二年目の春・2
「確かに美味い。 しかし一日で試作品を作るとはね。」
そしてこの日の夜になると横島の店には麻帆良カレーの事務局の人が集まっていた。
最終的にカレーおでんはあやかの賛成を得て三種類の試作品を完成させて急遽事務局の人間に試食してもらうことになったのだ。
「一番はカレーの味を押さえてます。 二番は若者向けで、三番は酒飲み向けっすね。」
横島が麻帆良カレーの屋台に来て新メニューを提案したという件は昨日のうちに事務局に伝わっていた。
日頃は夕映とのどかに任せっきりで会議にすらほとんど顔を出さない横島だが、麻帆良カレーの開発者であることに変わりはないし横島があやかを筆頭に雪広家と親しいのは周知の事実である。
正直なところすでに始まっている春祭りで急に新メニューを増やすなど事務局としては迷惑とも言えるが、横島本人に自覚はなくとも横島の発言権は事務局の幹部を凌駕するのが現実だった。
「まさか、コンビニのおでんを使うとは……。」
一方の横島はダメ元程度の認識での提案でしかなく、あやかとしても無理に押し通す気はない。
ただしせっかく横島がやる気になったのだから今回の祭りでは無理でも、何かしらのイベントなり商品開発で使えないかとは思っているが。
更に夕映とのどかの二人なんかは事務局の面々が日頃から大変なのを理解しているので若干申し訳なさそうでもあるが、横島の厄介なところは思い付きの割に提案が現実可能であることだろうと二人は密かに思う。
「これコンビニで期間限定で出したら面白そうだな。」
「どうしようか? やってやれないこともないだけに悩むな。」
横島が久しぶりに新メニュー開発ということで事務局の人間も期待と不安が入り交じっていたようだが、コンビニのおでんの流用というお手軽な物には驚きが大きいようだった。
麻帆良カレーの前例もあり本格派の料理を作るのだろうと思われていたことが原因だろうが。
「とりあえず二日ほど試験的に販売してみますか? 桜もまだほとんど咲いてないので客足はいまいちですし。」
そのまま事務局の人間と横島達はカレーおでんをどうするか話し合うが、最終的に明日と明後日の二日ほど試験的に販売してみることが決まる。
カレー粉は横島が調合するが他は雪広グループのコンビニおでんをそのまま流用出来るので仕入れも楽だし、何より調理が簡単だということが試験的な販売を後押ししていた。
春祭りは昨日開幕したが相変わらず気温が上がらず桜の開花予想日を過ぎても開花宣言が出されず、麻帆良の桜は日当たりがいい場所でようやくぽつぽつと咲き始めた程度なのだ。
春休みということもあり祭り会場はそれなりに人出はあるものの、はっきりいえばもう少し桜が咲かないうちは暇らしい。
準備も調理も手間がかからない以上は、あやかの顔を立てて販売するくらいの柔軟性は事務局の人間にはある。
それに仮に売れ行きが芳しくなくても損失は調理した廃棄分くらいなのでたいしたことはなく、当たれば儲けものだとの考えもあった。
実は麻帆良カレー事務局の人間には雪広グループの系列の食品会社から出向してる人材が何人か居て、この手の商品開発では当たらないことがさほど珍しいことではないのを知っていることも大きい。
「売るなら二番の若者向けかな? やはりメインの客層だからね。」
「個人的には三番にうどんを入れて食いたい。」
「いっそ二番と三番の両方やるか? 調理する手間はたいして変わらんし。」
その後横島は作り方と味をプレゼンしたあとは基本的に口を挟まずに、細々としたことは事務局の人間とあやかと夕映とのどかで決めていく。
このカレー味のおでんが当たるかは誰にも分からないが、準備も調理も簡単で美味しいだけに期待されている部分もある。
最後に販売するメニューが味や具材が若者向けの物と酒飲み向けの物の二種類販売されることが決まるが、これはどうせ試すなら選択肢を増やした方がいいだろうとの判断からであった。
