二年目の春・2

その後庭園での観桜会が始まるが、招待客は相変わらず多く二百人は居るようである。

食事はバイキング形式でありお花見らしい敷物の他にも野外にも関わらず椅子とテーブルが用意されていて、見た感じはお花見というよりは先程明日菜が指摘したようにガーデンパーティのような印象があった。

お花見といえば人混みが当たり前の庶民ならば、初めての優雅なお花見に少しばかり気後れしそうな雰囲気でもあるが。


「どうも、お世話になってます。」

そんなお花見であるが横島は当然ながら挨拶回りをしていた。

あまり堅苦しい雰囲気ではないが当然ながら最低限の挨拶は必要であり、横島を含めた大人達は挨拶回りをして酒を酌み交わしている。

ただ今回の違うところは横島のせいで雪広グループと関係が深い夕映とのどかも横島の挨拶回りに同行していたし、明日菜と木乃香も横島とは別だが昔馴染みの人達に挨拶をしにいっていたことか。

夕映とのどかに関しては雪広グループ内では結構有名なので横島と同様かそれ以上に、この機会に話をしたいと考えてる人が予想以上に多いらしい。

ちなみにのどかは初対面のお偉いさんが多いことに少しばかり人見知りを発揮してしまい、初々しい態度になったことで逆に周囲の好感度を上げて居たりもするが。


「みんな楽しんでる?」

「はい! とっても素敵なお花見です!」

一方結果として残されたタマモとさよと美砂達は気楽な様子で料理と桜を楽しんでいたが、そこへあやかの姉であるさやかが顔を出していた。

この日も新年会同様に雪広家の人は招いた招待客の人達に積極的に声をかけて回っていて、あまり知り合いが少ないさよや美砂達のことも気にかけているようである。


「庭に桜もあるなんていいですね。」

「うちには春夏秋冬、季節ごとに楽しめる花をいろいろ植えてるのよ。」

本当にここは日本なのかと確認したくなるほど雪広邸の庭園は広く美しい。

しかも都会の喧騒もなく風が吹き抜け木々の枝が揺れる音なども聞こえるほどなのだ。

花見会場の賑やかな雰囲気もいいがこうして人混みとは無縁な空間でゆっくりとお花見するのも悪くはなく、これこそがお金持ちの贅沢なのかなと美砂達は思うらしい。


「おうちでまいにちおさんぽができるね!」

そしてタマモであるが彼女は膝の上に乗せてるハニワ兵に時々こっそりと料理を食べさせつつ、自身も美味しそうに料理を頬張っていた。

そんなタマモ的には雪広邸は家の庭でお散歩出来ることが羨ましいというか凄いと思うらしく、まるで画期的な発見をしたように驚き凄いと褒め称えている。

お散歩好きなタマモとしては毎日で散歩出来るのが贅沢のように感じるようであるし、元々みんなで一緒に何かするのが好きなだけに基本的にタマモは車にしろ家にしろ大きいものが好きなのだ。

もちろん家に関しては自宅が一番好きであるが。




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