二年目の春
「うむ、茶々丸君がのう。」
同じ頃麻帆良の近衛邸には土偶羅の分体である芦優太郎が訪れていた。
近右衛門の負担軽減の意味合いもあって最近は土偶羅のサポートする部分が増えており、芦優太郎として活動する分体は横島よりも近右衛門と会う機会が多い。
これに関しては雪広清十郎や那波千鶴子の要請と説得もあって実現したことで、他にも幹部以下関係者に徐々にだが仕事も任せてもいる。
寿命や健康問題は老化防止魔法薬や土偶羅の健康管理のおかげで一段落したが、幹部以下の人材を育てる意味合いもあり近右衛門自身の仕事は重要な部分を除き徐々に減らしていく予定だった。
ただ同時に少し前に魔法協会内部の問題人物を粗方処分したこともあり、近右衛門の権力自体は維持したままである。
とりあえず東西の統合の為には近右衛門の権力を当分は削れないのが実情であった。
「客観的に見て正しい判断と行動だ。 多少危険ではあったが、エヴァンジェリンの後ろ楯がある以上超鈴音も彼女に手は出せないだろうからな。」
この日は東西交渉など懸案事項を話していた二人だが、芦優太郎は先程本体から得た最新情報である超鈴音と茶々丸のやり取りを近右衛門に告げていた。
茶々丸が超鈴音の行動を間違ってると告げて、近右衛門やエヴァに相談するようにと言ったことを土偶羅は高く評価している。
それは場合によっては茶々丸自身の立場もあり危険な行動でもあったが、事実上エヴァの後ろ楯があるならば超鈴音も安易に手は出せないので悪い手ではない。
「正直相談されても困るが、麻帆良で革命を起こされるよりはマシかのう。」
「超鈴音もそれを分かっているから拒否したというのもあるだろう。」
一方の近右衛門は造られた存在である茶々丸がすでに魂を宿した九十九神のような存在だと聞き驚いていたが、同時に超鈴音の扱いを含めて彼女絡みの問題は悩みの種であった。
茶々丸の言うように相談してくれれば一緒に考えてやるくらいはするつもりだが、現実問題として彼女の目的の為に近右衛門が出来ることは多くない。
せいぜいこの時代で何をしても未来は変わらないと教えてやるくらいしか出来ないが、超鈴音は恐らくそれを聞いても実際に行動してみない限りは止まらないだろう。
かと言ってやがて未来に帰るかもしれない超鈴音に横島の素性や土偶羅の存在を明かすのは、やはり危険すぎて反対なのである。
「彼女も悩んどるんじゃろうな。」
超鈴音は未来を変えることを望みつつ、同時にそれを止められることも望んでいる。
それは一見すると矛盾した想いでもあるが彼女自身が自らの計画を心底正しいとは思ってない証拠でもあり、ある意味彼女が自身の計画の矛盾を一番理解している証なのだろうと近右衛門は思う。
正直なところ超の行動はこちらには筒抜けなので現状では止めるのはさほど難しくない。
仮に近右衛門が動かなくても茶々丸が横島や高畑に協力を頼めば自体は一気に動く可能性がある。
ただ近右衛門は超の計画を認めることは不可能でも、出来ることならば自らも悩み苦しむ超鈴音にも何か救いや希望の光を見せてやりたいとは考えてしまう。
魔法協会のトップとしては危険な人物だと警戒せねばならないが、教育者として人の親としてはまだ年端もいかぬ子供なだけにあまりに不憫な現状に思わず手をさしのべたくもなるようだった。
同じ頃麻帆良の近衛邸には土偶羅の分体である芦優太郎が訪れていた。
近右衛門の負担軽減の意味合いもあって最近は土偶羅のサポートする部分が増えており、芦優太郎として活動する分体は横島よりも近右衛門と会う機会が多い。
これに関しては雪広清十郎や那波千鶴子の要請と説得もあって実現したことで、他にも幹部以下関係者に徐々にだが仕事も任せてもいる。
寿命や健康問題は老化防止魔法薬や土偶羅の健康管理のおかげで一段落したが、幹部以下の人材を育てる意味合いもあり近右衛門自身の仕事は重要な部分を除き徐々に減らしていく予定だった。
ただ同時に少し前に魔法協会内部の問題人物を粗方処分したこともあり、近右衛門の権力自体は維持したままである。
とりあえず東西の統合の為には近右衛門の権力を当分は削れないのが実情であった。
「客観的に見て正しい判断と行動だ。 多少危険ではあったが、エヴァンジェリンの後ろ楯がある以上超鈴音も彼女に手は出せないだろうからな。」
この日は東西交渉など懸案事項を話していた二人だが、芦優太郎は先程本体から得た最新情報である超鈴音と茶々丸のやり取りを近右衛門に告げていた。
茶々丸が超鈴音の行動を間違ってると告げて、近右衛門やエヴァに相談するようにと言ったことを土偶羅は高く評価している。
それは場合によっては茶々丸自身の立場もあり危険な行動でもあったが、事実上エヴァの後ろ楯があるならば超鈴音も安易に手は出せないので悪い手ではない。
「正直相談されても困るが、麻帆良で革命を起こされるよりはマシかのう。」
「超鈴音もそれを分かっているから拒否したというのもあるだろう。」
一方の近右衛門は造られた存在である茶々丸がすでに魂を宿した九十九神のような存在だと聞き驚いていたが、同時に超鈴音の扱いを含めて彼女絡みの問題は悩みの種であった。
茶々丸の言うように相談してくれれば一緒に考えてやるくらいはするつもりだが、現実問題として彼女の目的の為に近右衛門が出来ることは多くない。
せいぜいこの時代で何をしても未来は変わらないと教えてやるくらいしか出来ないが、超鈴音は恐らくそれを聞いても実際に行動してみない限りは止まらないだろう。
かと言ってやがて未来に帰るかもしれない超鈴音に横島の素性や土偶羅の存在を明かすのは、やはり危険すぎて反対なのである。
「彼女も悩んどるんじゃろうな。」
超鈴音は未来を変えることを望みつつ、同時にそれを止められることも望んでいる。
それは一見すると矛盾した想いでもあるが彼女自身が自らの計画を心底正しいとは思ってない証拠でもあり、ある意味彼女が自身の計画の矛盾を一番理解している証なのだろうと近右衛門は思う。
正直なところ超の行動はこちらには筒抜けなので現状では止めるのはさほど難しくない。
仮に近右衛門が動かなくても茶々丸が横島や高畑に協力を頼めば自体は一気に動く可能性がある。
ただ近右衛門は超の計画を認めることは不可能でも、出来ることならば自らも悩み苦しむ超鈴音にも何か救いや希望の光を見せてやりたいとは考えてしまう。
魔法協会のトップとしては危険な人物だと警戒せねばならないが、教育者として人の親としてはまだ年端もいかぬ子供なだけにあまりに不憫な現状に思わず手をさしのべたくもなるようだった。