二年目の春
「チッ、非常識さまで本物と同じとは。」
一方シミュレートされたナギと戦っているエヴァであるが、ナギの滅茶苦茶な戦いに振り回されていた。
エヴァがナギに劣ってる部分として一番顕著なのは魔力の総量がナギの方が上だということであり、加えて元々細かい技術などないナギは基本的に力任せの荒業が多い。
まあそれ自体は実はさほど問題ないのだが、一番エヴァが厄介だと感じたのはナギの魔法が不安定なことだろう。
先程も少し説明したがナギは呪文の詠唱を勝手に切り捨てたり短縮したりと適当に唱えることがよくあるが、それはいわば失敗や暴発する危険がある。
だがナギという男は天性の才能も持ち合わせているので、多少の暴発や威力が変わるくらいならば上手く利用して戦っているのだ。
極論を言えば呪文を真面目に唱えても安定しないナギの魔法はどうなるのか読みにくい性質があった。
戦い方に関しても本能と気分で戦うような男なので、次に何をしてくるか分からないのが怖いところである。
「ねえ、随分派手だけど大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。 シミュレーター内は魔法だろうが核兵器だろうが問題ない結界張ってるからな。」
そして魔法使いならば一度は見てみたいと願う最強の名を持つ二人の戦いを固唾を飲んで見ている少女達であるが、ナギの雷系魔法やエヴァの闇と氷系魔法があちこちで炸裂している様子に流石に顔を青くしている少女も居るようだった。
特に雷系の魔法は凄まじい閃光と轟音が響き渡るので、見てるだけでも怖さを感じる魔法なのである。
あまりの迫力に霊動シミュレーターの建物の心配までしている者もいて、なんというか怪獣映画の怪獣が大人しく感じるほでの凄まじい迫力にはつい数ヵ月前まで一般人だった少女達ばかりか刀子と刹那ですらも素人のような表情で見ているしか出来ない。
「これで終わりだ!」
さて横島と高畑以外の見物をしている者達にカルチャーショックを与えているエヴァとナギの戦いだが、ダメージを受けながらも数メートルまで接近したナギが雷の斧でエヴァにトドメをさすところだった。
ダメージ自体はナギの方があるもののちょっとしたダメージなど気にもしないナギがエヴァの詠唱の隙を付いての魔法だったが、その瞬間エヴァの唇が僅かに笑みを見せる。
「魔法プログラム発動、絶対防御。」
エヴァはつい先程まで唱えていた呪文の詠唱を中断すると、ポツリと呟くようにナギの知らない短い呪文を唱えた。
その瞬間エヴァは短い詠唱ではあり得ないほど強力な魔法の結界に包まれナギの放った雷の斧は完全に防がれ、次の瞬間には先程まで唱えていた続きの呪文を唱えてエヴァの近距離での切り札の魔法の一つである断罪の剣でシミュレートされたナギを切り裂く。
「おいおい、最後のあれはなんなんだ?」
「私は貴様とは違って戦いを楽しむ気はない。 このタイミングを待っていたのだ。」
切り裂かれたナギは切り口から粒子になり消えていくが、最後の最後でエヴァが自分の知らない防御魔法のようなモノを瞬時に使ったことに驚いていた。
エヴァはナギの疑問にイチイチ答える気はないようだが全ては初めから狙っていたことであり、実はエヴァが最後にナギの雷の斧を防いだのは前日に横島があげた腕時計型通信機に登録されている防御魔法だった。
お世辞にもまだ機能を使いこなしてるとは言えないエヴァだが、一つだけ熱心に聞いて設定まで指定したのは魔法の機能である。
本来少女達には危機を関知して自動発動するように設定されているが、エヴァは自動発動では不便なので音声入力により任意で発動するように設定していたのだ。
これによりエヴァは本来ならばあり得ない二種類の魔法を同時に使うことを考え、そのテストを兼ねて今回シミュレートに挑戦したのだった。
