二年目の春・2

雪広邸での観桜会が終わり翌日の日曜を過ぎると春休みも終わり新年度が始まろうとしていた。

木乃香達二年A組はそのまま三年A組となり担任は引き続き高畑である。

超鈴音の歴史のように本来ならば担任は高畑からネギに移るはずだったのだろうが、ネギが居なく魔法世界絡みの仕事から手を引いている高畑が担任を外れる必要は全くない。

加えてネギが麻帆良に来た場合には起きたかもしれない桜通りの吸血鬼騒動は、すでにエヴァの呪いが解けてることにより起きるはずがなかった。


「身体測定ですか。」

「那波さんほどとは言わないけど……。」

さてそんな新年度の始業式を終えたこの日は身体測定がある。

微妙な年頃のせいか身体測定と聞き表情を曇らせる少女が何人か居て、夕映やのどかも本来ならばあまり気にしない身体測定に微妙な様子であった。

特に千鶴やあやかのスタイルと自分を比べるとため息しか出ないらしいが、実は彼女達も本来の歴史より若干身長が高く胸も僅かだが大きいが流石に気付くはずがない。

正直この件は横島ですら知らないことであり、一年近く横島の料理をほぼ毎日食べ続けているメンバーは地味に成果が出ている。

自分の食事はともかく少女達の食事には美味しくてバランスの取れた食事を心掛けてるためだろう。

加えて木乃香達に関しては横島やタマモのような霊格の高い存在と一緒に居る時間も長いので霊的な影響もない訳ではない。

知らず知らずのうちに横島やタマモの霊力を浴びている少女達は僅かではあるものの魂や身体が活性化してもいる。


ただ身近な友人では明日菜も意外とスタイルがいいし、桜子なんかは胸が中学生にしては大きい。

あの胸で抱きつかれるんだから横島も悪い気はしないのだろうと、変に納得出来てしまう。


「ねえ、胸が大きくなる魔法とか魔法の薬ってないのかな?」

そんな成長が早い友人達を少し羨ましげに見つめている夕映とのどかであるが、同じく千鶴や桜子が羨ましいらしい美砂が魔法でなんとかならないのかと思ったらしく二人に声をかけてくる。


「美砂さんは十分あるじゃないですか。」

「中途半端なのよね。 それにマスターってどっちかって言えば大きい方を見てるような……。」

周囲の魔法を知らないクラスメートには聞かれてはまずいので耳元でないしょ話のように囁く美砂に、胸元の谷間が出来てるのが間近で見えるのどかは思わず必要ないのではと答えるも美砂は不満があるらしい。

ぶっちゃけ夕映やのどかからするとそれは贅沢だとしか思えないが、美砂が口にした魔法を頼る方法には興味がある。


「老化を止める薬があるくらいですからね。 豊胸薬もあってもおかしくないとは思いますが。」

しかも美砂が横島は巨乳好きではとの疑念を口にすると、のどかは顔を真っ赤にしつつも自分の胸元を見てしまう。

一方の夕映は夕映で別に胸が大きくなったからと言ってどうする訳でもないのだけれどと、誰に聞かせる訳でもなく頭の中で言い訳をしつつ横島ならば豊胸薬の類いも持ってるのではと口にした。

ただここで問題なのは男性である横島に豊胸薬が欲しいと言うこと自体、少女達にとっては高いハードルだということだろう。


「恐らく私達の世界には効果が怪しい物以外はないと思うです。 もしあれば魔法使いは巨乳ばっかりになりそうですから。」

流石に横島に豊胸薬が欲しいとは言いにくい美砂はエヴァや刀子に聞いてみようかと口にするも、夕映は現実的な視点からその可能性をほぼ否定する。



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