「やっぱ来てない子も結構居るな。 こういうのってお返しに行くべきかな？」

少し話が逸れたがホワイトデーのこの日も相変わらず賑やかな午後であった。

ただ横島とタマモにバレンタインチョコを渡した子の全てが今日店に来た訳ではなく三割ほどは来てない。


「うーん、義理だしそこまでしなくてもいいんじゃない。 明日と明後日の土日でほとんどくるわよ。」

もうすぐ夕食の時間となりこの日も楽器の練習をしに来ていた美砂達が一階に戻って来たので、横島はホワイトデーのお返しを届けに行くべきかと尋ねるが美砂達は少し考えてそこまでしなくてもいいと告げる。

仮にこれが本命ならばまた別なのだろうがほとんどというか横島に本命と名言までした人は居ないらしく、義理チョコのお返しをわざわざ届けにいく必要はないだろうということらしい。

実際女子中高生の女子寮に横島がお返しを届けに行くと騒ぎになるのは考えなくても分かることだった。

ちなみにタマモはお散歩の途中で貰ったチョコのお返しを届けに出向いていたが、流石に女子寮にまでは行ってない。



「それより私達へのお返しは？」

「それは後でな。」

この日はちょうど金曜で明日と明後日は休みなので結局横島達がお返しをする相手がくるだろうと待つことにするが、美砂はそれよりも自分達へのお返しをまだ貰ってないと少し不満げに口にする。

実際つい先程まで常連の子達にホワイトデーのお返しをする姿を何度も見ていて、中には満更でもない子も当然居たので心情的に少し面白くないようだ。

ただ横島も流石にお客さんと身内へのお返しを同じにするほどバカではないので、木乃香達や美砂達へのお返しは全く別に用意していた。


「ねえ、桜咲さんと茶々丸さんも連れて行くの？」

ただこの日はホワイトデーということでお返しとは別に少女達を再び異空間アジトに遊びに連れていくと約束も以前にしている。

その為前回異空間アジトに行った刀子と高畑以外の大人組を除いたメンバーが集まるが、その中には前回は居なかった刹那と茶々丸も来ていた。


「いろいろ約束が入ってな。 桜咲さんは刀子さんと修行だよ。 茶々丸ちゃんはまた別なんだが。」

雪広家の長女さやかを含めて顔馴染みなメンバーなので特に驚きはないが、前回居なかった刹那と茶々丸には少し不思議そうにしている者もいる。

まあ実際横島が高畑の修行に手を貸す一貫として異空間アジトの霊動シミュレーターを使わせることやそれを刀子と刹那にも使わせることも今回一緒に予定していたし、先程茶々丸が自ら超鈴音と決別したとエヴァから連絡が来たので急遽茶々丸のメンテナンスの為の準備も早い方がいいので今回一緒に行うことにしていた。


「あの、修行しに行くのではないのですか？」

「いろいろ事情があってね。 修行はするけど説明は後でするわ。」

ちなみに刹那は高畑と刀子と一緒に修行しに出掛けるとだけ言われて来たので、何故横島の店に来てしかもみんな出掛ける準備をしているのかと不思議そうにしている。


「マスター、もしや私のメンテナンスは横島さんが？」

「ああ、あの男に頼んだ。」

それともう一人の事情を知らない茶々丸はつい先程エヴァに超鈴音とのやり取りを報告していたので、話の流れ的に横島に自分のメンテナンスを頼んだのだと気付いていた。

元々茶々丸は少し前にエヴァの別荘にて横島があげた空飛ぶクルーザーを目撃していたので、エヴァが自分のメンテナンスを頼んだのは横島の知り合いだろうと目星は付けていたのだ。

横島としては超鈴音に知られても問題ない範囲だと考えていたが、実際問題あのクルーザーが現行の科学技術では不可能な代物なのは茶々丸でなくともわかることである。

超にとって運が悪かったのは彼女が茶々丸の記憶メモリーまで確認することが最近なかったことだろう。