一方シミュレートされたナギと戦っているエヴァであるが、ナギの滅茶苦茶な戦いに振り回されていた。
エヴァがナギに劣ってる部分として一番顕著なのは魔力の総量がナギの方が上だということであり、加えて元々細かい技術などないナギは基本的に力任せの荒業が多い。
まあそれ自体は実はさほど問題ないのだが、一番エヴァが厄介だと感じたのはナギの魔法が不安定なことだろう。
先程も少し説明したがナギは呪文の詠唱を勝手に切り捨てたり短縮したりと適当に唱えることがよくあるが、それはいわば失敗や暴発する危険がある。
だがナギという男は天性の才能も持ち合わせているので、多少の暴発や威力が変わるくらいならば上手く利用して戦っているのだ。
極論を言えば呪文を真面目に唱えても安定しないナギの魔法はどうなるのか読みにくい性質があった。
戦い方に関しても本能と気分で戦うような男なので、次に何をしてくるか分からないのが怖いところである。
「ねえ、随分派手だけど大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。 シミュレーター内は魔法だろうが核兵器だろうが問題ない結界張ってるからな。」
そして魔法使いならば一度は見てみたいと願う最強の名を持つ二人の戦いを固唾を飲んで見ている少女達であるが、ナギの雷系魔法やエヴァの闇と氷系魔法があちこちで炸裂している様子に流石に顔を青くしている少女も居るようだった。
特に雷系の魔法は凄まじい閃光と轟音が響き渡るので、見てるだけでも怖さを感じる魔法なのである。
あまりの迫力に霊動シミュレーターの建物の心配までしている者もいて、なんというか怪獣映画の怪獣が大人しく感じるほでの凄まじい迫力にはつい数ヵ月前まで一般人だった少女達ばかりか刀子と刹那ですらも素人のような表情で見ているしか出来ない。
「これで終わりだ!」
さて横島と高畑以外の見物をしている者達にカルチャーショックを与えているエヴァとナギの戦いだが、ダメージを受けながらも数メートルまで接近したナギが雷の斧でエヴァにトドメをさすところだった。
ダメージ自体はナギの方があるもののちょっとしたダメージなど気にもしないナギがエヴァの詠唱の隙を付いての魔法だったが、その瞬間エヴァの唇が僅かに笑みを見せる。
「魔法プログラム発動、絶対防御。」
エヴァはつい先程まで唱えていた呪文の詠唱を中断すると、ポツリと呟くようにナギの知らない短い呪文を唱えた。
その瞬間エヴァは短い詠唱ではあり得ないほど強力な魔法の結界に包まれナギの放った雷の斧は完全に防がれ、次の瞬間には先程まで唱えていた続きの呪文を唱えてエヴァの近距離での切り札の魔法の一つである断罪の剣でシミュレートされたナギを切り裂く。
「おいおい、最後のあれはなんなんだ?」
「私は貴様とは違って戦いを楽しむ気はない。 このタイミングを待っていたのだ。」
切り裂かれたナギは切り口から粒子になり消えていくが、最後の最後でエヴァが自分の知らない防御魔法のようなモノを瞬時に使ったことに驚いていた。
エヴァはナギの疑問にイチイチ答える気はないようだが全ては初めから狙っていたことであり、実はエヴァが最後にナギの雷の斧を防いだのは前日に横島があげた腕時計型通信機に登録されている防御魔法だった。
お世辞にもまだ機能を使いこなしてるとは言えないエヴァだが、一つだけ熱心に聞いて設定まで指定したのは魔法の機能である。
本来少女達には危機を関知して自動発動するように設定されているが、エヴァは自動発動では不便なので音声入力により任意で発動するように設定していたのだ。
これによりエヴァは本来ならばあり得ない二種類の魔法を同時に使うことを考え、そのテストを兼ねて今回シミュレートに挑戦したのだった。