのだろう。
「それにしてもこの子は自分の行動の意味理解してるのかしら?」
「してないと思いますよ。 理解してたら出来ないでしょう。」
そのまま刀子はハーブティでしばらく心を休めていたが、ふと一人の少女の情報を閲覧し以前から感じていた疑問を口にする。
その少女は葉加瀬聡美。
超鈴音の計画の最大の協力者であり、パートナーの少女である。