麻帆良祭への道
それから一時間後、急遽呼び出された高畑が近右衛門の元を訪れていた
「これが君の望んだ結果か?」
いつになく険しい表情の近右衛門は、言葉少なく本国穏健派からの文章を高畑に見せる
その態度はいつもの飄々とした姿ではなく、高畑が始めて見るほど緊張感が溢れていた
恐る恐る渡された文章に目を通す高畑だったが、その内容に愕然としてしまう
「最早問題はネギ君の問題では済まされまい。 その提案はすでに各国魔法協会に内々に打診されておるじゃろう。 それに内容からすると本国の中間派や過激派にも情報が漏れて動いたのかもしれん」
書類を手に震えるような高畑に近右衛門は感情を押し殺したような口調で語るが、高畑は何も答えない
いや答えられるはずがなかった
「罠だと分かっていても各国魔法協会はその提案に乗るじゃろう。 君はこの件をどう収めるつもりじゃ?」
近右衛門は冷静に語りつつ高畑の意見や考えを問うのだが、こんな事態を想定してない高畑は答えなど持ち合わせてないのだ
「ワシは以前言ったはずじゃがな…… ネギ君はあまりに危険だと。 麻帆良の仲間や過去を忘れようやく幸せになったあの子をも危険に巻き込んでまでネギ君が大切か?」
「僕が……、僕が命を賭けて守ります。 ネギ君も明日菜ちゃんも麻帆良も……」
ずっと無言だった高畑の始めての言葉は、ネギも明日菜も麻帆良も全部守るという固い決意だった
その瞳には揺るぎないほどの強い意思が見えるが、近右衛門の表情は僅かに落胆に変わる
「ネギ君の受け入れに関しては認めよう。 ただし君個人に受け入れてもらう。 関東魔法協会及び麻帆良学園はこの件には関わらぬ。 全て君の好きなように指導するといいじゃろう」
「学園長! それでは……」
「麻帆良での滞在と修行は認めるが、関東魔法協会は関わらぬ。 それとネギ君の修行開始に合わせて君の麻帆良学園での教員契約を解除する」
近右衛門の決定は非情とも言うべき厳しいものだった
ネギの受け入れと修行は認めるが、関東魔法協会は関わらないという奇策とも言うべき妥協案である
加えて高畑の表の仕事である教員契約を解除すると言うことは、明日菜にネギを関わらせるなとの近右衛門の強い意思だった
「責任は僕が取ります。 ですが僕ではネギ君を満足に指導するのは……」
近右衛門の予想以上の決断に高畑はうろたえながら反論するが、決定が変わるはずはない
「高畑君や、これがワシの最大限の譲歩じゃ。 麻帆良の街で君の保護下にあれば、ネギ君も安全に暮らせるじゃろう。 ワシの立場ではこれ以上の支援は難しい」
ネギの修行には呪文を唱える魔法が使えない高畑では不向きなのは確かだが、近右衛門は組織のトップとしてネギの受け入れだけは出来なかった
本国がどこまで考えてるか分からない以上、ネギと関東魔法協会を完全に切り離す必要がどうしてもあるのだ
「これが君の望んだ結果か?」
いつになく険しい表情の近右衛門は、言葉少なく本国穏健派からの文章を高畑に見せる
その態度はいつもの飄々とした姿ではなく、高畑が始めて見るほど緊張感が溢れていた
恐る恐る渡された文章に目を通す高畑だったが、その内容に愕然としてしまう
「最早問題はネギ君の問題では済まされまい。 その提案はすでに各国魔法協会に内々に打診されておるじゃろう。 それに内容からすると本国の中間派や過激派にも情報が漏れて動いたのかもしれん」
書類を手に震えるような高畑に近右衛門は感情を押し殺したような口調で語るが、高畑は何も答えない
いや答えられるはずがなかった
「罠だと分かっていても各国魔法協会はその提案に乗るじゃろう。 君はこの件をどう収めるつもりじゃ?」
近右衛門は冷静に語りつつ高畑の意見や考えを問うのだが、こんな事態を想定してない高畑は答えなど持ち合わせてないのだ
「ワシは以前言ったはずじゃがな…… ネギ君はあまりに危険だと。 麻帆良の仲間や過去を忘れようやく幸せになったあの子をも危険に巻き込んでまでネギ君が大切か?」
「僕が……、僕が命を賭けて守ります。 ネギ君も明日菜ちゃんも麻帆良も……」
ずっと無言だった高畑の始めての言葉は、ネギも明日菜も麻帆良も全部守るという固い決意だった
その瞳には揺るぎないほどの強い意思が見えるが、近右衛門の表情は僅かに落胆に変わる
「ネギ君の受け入れに関しては認めよう。 ただし君個人に受け入れてもらう。 関東魔法協会及び麻帆良学園はこの件には関わらぬ。 全て君の好きなように指導するといいじゃろう」
「学園長! それでは……」
「麻帆良での滞在と修行は認めるが、関東魔法協会は関わらぬ。 それとネギ君の修行開始に合わせて君の麻帆良学園での教員契約を解除する」
近右衛門の決定は非情とも言うべき厳しいものだった
ネギの受け入れと修行は認めるが、関東魔法協会は関わらないという奇策とも言うべき妥協案である
加えて高畑の表の仕事である教員契約を解除すると言うことは、明日菜にネギを関わらせるなとの近右衛門の強い意思だった
「責任は僕が取ります。 ですが僕ではネギ君を満足に指導するのは……」
近右衛門の予想以上の決断に高畑はうろたえながら反論するが、決定が変わるはずはない
「高畑君や、これがワシの最大限の譲歩じゃ。 麻帆良の街で君の保護下にあれば、ネギ君も安全に暮らせるじゃろう。 ワシの立場ではこれ以上の支援は難しい」
ネギの修行には呪文を唱える魔法が使えない高畑では不向きなのは確かだが、近右衛門は組織のトップとしてネギの受け入れだけは出来なかった
本国がどこまで考えてるか分からない以上、ネギと関東魔法協会を完全に切り離す必要がどうしてもあるのだ