二年目の春

一方ホテルでは夜の中庭で刀子と刹那が剣術の修行をする姿を木乃香・明日菜・タマモ・さよ・ハニワ兵の五名が眺めていた。

互いに真剣を用いて打ち込みを含めた実戦的な修行をしていたが、 真剣と真剣がぶつかる音と迫力は格闘技などの比ではない。

正直なところ木乃香達は命を賭けるような戦いなどリアルに見たことはないので、見ているだけでハラハラするほどである。


「刀子さんもせっちゃんも凄いわ。」

「オリンピックも真っ青ね。」

ただ驚きなのはその迫力ではなくそのスピードの方かもしれない。

瞬きをすると本当に見逃してしまうほどのスピードは馴れるまで見ることすら大変なくらいであった。

尤も木乃香は魔法協会という存在はこれほどの力ある人が必要なのかと少し考えさせられるものもあるが。

木乃香自身みんなで仲良くすれば戦う力など必要ないと考えるほどお花畑な思考はしてなく、この数ヵ月で魔法協会のことも知ったのでそれなりに力が必要なのは理解もしている。

しかしそれでも実際に直接見るのと情報として知るのでは大きな違いがあった。


「ハニワさんも戦えるん?」

「ぽ? ぽー!?」

ある意味カルチャーショックのような衝撃を受けた木乃香だが、ふとタマモに抱かれているハニワ兵に視線が向くと彼も強いのだろうかと疑問が生まれる。

異空間アジトには警備員のようなハニワ兵は時々見かけるが、基本的にハニワ兵は服装以外の容姿が同じなので横島宅のハニワ兵も意外に強いのだろうかと思ったようだ。

そんな木乃香の突然の指摘にハニワ兵は慌ててムリムリと首を振り否定する。

ちなみに彼は元々戦闘タイプではない上、ドジな性格もありハニワ兵の中でも最も戦闘に向かないかもしれない。


「へー、戦える人もいるのね。」

あまりに慌てた様子のハニワ兵に木乃香と明日菜は思わず笑ってしまうが、ハニワ兵は戦闘タイプのハニワ兵は別に居るとハニワ兵事情を教えていく。

ただまあ基本的に平和な異空間アジトなので仕事が野性動物が街に来た時に自然に返すだけだと知ると、あんまり強くないんだろうなと勝手な誤解をしてしまう。



「やった! 私の勝ち!!」

「ぽー!?!?」

同じくホテルのゲームコーナーでは美砂達が同じホテルの客らしきハニワ兵と何故かゲーム勝負をしていた。


「相変わらずあんたの運は凄いわね。」

当初は普通にゲームをしていた美砂達だが、何故か桜子が近くに居たハニワ兵と張り合い始め勝負をすることになったが彼女の強運にはハニワ兵もビックリしている。

あえて説明するまでもないが基本的にハニワ兵は優秀なのだ。

たまにドジだったり趣味に走ったりと変わり者は多いが。


「ぽー!」

「いいよ。 次はあれで勝負だね!」

そんな桜子の強運にハニワ兵達は興味を示したのか熱くなったのか不明だが、熱い戦いが様々なゲームで続くことになる。




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