二年目の春
「なんで今日はお爺ちゃんの家なんやろ?」
「木乃香の場合、店でやるとサプライズにならないからじゃない?」
その頃一足先に近衛邸に向かっていた木乃香は、何故自身の誕生日を近衛邸で祝おうとしているのか真意に気付かず首を傾げていた。
一応タマモがサプライズでやりたいらしく内緒にはしているが、当然ながら自分の誕生日を忘れでもしない限りはお祝いしてくれることに気付いている。
ただ木乃香の両親を呼んだことは珍しく横島が自分で動いたので木乃香のみならず夕映達も知らないことだった。
「うわ~、やっぱり豪邸なんだね。」
そんなこの日木乃香は例によって夕映達にハルナと美砂達と雪広姉妹と千鶴と夏美と刹那と一緒に近衛邸にやって来るが、明日菜と雪広姉妹を除く全員が初めて来ていて中には見たことすら初めての少女もいる。
「ここは学園の公邸やから借家なんよ。」
近衛邸は雪広邸のような華やかさはないが高い塀と大きな屋敷は、美砂達やハルナなどの庶民には豪邸に見えるようだ。
尤も豪邸というよりは公邸であり、客観的に見ると豪華さよりも機能的な屋敷ではあるが。
「みんな、よく来たのう。」
そのまま近衛邸に到着した少女達は警備の人に挨拶をして中に入るが、近衛邸にはエヴァ一家が一足先に到着したようで私邸部分のリビングで近右衛門を相手に囲碁を打っている。
他の少女達同様にエヴァ達もタマモが木乃香の誕生パーティーに誘ったが故の参加であるが、近右衛門どころか横島ですらも参加するとは思わなかったらしく驚いたのだが。
「私達が最後じゃないみたいね。」
その後少女達より十五分ほど遅れて刀子と高畑も近衛邸にやってくると、更に十五分ほど遅れて横島達が到着した。
詠春と穂乃香は実は木乃香達が来る少し前から隠れていて、後でサプライズとして出ていく予定になっている。
過去の誕生パーティーですっかりサプライズ好きになったタマモの発案での計画であり、詠春と穂乃香が意外にもそれに乗ったらしい。
「このかちゃん、めをとじて。」
全員が集まったことで木乃香の誕生パーティーを始めることになるが、わくわくした気持ちを隠しきれない様子のタマモはとことんサプライズにこだわりたいらしく木乃香に目を閉じるように頼むと詠春と穂乃香が待つ近衛邸のパーティールームまで手を繋いで引っ張っていく。
「タマちゃん、なにがあるん?」
「めをあけていいよ。」
「えっ!? ……お父様とお母様?」
木乃香も他の少女達もみんながみんなパーティーの準備をした部屋に行くだけだとばかり思っていたせいか、目を開いた木乃香はパーティーの準備をした部屋に居る両親に素の表情で驚いてしまう。
思えば麻帆良に来て以降、家族揃って誕生日を過ごしたことが一度もない。
初等部の頃は母である穂乃香が毎年誕生日に合わせて来てくれたが、父である詠春は仕事の都合で来れないと聞かされ誕生日には来たことがなかったのだ。
「タマモちゃんから誘われてね。 魔法でこっそり来たのよ。」
「たんじょうびはかぞくといっしょに、おいわいしたほうがたのしいもんね!」
今にして思えば対立する魔法協会のトップ同士である祖父と両親がなかなか会えなかったのだろう理解はするも、木乃香自身は言葉にこそ出さないが家族が魔法協会により引き裂かれたようで心の奥底では不満も抱えていた。
贅沢は言わないが家族が普通に気軽に会えるようになりたいとの心に秘めていた想いが、完全ではないが叶った瞬間であった。
「木乃香の場合、店でやるとサプライズにならないからじゃない?」
その頃一足先に近衛邸に向かっていた木乃香は、何故自身の誕生日を近衛邸で祝おうとしているのか真意に気付かず首を傾げていた。
一応タマモがサプライズでやりたいらしく内緒にはしているが、当然ながら自分の誕生日を忘れでもしない限りはお祝いしてくれることに気付いている。
ただ木乃香の両親を呼んだことは珍しく横島が自分で動いたので木乃香のみならず夕映達も知らないことだった。
「うわ~、やっぱり豪邸なんだね。」
そんなこの日木乃香は例によって夕映達にハルナと美砂達と雪広姉妹と千鶴と夏美と刹那と一緒に近衛邸にやって来るが、明日菜と雪広姉妹を除く全員が初めて来ていて中には見たことすら初めての少女もいる。
「ここは学園の公邸やから借家なんよ。」
近衛邸は雪広邸のような華やかさはないが高い塀と大きな屋敷は、美砂達やハルナなどの庶民には豪邸に見えるようだ。
尤も豪邸というよりは公邸であり、客観的に見ると豪華さよりも機能的な屋敷ではあるが。
「みんな、よく来たのう。」
そのまま近衛邸に到着した少女達は警備の人に挨拶をして中に入るが、近衛邸にはエヴァ一家が一足先に到着したようで私邸部分のリビングで近右衛門を相手に囲碁を打っている。
他の少女達同様にエヴァ達もタマモが木乃香の誕生パーティーに誘ったが故の参加であるが、近右衛門どころか横島ですらも参加するとは思わなかったらしく驚いたのだが。
「私達が最後じゃないみたいね。」
その後少女達より十五分ほど遅れて刀子と高畑も近衛邸にやってくると、更に十五分ほど遅れて横島達が到着した。
詠春と穂乃香は実は木乃香達が来る少し前から隠れていて、後でサプライズとして出ていく予定になっている。
過去の誕生パーティーですっかりサプライズ好きになったタマモの発案での計画であり、詠春と穂乃香が意外にもそれに乗ったらしい。
「このかちゃん、めをとじて。」
全員が集まったことで木乃香の誕生パーティーを始めることになるが、わくわくした気持ちを隠しきれない様子のタマモはとことんサプライズにこだわりたいらしく木乃香に目を閉じるように頼むと詠春と穂乃香が待つ近衛邸のパーティールームまで手を繋いで引っ張っていく。
「タマちゃん、なにがあるん?」
「めをあけていいよ。」
「えっ!? ……お父様とお母様?」
木乃香も他の少女達もみんながみんなパーティーの準備をした部屋に行くだけだとばかり思っていたせいか、目を開いた木乃香はパーティーの準備をした部屋に居る両親に素の表情で驚いてしまう。
思えば麻帆良に来て以降、家族揃って誕生日を過ごしたことが一度もない。
初等部の頃は母である穂乃香が毎年誕生日に合わせて来てくれたが、父である詠春は仕事の都合で来れないと聞かされ誕生日には来たことがなかったのだ。
「タマモちゃんから誘われてね。 魔法でこっそり来たのよ。」
「たんじょうびはかぞくといっしょに、おいわいしたほうがたのしいもんね!」
今にして思えば対立する魔法協会のトップ同士である祖父と両親がなかなか会えなかったのだろう理解はするも、木乃香自身は言葉にこそ出さないが家族が魔法協会により引き裂かれたようで心の奥底では不満も抱えていた。
贅沢は言わないが家族が普通に気軽に会えるようになりたいとの心に秘めていた想いが、完全ではないが叶った瞬間であった。