二年目の春・2
「そろそろ桜も散り始めちまったな。」
同じ頃横島の店では前日までの賑やかな春休み中とは違い、静かな店の雰囲気に合った店になっていた。
お客さんは近所の住人などそれなりに入っているものの、流石に騒ぐ学生が居ないと静かである。
入り口のドアが開いた隙に僅かに入って来た春の風と共に一枚の桜の花びらが舞い込むと、タマモが駆け寄り花びらを大事そうに拾い上げると横島に見せに来ていた。
「そうだ、散った花びら集めて押し花でも作るか。」
「おしばな?」
「こういうやつだよ。 花を乾燥させて保存するんだ。 あとで散歩に行った時に散って落ちた桜の花を拾ってくるといいぞ。」
綺麗な桜色の花びらに横島は押し花でも作ろうかと告げるもタマモは押し花を知らないらしく、ふと昨年の開店祝いで作った押し花があることを思いだしタマモに見せてやる。
去年のは木乃香達や常連の子達にあげたのでほとんど残ってなかったが、それでも幾つか残っていたらしい。
「おはなのにおいがする。」
始めてみる押し花にとりあえず匂いをクンクンと嗅いでみるタマモは、本物の花の匂いがする押し花をすぐに気に入り桜の花びらで押し花を作りたいと言い出す。
横島も正直さほど詳しい訳ではないが、なんとなく散った花をゴミとして処分するのも寂しく感じるのでタマモが散歩のついでに集めて来たら作ることにする。
「どうせなら花の塩漬けも仕込んでみたいな。 ただあれって八重桜だったか。」
そのまま横島はついでに桜の花びらの塩漬けも自家製を仕込みたいと考えるが、記憶にある知識では桜の花の塩漬けはソメイヨシノではないので仕込むならば別途仕入れる必要があった。
正直なところ普通に料理する分にはそこまでする必要はないのだが、横島の個人的な興味と本来の魔法料理は一つ一つの食材の仕込みが大切だという事情も多少ある。
そもそも横島は自身が料理を初めてまだ一年足らずであり、現状でも受け継いだ知識や技術や経験を完全に使いこなしてるとは言えない。
ある程度複数ある別々の知識や技術や経験を統合するのはある程度済んでいるが、それでも実際に作ってみてこそ得られるモノもあるのが現実だった。
まあ横島がそんな小難しいことを考えてる訳ではないが、現状で料理は人としての枠を大きくはみ出した横島が数少ない本気で取り組める事なのである。
かつてミニ四駆にハマったように元々凝り性な性格もある横島は、相変わらず料理をすることを楽しんでいた。
「新しいスイーツでも考えるか。」
尤も横島が料理にハマる理由には、料理をして以降女の子の評判がいいという横島らしい理由もあったが。
横島の場合は麻帆良に住み着いて以降、かつての自分からは信じられないほど女の子に好感を持たれてる訳は料理が大きいと自分では考えてる節がある。
ぶっちゃけ一歩間違えれば昔のような立場に戻るのではとの恐怖は今でも持っていた。
そういう意味では身近な少女達に嫌われないようにと横島なりに真剣だったりもする。
同じ頃横島の店では前日までの賑やかな春休み中とは違い、静かな店の雰囲気に合った店になっていた。
お客さんは近所の住人などそれなりに入っているものの、流石に騒ぐ学生が居ないと静かである。
入り口のドアが開いた隙に僅かに入って来た春の風と共に一枚の桜の花びらが舞い込むと、タマモが駆け寄り花びらを大事そうに拾い上げると横島に見せに来ていた。
「そうだ、散った花びら集めて押し花でも作るか。」
「おしばな?」
「こういうやつだよ。 花を乾燥させて保存するんだ。 あとで散歩に行った時に散って落ちた桜の花を拾ってくるといいぞ。」
綺麗な桜色の花びらに横島は押し花でも作ろうかと告げるもタマモは押し花を知らないらしく、ふと昨年の開店祝いで作った押し花があることを思いだしタマモに見せてやる。
去年のは木乃香達や常連の子達にあげたのでほとんど残ってなかったが、それでも幾つか残っていたらしい。
「おはなのにおいがする。」
始めてみる押し花にとりあえず匂いをクンクンと嗅いでみるタマモは、本物の花の匂いがする押し花をすぐに気に入り桜の花びらで押し花を作りたいと言い出す。
横島も正直さほど詳しい訳ではないが、なんとなく散った花をゴミとして処分するのも寂しく感じるのでタマモが散歩のついでに集めて来たら作ることにする。
「どうせなら花の塩漬けも仕込んでみたいな。 ただあれって八重桜だったか。」
そのまま横島はついでに桜の花びらの塩漬けも自家製を仕込みたいと考えるが、記憶にある知識では桜の花の塩漬けはソメイヨシノではないので仕込むならば別途仕入れる必要があった。
正直なところ普通に料理する分にはそこまでする必要はないのだが、横島の個人的な興味と本来の魔法料理は一つ一つの食材の仕込みが大切だという事情も多少ある。
そもそも横島は自身が料理を初めてまだ一年足らずであり、現状でも受け継いだ知識や技術や経験を完全に使いこなしてるとは言えない。
ある程度複数ある別々の知識や技術や経験を統合するのはある程度済んでいるが、それでも実際に作ってみてこそ得られるモノもあるのが現実だった。
まあ横島がそんな小難しいことを考えてる訳ではないが、現状で料理は人としての枠を大きくはみ出した横島が数少ない本気で取り組める事なのである。
かつてミニ四駆にハマったように元々凝り性な性格もある横島は、相変わらず料理をすることを楽しんでいた。
「新しいスイーツでも考えるか。」
尤も横島が料理にハマる理由には、料理をして以降女の子の評判がいいという横島らしい理由もあったが。
横島の場合は麻帆良に住み着いて以降、かつての自分からは信じられないほど女の子に好感を持たれてる訳は料理が大きいと自分では考えてる節がある。
ぶっちゃけ一歩間違えれば昔のような立場に戻るのではとの恐怖は今でも持っていた。
そういう意味では身近な少女達に嫌われないようにと横島なりに真剣だったりもする。