二年目の春

一方ウィンタースポーツや雪遊びを楽しんでいる横島達の方だが、こちらは昨日ほど天気が良くなく曇りがちで雪がちらつく天気だった。

ただまあ吹雪くほどではなく雪が珍しい少女達にとってはその光景すら楽しげであったが。


「あらあら、楽しそうね。」

「うん!」

そんな中でタマモは朝から少女達やハニワ兵達と雪合戦や雪だるまならぬ雪ハニワ作りなど楽しんでいる。

途中スキーも少ししたがどうやらタマモにはまだ普通に滑るのは難しいようで、雪合戦や雪ハニワ作りの方が好きらしい。

少女達は大半がスキーやスノボをしながら滑り終えるとタマモの元に来て一緒に遊んでは、また滑りに行くことを繰り返していた。

スキーというかスポーツが苦手なさよはずっとタマモと一緒に居て、二人を心配した明日菜もほとんど一緒に居たが。


「喫茶店かしら?」

「そうだよ。 きょうはわたしのおみせなんだよ。」

そして雪合戦や雪ハニワ作りが一段落したタマモは、何故かかまくらの前で昨日使った椅子やテーブルを再び並べ雪上喫茶店を始めていた。

ちょうど準備を終えた頃にやって来た千鶴とさやかはその光景に思わず笑みをこぼしてしまう。

ちなみにかまくらとその周辺は先程横島が来た時に雪避け目的にちょっとした結界を張っていたので、雪が直接積もってなくゆっくり休める状態である。


「ちゃんとメニューもあるのね。」

それは一見するとおままごとのようにも見えるが、タマモの場合はスケッチブックにクレヨンで書いたメニューがありそれが本当に出せることだろう。

もちろんお湯を沸かしたり飲み物を入れるのはさよと明日菜がしていたが。

横島なんかはわざわざ休日にまで喫茶店をしなくてもとも言ったが、滑り降りてくるみんなを見てタマモは喫茶店をやりたいと言い出したのだ。

温かい飲み物でみんなを迎えたいと思ったようだが、日頃お手伝いをしている喫茶店を自分が中心となりやってみたくもなったのだろう。

当初は一人で全部やりたかったようだが、流石に火を使うのはタマモには任せられないのでさよと明日菜が説得したらしい。


「本当に働き者よね。 誰に似たんだか。」

結果としてマホラカフェマッターホルン支店は少女達や観光に来ていたハニワ兵達で賑わいタマモは忙しく働きつつも満足げであった。

タマモにとってはこれも遊びの一つなのかもしれないが、立派に雪上喫茶店として機能もしている。

その後タマモの喫茶店は夕方まで続くことになり、何体かのハニワ兵達がこの店を受け継ぎ明日以降もスキー場が営業している期間は続けることになりマホラカフェマッターホルン支店が成り行きで誕生していた。

当然ながら店長はタマモであり、この日撮られたタマモの写真がかまくらの中に飾られ店長と書かれたネームが付けられることになる。


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