二年目の春

「うわ~!」

一方白銀のゲレンデに飛び出したタマモはチャチャゼロとさよと明日菜と共に雪遊びを楽しんでいた。

麻帆良で雪が降った時にとは比べ物にならないほどの一面の雪景色に興奮した様子で、さっそく雪ダルマを作ろうと少し面倒そうなチャチャゼロと困り顔の明日菜達と共に雪の中を駆け回っていく。


「いいんちょとさやかさん上手いじゃん。 やっぱりお金持ちは違うのかしら。」

そして他の少女達であるが雪広姉妹はスキーを選択してさっそく滑り始めるも、まるでプロのような見事な腕前を披露していた。

元々あやかに関しては才色兼備を地で行くようなタイプなので驚きはないが、あれでショタコンじゃなかったらという言葉を密かに飲み込んだ少女もいる。


「あの、私達初めてなのですが。」

「大丈夫大丈夫、手取り足取り教えてやるよ。」

ただ見事な腕前を見せる雪広姉妹の他は千鶴と木乃香がそこそこ滑れる他は、ほとんど初めて同然であっても数回経験がある程度らしい。

本来ならば明日菜もスポーツ系は得意なのだが、彼女はタマモの世話に着いてしまいスキーもスノボーも滑らないようだ。


「マスターはやっぱり上手いんだ。」

「得意ってほどでもないけど、それなりにな。」

かつてゲレンデには出会いがいっぱいだと騒いだ自身の黒歴史を一瞬思い出した横島は、身内の少女達とハニワ兵しか居ないスキー場にほんの少しだけ複雑な心境になるも現在は令子の技術でスキーが滑れるので恥はかかないと安堵もしている。

ゲレンデではハニワ兵が器用に滑る姿が見られるが、オリンピック選手のような回転などをして失敗する姿も見られた。


「エヴァちゃんも上手いね。」

「上手いけど魔法で制御してるな。 スキーは初めてか?」

ちなみに少女達が横島同様に注目したエヴァは無難に滑っていたが、横島はエヴァが姿勢やスピードに曲がるのまでコッソリ魔法で制御してることに気付きばらしてしまう。


「貴様、そういうことは言わないのがマナーだろう!! 」

「いいじゃんか別に。 一緒に教えるから。」

エヴァとしてはプライドもあり少女達に出来ないと思われたくなかったらしいが、横島はあんまりその辺りの配慮が出来ないので軽く流して初心者組と一緒に教えることにする。

実際エヴァは魔法で大抵のことは出来るし、歴史は古いがスキーがレジャーとして人々に定着したのは割と近年なので経験が無くても不思議ではないが。


「むずかしいね。」

「見てる分には簡単そうなんだけどね。」

その後横島と雪広姉妹によるスキー教室が開かれるが、ある程度慣れてる少女はともかく本当の初心者は結構苦戦していた。

特に基本的にインドアである夕映・のどか・ハルナなんかが苦戦している。

偶然にも図書館組が苦戦しているが同じ図書館組の木乃香は経験者でもあるし意外に運動関係も悪くはない。


「わたしもやる!」

途中雪ダルマを完成させたタマモがスキーに興味を示すと明日菜達共々合流するが、明日菜は雪広家の人々に連れて行ってもらったことがあるらしくそこそこ上手かった。

ただ運動関係がダメなさよはやはり苦手なようで苦戦するが。

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