二年目の春
三月も半ばを過ぎ後半に入ると麻帆良では学園附属幼稚園に初等部や中等部の卒業式が相次ぎ行われていた。
まあ大学部までの一貫教育が基本の麻帆良学園では今月初めに卒業式が行われた高等部以上に別れの印象は少ないが、同じ麻帆良学園でも専門的な学部や学校に進学する為に別々の学校になる生徒は多少だが存在する。
「いよいよ三年かぁ。 いいんちょは今年こそ生徒会に立候補するの?」
この日女子中等部では翌日に控えた卒業式に向けて最後の練習をしているが、2ーAで挨拶などで出番があるのは学級委員のあやかと報道部の朝倉くらいだった。
少女達の話題はすでに卒業から来年度の話に移っており、女子中等部では早くも時期生徒会長の有力候補にあやかの名前が上がっている。
「いえ、その予定はありませんわ。 正直なところ放課後は忙しいので無理かと。」
雪広家の娘として一年の頃から生徒会入りの有力候補に名前が上がっていたあやかであるが、今までに生徒会役員に立候補したことはない。
元々あやかも姉のさやかほどではないが習い事などがあり放課後は忙しいことがあったし、加えて姉のさやかも現在の高等部に至るまでに生徒会の役職に就いたことがないことも大きい。
それに昨年からは横島絡みの仕事までしているので、あやかには来年度も生徒会に参加する時間はなかった。
「出ればなれるって評判だけどね。」
昨年の麻帆良祭に納涼祭などあやかの評価は女子中等部でも確実に高くなっているが、あやかのみならず女子中等部なんかだと超鈴音も生徒会への有力候補に上がっては辞退をしている。
実のところ麻帆良学園では学園自治とも言われる特殊な街なので生徒会の力は既存の学校より圧倒的に強く、女子中等部の生徒会もかなりの権力があるが裏を返せばそれだけ日頃から忙しいということだった。
ただあやかが今まで辞退をしていたのは、ただでさえ学園に影響力がある雪広家の人間が生徒会まで加わるのは良くないとさやかが生徒会に参加してないことが主な理由ではあるが。
実際のところさやかの友人なんかはそれを気にしすぎだと言うし、今までにはさやかを生徒会に押す大望論も過去にはあったが結果としては辞退を続けている。
まあ本音では個人としての損得勘定もあり、下手に期待されてもやりにくいだけだという事実や放課後は個人のスキルアップに費やしたいとの考えもない訳ではないが。
一応他にやる気のある志願者が居る以上、そちらに任せたいというのが雪広姉妹の意見であった。
「いいんちょが生徒会長になったら一番困るのマスターだよね。 マスターもちゃっかりいいんちょに仕事丸投げしてるし。」
私生活が忙しくスケジュールの都合もあってこれ以上学校には関われないあやかに周りの友人達は半ば他人事のように聞いているが、円がその原因の一端である横島のことを持ち出すと周りからは笑い声も聞こえる。
横島が何かをするとあやかが動いて夕映とのどかがサポートする体制は中等部辺りではすっかり有名だった。
同じく今月末には春祭りにて麻帆良亭の屋台というかイベントを行うことでも、事実上三人が動いているのだ。
まあ横島からすると春祭りの件は自分のせいではないと言うかもしれないが、元々麻帆良亭の坂元夫妻を引っ張り出したのが横島である以上横島絡みの仕事だと周囲は見ている。
ただ横島に近い少女達からすると横島には基本的にフォローする人間が常に必要であり、あやかに居なくなられると困るという事実もある。
加えて雪広家としても横島との関係上、あやかは横島の近くに置いておきたいとの考えがない訳ではない。
結局あやかが今後も横島のフォローをするのは、半ば規定路線となりつつあった。
まあ大学部までの一貫教育が基本の麻帆良学園では今月初めに卒業式が行われた高等部以上に別れの印象は少ないが、同じ麻帆良学園でも専門的な学部や学校に進学する為に別々の学校になる生徒は多少だが存在する。
「いよいよ三年かぁ。 いいんちょは今年こそ生徒会に立候補するの?」
この日女子中等部では翌日に控えた卒業式に向けて最後の練習をしているが、2ーAで挨拶などで出番があるのは学級委員のあやかと報道部の朝倉くらいだった。
少女達の話題はすでに卒業から来年度の話に移っており、女子中等部では早くも時期生徒会長の有力候補にあやかの名前が上がっている。
「いえ、その予定はありませんわ。 正直なところ放課後は忙しいので無理かと。」
雪広家の娘として一年の頃から生徒会入りの有力候補に名前が上がっていたあやかであるが、今までに生徒会役員に立候補したことはない。
元々あやかも姉のさやかほどではないが習い事などがあり放課後は忙しいことがあったし、加えて姉のさやかも現在の高等部に至るまでに生徒会の役職に就いたことがないことも大きい。
それに昨年からは横島絡みの仕事までしているので、あやかには来年度も生徒会に参加する時間はなかった。
「出ればなれるって評判だけどね。」
昨年の麻帆良祭に納涼祭などあやかの評価は女子中等部でも確実に高くなっているが、あやかのみならず女子中等部なんかだと超鈴音も生徒会への有力候補に上がっては辞退をしている。
実のところ麻帆良学園では学園自治とも言われる特殊な街なので生徒会の力は既存の学校より圧倒的に強く、女子中等部の生徒会もかなりの権力があるが裏を返せばそれだけ日頃から忙しいということだった。
ただあやかが今まで辞退をしていたのは、ただでさえ学園に影響力がある雪広家の人間が生徒会まで加わるのは良くないとさやかが生徒会に参加してないことが主な理由ではあるが。
実際のところさやかの友人なんかはそれを気にしすぎだと言うし、今までにはさやかを生徒会に押す大望論も過去にはあったが結果としては辞退を続けている。
まあ本音では個人としての損得勘定もあり、下手に期待されてもやりにくいだけだという事実や放課後は個人のスキルアップに費やしたいとの考えもない訳ではないが。
一応他にやる気のある志願者が居る以上、そちらに任せたいというのが雪広姉妹の意見であった。
「いいんちょが生徒会長になったら一番困るのマスターだよね。 マスターもちゃっかりいいんちょに仕事丸投げしてるし。」
私生活が忙しくスケジュールの都合もあってこれ以上学校には関われないあやかに周りの友人達は半ば他人事のように聞いているが、円がその原因の一端である横島のことを持ち出すと周りからは笑い声も聞こえる。
横島が何かをするとあやかが動いて夕映とのどかがサポートする体制は中等部辺りではすっかり有名だった。
同じく今月末には春祭りにて麻帆良亭の屋台というかイベントを行うことでも、事実上三人が動いているのだ。
まあ横島からすると春祭りの件は自分のせいではないと言うかもしれないが、元々麻帆良亭の坂元夫妻を引っ張り出したのが横島である以上横島絡みの仕事だと周囲は見ている。
ただ横島に近い少女達からすると横島には基本的にフォローする人間が常に必要であり、あやかに居なくなられると困るという事実もある。
加えて雪広家としても横島との関係上、あやかは横島の近くに置いておきたいとの考えがない訳ではない。
結局あやかが今後も横島のフォローをするのは、半ば規定路線となりつつあった。