二年目の春

実は夕映達の中で超鈴音は横島と同じく異世界から来た者ではとの臆測がなされていて、しかも横島とは立場的に少し遠いのかとも噂していたのだ。

これには魔法協会でも超鈴音の過去が不明な点が話題となっていて、一部では警戒もされている情報を掴んでいることも絡んでいる。

この件に関しては夕映達の臆測は完全に誤解であるが、そもそも横島は自分の過去をほとんど語ってなく帰る世界がないとこぼしてしまったことも影響していた。

ただ少女達も流石に世界そのものが滅んだとは考えてなく、アシュタロスの遺産を持つ横島の居場所が元の世界にはないのだろうと考えていたが。

結果として少女達の臆測は意外に筋が通っているので、少女達は横島が超鈴音絡みで何かしらの問題を抱えてるのではと心配してるらしい。


「超鈴音と横島の過去は無関係だぞ。」

夕映の問いかけに迷う横島達を見てエヴァは呆れた表情を見せつつも、仕方ないと言わんばかりに単刀直入に横島と超鈴音の過去は無関係だと語る。

その言葉に横島や刀子と高畑は驚きというか戸惑うが、エヴァは夕映達が何を考え心配しているか理解していた。


「そうなのですか?」

「超鈴音は別の問題を抱えているのだ。 だが今のところ貴様らが心配するようなことではない。」

相変わらずエヴァの言葉は説得力があり、夕映達は自分達の臆測が間違っていることに少し恥ずかしそうな表情を見せる。

しかもエヴァは超鈴音には問題があると打ち明けた上で、今のところ夕映達が心配するようなことではないと詳しくは話さないでその場を収めてしまう。

日頃から冷静で冷たいようにも見えるエヴァだが少女達には意外にもかなり信頼されていた。

基本的にお人好しで不安になる横島と違い、現実厳しさを隠しもしないエヴァだけに逆にエヴァが言えば安心感があるのかもしれない。


「なんか俺よりエヴァちゃんの方が信頼されてないか?」

ちなみに横島は何故か少女達に信頼されるエヴァに少し面白くなさそうな表情をしていた。

別にエヴァが信頼されることに反対する訳ではないが、横島としてはモテなかった過去など自分は言うことを信じて貰えない時があるのにエヴァが話すとすんなりと信じるのが少し羨ましいのかもしれない。


「それは、この中で一番の年長者ですから。」

「横島さんは優しさから嘘をつきますが、エヴァンジェリンさんは優しさから真実を語るタイプだと思うです。」

そんな少し拗ねたような横島にエヴァは呆れた表情をするも少女達は爆笑してエヴァを信じる理由を口にしていく。

横島はほとんど年齢を気にしないが少女達の中でも常識があるメンバーは最低限エヴァを年長者として敬意を払っている。

加えてエヴァと横島の違いもかなり理解していて、横島は優しさから嘘をつくがエヴァは優しさから真実を語ると至極的を得た理由を語り横島はぐうの音も出ない。

一方のエヴァは自分が少女達にそこまで信頼されていることに内心では少し驚きを感じつつ、少女達を舐めていたと自身の間違いを認めてもいた。

はっきり言えば平和ボケした国の能天気な子供だとばかり思っていたが、確かにそんな一面があることは確かでもエヴァが思っていた以上に現実を見ている少女達に驚きも感じていたのだ。



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