そしてこの日の夜になると横島の店には麻帆良カレーの事務局の人が集まっていた。
最終的にカレーおでんはあやかの賛成を得て三種類の試作品を完成させて急遽事務局の人間に試食してもらうことになったのだ。
「一番はカレーの味を押さえてます。 二番は若者向けで、三番は酒飲み向けっすね。」
横島が麻帆良カレーの屋台に来て新メニューを提案したという件は昨日のうちに事務局に伝わっていた。
日頃は夕映とのどかに任せっきりで会議にすらほとんど顔を出さない横島だが、麻帆良カレーの開発者であることに変わりはないし横島があやかを筆頭に雪広家と親しいのは周知の事実である。
正直なところすでに始まっている春祭りで急に新メニューを増やすなど事務局としては迷惑とも言えるが、横島本人に自覚はなくとも横島の発言権は事務局の幹部を凌駕するのが現実だった。
「まさか、コンビニのおでんを使うとは……。」
一方の横島はダメ元程度の認識での提案でしかなく、あやかとしても無理に押し通す気はない。
ただしせっかく横島がやる気になったのだから今回の祭りでは無理でも、何かしらのイベントなり商品開発で使えないかとは思っているが。
更に夕映とのどかの二人なんかは事務局の面々が日頃から大変なのを理解しているので若干申し訳なさそうでもあるが、横島の厄介なところは思い付きの割に提案が現実可能であることだろうと二人は密かに思う。
「これコンビニで期間限定で出したら面白そうだな。」
「どうしようか? やってやれないこともないだけに悩むな。」
横島が久しぶりに新メニュー開発ということで事務局の人間も期待と不安が入り交じっていたようだが、コンビニのおでんの流用というお手軽な物には驚きが大きいようだった。
麻帆良カレーの前例もあり本格派の料理を作るのだろうと思われていたことが原因だろうが。
「とりあえず二日ほど試験的に販売してみますか? 桜もまだほとんど咲いてないので客足はいまいちですし。」
そのまま事務局の人間と横島達はカレーおでんをどうするか話し合うが、最終的に明日と明後日の二日ほど試験的に販売してみることが決まる。
カレー粉は横島が調合するが他は雪広グループのコンビニおでんをそのまま流用出来るので仕入れも楽だし、何より調理が簡単だということが試験的な販売を後押ししていた。
春祭りは昨日開幕したが相変わらず気温が上がらず桜の開花予想日を過ぎても開花宣言が出されず、麻帆良の桜は日当たりがいい場所でようやくぽつぽつと咲き始めた程度なのだ。
春休みということもあり祭り会場はそれなりに人出はあるものの、はっきりいえばもう少し桜が咲かないうちは暇らしい。
準備も調理も手間がかからない以上は、あやかの顔を立てて販売するくらいの柔軟性は事務局の人間にはある。
それに仮に売れ行きが芳しくなくても損失は調理した廃棄分くらいなのでたいしたことはなく、当たれば儲けものだとの考えもあった。
実は麻帆良カレー事務局の人間には雪広グループの系列の食品会社から出向してる人材が何人か居て、この手の商品開発では当たらないことがさほど珍しいことではないのを知っていることも大きい。
「売るなら二番の若者向けかな? やはりメインの客層だからね。」
「個人的には三番にうどんを入れて食いたい。」
「いっそ二番と三番の両方やるか? 調理する手間はたいして変わらんし。」
その後横島は作り方と味をプレゼンしたあとは基本的に口を挟まずに、細々としたことは事務局の人間とあやかと夕映とのどかで決めていく。
このカレー味のおでんが当たるかは誰にも分からないが、準備も調理も簡単で美味しいだけに期待されている部分もある。
最後に販売するメニューが味や具材が若者向けの物と酒飲み向けの物の二種類販売されることが決まるが、これはどうせ試すなら選択肢を増やした方がいいだろうとの判断からであった。