そのまま他の少女達も同じ要領で魔法を覚えさせていくと、覚える時間の早い遅いはあるがタマモをふくめた全員があっさりと初歩の魔法を使えるようになる。

刀子はあまりにも早く覚えることが出来た非常識な横島の方法に今までの苦労を思い出し何とも言えない表情を浮かべていたが、今回の方法はどのみち横島にしか出来ない方法なのであまり神経質に考える必要はないかと頭を切り替えていた。


「これで私も魔法使いだ！」

「今のところライターみたいな火しか出せないけどね。」

一方の少女達は思っていた以上に簡単に魔法が使えるようになったことに驚きつつも、ようやく魔法を使えるようになった喜びを噛み締めている。

横島達がいずれ使えるようになるからと言うので練習はしていたが、正直言えば頭の片隅では本当なのかと疑う気持ちもなかった訳ではない。

刀子にしろ高畑にしろ横島にしろ、少女達から見ると超人も真っ青な人達なので心の何処かでは現実として受け止めきれてなかった部分もあるのだ。


「今の方法だともっといろんな魔法を覚えれるのかしら？」

「初歩的な魔法ならな。 ただ魔法は今までみんなが使ってなかった力を使うから多用はダメだぞ。 当分はまたゆっくり魔法の練習しつつ気と魔力を使うことをしっかり覚えるのが先だな。」

今まで魔法に興味が薄かった少女達もようやく魔法に興味を持ち今後の行方に好奇心を疼かせるが、横島はまた地道な練習に戻すつもりらしく少女達をガッカリさせてしまう。

ぶっちゃけ横島ならば今の少女達でもすぐに一般的な同年代の魔法使い程度には成長させられるが、自身の経験として急激な成長には思うところがあるらしく成長させる気はない。


「それは残念ですね。」

「三ヶ月で魔法を覚えただけでも一般的に見ると十分よ。 少なくとも恥はかかないわ。 魔法も気も本来は肉体や精神を鍛えつつ時間をかけて学んでいくものなのよ。」

とりあえず少女達は魔法で空を飛びたいというのがあるらしく期待していたようだが、空を飛ぶのは常時魔法を発動させ続けることやコントロールしなくてはならないので初心者にはまだ難しい。

この先も一つ一つレベルを上げていくというまるでゲームか漫画のような流れに先の長さを改めて思い知らされていた。


「次は気の使い方でも始めるか？ 本来はみんなが魔力って言う東洋で言う外気と、単純に気って言ってる東洋の内気の双方が扱えるのが理想なんだよ。 外気と内気に陰と陽の関係とか術や魔法の基礎を修行していけば魔法自体はいつでも覚えれるからな。」

ちなみに横島は小竜姫や九尾の前世の知識があるのでどちらかと言えば東洋系の術が得意である。

その為この世界の西洋魔法があまり重要視してない気についても少女達に基礎を教えるつもりらしい。


「そうね、私もその方がいいと思うわ。 横島君に任せると伝説に登場するような仙道でも始めそうで怖いけど。」

「仙道とは仙人になる修行ですよね。 いくら横島さんでも流石に……。」

「仙術も自分で修行した訳じゃないが一応使えるぞ。 仙道は知ってるけど生半可な覚悟じゃ出来ないからお勧めしないけどな。 不老不死が欲しいなら刀子さんにあげてる魔法薬で十分だし。」

そのまま横島が語った何気ない方針から刀子が冗談混じりに東洋系の最高峰とも言われこの世界ではすでに失伝している仙道の話をすると、横島は魔法が使えて嬉しいのかテンションが高いタマモと遊びながら一応と前置きして自身が仙人とも言える術まで使えるともののついでのように暴露する。

そのあまりにどうでもいいような態度での暴露で刀子と夕映などの発言の重要性を理解する少女は絶句し、理解してないノー天気組はそれって凄いのと言わんばかりに首を傾げていた。