二年目の春・2
そのまま屋台は盛況なまま時間は過ぎていき、いつの間にか祭り会場では照明の明かりが灯されていた。
ライトアップされている桜は夜の闇に映えるように美しく、麻帆良らしい個性豊かな屋台の数々の明かりが祭りらしさを一層と引き出している。
隣接する特設ステージでは夜になりテンションが上がった学生達が楽しげに騒いでいるが、それもまた一つのBGMとして桜の景色に溶け込んでいく。
「寒くない? 風邪引くとダメだからもう一枚着ようね。」
そして麻帆良亭の屋台に関してだが千食分の食材も残り僅かとなり、木乃香達と手伝いをしていた主催サークルのメンバーは一足先に仕事を終えていた。
朝から途切れることがなかった行列もすでに残り少なくなっていて、屋台にはすでに《完売ありがとうございました。》という看板を掲げている。
およそ八時間はがっつりと働いた一同は滅多にないような忙しさも相まって相応に疲れの色が見てとれるが、同時にやりきったという充実感もあるようだった。
「うん!」
そんな中でこの時間でもまだ元気なのはタマモであり、流石に木乃香達とさよは疲れたようで少し休みたいとのことなので同じくまだ体力がある明日菜と二人で少しだけ祭り会場を見物しに出掛けていた。
タマモもまたこの日はお昼寝もしないで頑張っていたが、楽しすぎて疲労は感じてないようでもある。
少し肌寒くなって来たので上着にと一枚服を着せて貰うと、明日菜と手を繋いで世界樹前広場の祭り会場をぶらぶらと見物していく。
「あれだけ混んでたのにまだ人でいっぱいね。」
今日一日で見飽きたほどたくさんの人を相手にして来た明日菜は、日も暮れたこの時間になってもまだ一向に減らない人混みに対して少し呆れたような口調で愚痴のように呟いていた。
別に人混みが嫌いだとかそんなことはないが、一日中行列に急かされるような仕事をしていただけに人混みはもういいやという心境になるらしい。
「あすなちゃん、おばけやしきがあるよ!」
「本物のお化けは居ないわよ。 それでもいいなら入ってみる?」
特に目的もないので人の流れにのるようにぶらぶらする二人だが、夕食前なので買い食いは控えさせていた。
尤もタマモは相変わらず顔見知りや友達に会うと物を貰ったりするので、全く何も食べてない訳ではないが。
そんなタマモが興味を示したのは大学部のオカルトサークルが運営するお化け屋敷だった。
普通は怖いか怖くないかなど考えて入るお化け屋敷だが、明日菜は本物は居ないということを第一に説明する。
そもそもタマモは怖いもの見たさでお化け屋敷に入りたいのではなくお化けに会いたいだけなのだ。
「おばけさんいないの?」
「お化け屋敷はお化けのようなフリしてびっくりさせる場所なのよ。 だから本物のお化けは居ないわね。」
明らかに残念そうに本当にお化けが居ないのかと尋ねるタマモに、明日菜はお化け屋敷について説明するとタマモは思っていたのと違ったからかお化け屋敷に入りたいと言わなくなってしまった。
実はタマモはさよの影響でお化けは怖いものだという認識はある程度あるものの、お化けと幽霊が同じ意味だという認識はない。
さよが時々お化けを怖がるがタマモ自身は見たことなかったので見てみたかったのだ。
結局二人はお化け屋敷をスルーして花見見物を続けることになる。
ライトアップされている桜は夜の闇に映えるように美しく、麻帆良らしい個性豊かな屋台の数々の明かりが祭りらしさを一層と引き出している。
隣接する特設ステージでは夜になりテンションが上がった学生達が楽しげに騒いでいるが、それもまた一つのBGMとして桜の景色に溶け込んでいく。
「寒くない? 風邪引くとダメだからもう一枚着ようね。」
そして麻帆良亭の屋台に関してだが千食分の食材も残り僅かとなり、木乃香達と手伝いをしていた主催サークルのメンバーは一足先に仕事を終えていた。
朝から途切れることがなかった行列もすでに残り少なくなっていて、屋台にはすでに《完売ありがとうございました。》という看板を掲げている。
およそ八時間はがっつりと働いた一同は滅多にないような忙しさも相まって相応に疲れの色が見てとれるが、同時にやりきったという充実感もあるようだった。
「うん!」
そんな中でこの時間でもまだ元気なのはタマモであり、流石に木乃香達とさよは疲れたようで少し休みたいとのことなので同じくまだ体力がある明日菜と二人で少しだけ祭り会場を見物しに出掛けていた。
タマモもまたこの日はお昼寝もしないで頑張っていたが、楽しすぎて疲労は感じてないようでもある。
少し肌寒くなって来たので上着にと一枚服を着せて貰うと、明日菜と手を繋いで世界樹前広場の祭り会場をぶらぶらと見物していく。
「あれだけ混んでたのにまだ人でいっぱいね。」
今日一日で見飽きたほどたくさんの人を相手にして来た明日菜は、日も暮れたこの時間になってもまだ一向に減らない人混みに対して少し呆れたような口調で愚痴のように呟いていた。
別に人混みが嫌いだとかそんなことはないが、一日中行列に急かされるような仕事をしていただけに人混みはもういいやという心境になるらしい。
「あすなちゃん、おばけやしきがあるよ!」
「本物のお化けは居ないわよ。 それでもいいなら入ってみる?」
特に目的もないので人の流れにのるようにぶらぶらする二人だが、夕食前なので買い食いは控えさせていた。
尤もタマモは相変わらず顔見知りや友達に会うと物を貰ったりするので、全く何も食べてない訳ではないが。
そんなタマモが興味を示したのは大学部のオカルトサークルが運営するお化け屋敷だった。
普通は怖いか怖くないかなど考えて入るお化け屋敷だが、明日菜は本物は居ないということを第一に説明する。
そもそもタマモは怖いもの見たさでお化け屋敷に入りたいのではなくお化けに会いたいだけなのだ。
「おばけさんいないの?」
「お化け屋敷はお化けのようなフリしてびっくりさせる場所なのよ。 だから本物のお化けは居ないわね。」
明らかに残念そうに本当にお化けが居ないのかと尋ねるタマモに、明日菜はお化け屋敷について説明するとタマモは思っていたのと違ったからかお化け屋敷に入りたいと言わなくなってしまった。
実はタマモはさよの影響でお化けは怖いものだという認識はある程度あるものの、お化けと幽霊が同じ意味だという認識はない。
さよが時々お化けを怖がるがタマモ自身は見たことなかったので見てみたかったのだ。
結局二人はお化け屋敷をスルーして花見見物を続けることになる。