麻帆良祭への道

そのまま木乃香と入れ違えるように刀子は仕事に戻っていくが、木乃香はクラスで話をした結果を横島に伝える

加えて今夜横島の店で主要な調理担当者が、メニューについて相談したいとのことだった


「いいよ。 厨房を自由に使ってくれ」

2-Aの面々はメニューに関しては横島に期待する者も多いが、横島としては場所を貸す程度の認識しかない

まあ超や五月の料理の腕を知ってるだけに心配すらしてなかったりする


「そうや、いいんちょから食材のリスト渡すように言われてたんや」

そのまま木乃香は打ち合わせの時間を決めてあやか達に連絡するが、どうやら雪広グループの食材のリストを貰って来たらしく横島に渡す

これは原価が普通の製品だったが、雪広グループや提携企業の食品などかなりの数があった


「こりゃすごいな。 トリフにフォアグラにキャビアまであるし…… 輸入販売までしてるんだ」

「外国の食材は早めに言うて欲しいんやって」

雪広グループの食材リストは、ちょっとした辞書くらいの分厚さがあるほどの数がある

世界の高級食材から豆腐や納豆などの庶民的な食材まで様々だった


「こんだけ多いと何を使っていいか分からんな」

「超リン達は新作の中華まんを考えてるみたいや」

木乃香と二人で食材リストを見ていく横島だったが、ない食材を探す方が楽かもしれないほど数が多い

そんな中で木乃香から超と五月が中華まんの新作を考えてると聞いた横島は少し考え込む


「んじゃ、みんなが来る前に中華まんでも作ってみるか?」

「賛成や!」

せっかく混ぜてもらったんだから多少は役に立ちたいと考えた横島は、木乃香と一緒に中華まん作りを開始する

まずは中華まんの生地作りから始めて、発酵させてる間に中に詰める具を調理していく


「とりあえずオーソドックスな肉まんにするか。 中華まんって言っても入れる具や調味料の加減によって味が変わるからな~」

木乃香に重要なポイントを教えつつ普通に肉まんを作っていく横島だが、今回は流石に普通の肉まんらしい

以前に一度超包子の肉まんをコピーして作ってみたが、流石に人に教えるのはまずいと考えたようである


「あとは皮を伸ばして包むだけだな」

慣れない木乃香に一から丁寧に包み方を教える横島だったが、横島の教え方がいいのか木乃香が器用なのかは分からないがすぐにコツを掴んで上達していく

丁寧に包むため流石にペースは遅いが、それでも見た目は横島と大差ない見た目の物を作れる木乃香もまた人並み以上の才能があるようだ


「本当に上手いな。 何回か練習すれば売り物になりそうだよ」

「ウチな。 昔は京都の山奥に住んでたんやけど、友達になれる子が一人しかおらんかったんよ。 だからいつもお母様によく料理は教わってたんや」

横島が褒めると木乃香は嬉しそうな表情を見せ、ふと幼い頃の話を始める

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