二年目の春
「貴様の余裕は、その土偶羅という奴の為か。」
「ああ、元々はアシュタロスの遺産を管理してるんだが有能でな。 って、土偶羅。 お前が本体で人前に出てくるなんて珍しいな。」
明日菜の未来ばかりかナギの解放までほとんど横島次第と言える現状にエヴァは最早呆れるばかりだったが、そもそもの問題として横島には個人としての武力よりも頼れる存在があるということは理解したようだ。
横島もちょうど土偶羅のことを話始めるが、そんな時突然土偶羅の本体が現れると横島が飲みかけの酒を手に取り勝手に飲んでいた。
「お前が適当に話すと余計に誤解が増えそうな気がしたんでな。」
その土偶にしか見えない容姿にエヴァも刀子も一瞬驚き固まるが、流石に突っ込む訳にもいかずに成り行きを見守る。
まあ驚いているのは横島も同じで、土偶羅が本体で人前に姿を現すのは近右衛門達にもまだしてなくこちらの世界に来てから初めてであった。
「初めましてと言っておこうか。 エヴァンジェリン・A・K・
マクダウェル、葛葉刀子よ。」
それは何処か見えない緊張感が漂う雰囲気である。
別に土偶羅は威嚇もなにもしてないが媚びる訳でもないので幾分冷たい表情にも見える。
「横島が自慢する戦わない力を持つ者か。」
「別に戦うことを否定はしないが、そういうことになるな。 戦うべき時は選ぶべきだと考えている。 それはお前もよく理解してるはずだろう。 エヴァンジェリン。」
いつの間にか土偶羅とエヴァは相対するような形になっていた。
何処か胡散臭げとでも言いたそうなエヴァに土偶羅は淡々と答えるも、その言葉には微かな毒が混じっている。
かつてエヴァがメガロメセンブリアを筆頭とする魔法使い達を敵に回したのが、地球側のとある都市で町を好き放題にしてる魔法使いと戦ってしまったことが根源にあったのだ。
「貴様……。」
「ワシは横島の意思の元で具体的な対処をするのが仕事だ。 そしてそれにはありとあらゆる情報収集が必要不可欠なのだ。 尤もお前のことは魔法世界の歴史を辿る過程で偶然繋がったことだが。」
暗にエヴァの過去も知っていると匂わせた土偶羅にエヴァは不愉快そうな表情に変わるが、土偶羅には別にエヴァを挑発するつもりはなく少々言葉と態度がキツいだけである。
「ねえ……。」
「相性悪いんっすかね。」
一方刀子と横島は二人で緊迫した空気を作り出すエヴァと土偶羅に軽く置いていかれていた。
刀子は横島に止めたらと言いたげだが、横島はどうしようかと迷ったままだ。
「そうそう、お前の過去でお前の知らないだろう事実もあるが聞きたいか?」
「私の知らな過去だと? いいだろう。 話せ。」
「うむ、お前から人としての人生を奪った者のことだ。 極論を言えばその者はまだ生きている。 お前達が世界樹と呼ぶ蟠桃の地下に封印されてな。」
そんな横島達を尻目に土偶羅は相変わらずのマイペースで話を続けるが、彼は突然エヴァに自身の知らない過去の情報があると持ちかける。
すっかり不愉快そうなエヴァはその言葉に表情を更に険しくするが、それでも土偶羅の話を聞いてしまう。
「馬鹿なあの男は私が……。 いや、奴なら……。」
「これは近衛近右衛門も知らないし横島にも報告してないことだ。 ワシの他に知るのはお前の知り合いだとアルビレオ・イマだけだろう。 何故奴が知ってるかまでは調べてないがな。」
それはエヴァにとって、いまだかつてないほどの衝撃だったのかもしれない。
かつてエヴァ自身が殺したと思っていた尤も憎むべき相手がよりによって創造主と呼ばれる存在だったのだから。
「土偶羅、どういうことだ?」
「アレの対処を検討する際に過去を調べたら偶然エヴァンジェリンに繋がったのだ。 つまりアレはエヴァンジェリンのカタキでもあるのだ。」
ショックを受けたように固まるエヴァに横島はたまらず事情を尋ねるも、創造主がエヴァのカタキでもあると言われて横島もまた驚いてしまう。
「ああ、元々はアシュタロスの遺産を管理してるんだが有能でな。 って、土偶羅。 お前が本体で人前に出てくるなんて珍しいな。」
明日菜の未来ばかりかナギの解放までほとんど横島次第と言える現状にエヴァは最早呆れるばかりだったが、そもそもの問題として横島には個人としての武力よりも頼れる存在があるということは理解したようだ。
横島もちょうど土偶羅のことを話始めるが、そんな時突然土偶羅の本体が現れると横島が飲みかけの酒を手に取り勝手に飲んでいた。
「お前が適当に話すと余計に誤解が増えそうな気がしたんでな。」
その土偶にしか見えない容姿にエヴァも刀子も一瞬驚き固まるが、流石に突っ込む訳にもいかずに成り行きを見守る。
まあ驚いているのは横島も同じで、土偶羅が本体で人前に姿を現すのは近右衛門達にもまだしてなくこちらの世界に来てから初めてであった。
「初めましてと言っておこうか。 エヴァンジェリン・A・K・
マクダウェル、葛葉刀子よ。」
それは何処か見えない緊張感が漂う雰囲気である。
別に土偶羅は威嚇もなにもしてないが媚びる訳でもないので幾分冷たい表情にも見える。
「横島が自慢する戦わない力を持つ者か。」
「別に戦うことを否定はしないが、そういうことになるな。 戦うべき時は選ぶべきだと考えている。 それはお前もよく理解してるはずだろう。 エヴァンジェリン。」
いつの間にか土偶羅とエヴァは相対するような形になっていた。
何処か胡散臭げとでも言いたそうなエヴァに土偶羅は淡々と答えるも、その言葉には微かな毒が混じっている。
かつてエヴァがメガロメセンブリアを筆頭とする魔法使い達を敵に回したのが、地球側のとある都市で町を好き放題にしてる魔法使いと戦ってしまったことが根源にあったのだ。
「貴様……。」
「ワシは横島の意思の元で具体的な対処をするのが仕事だ。 そしてそれにはありとあらゆる情報収集が必要不可欠なのだ。 尤もお前のことは魔法世界の歴史を辿る過程で偶然繋がったことだが。」
暗にエヴァの過去も知っていると匂わせた土偶羅にエヴァは不愉快そうな表情に変わるが、土偶羅には別にエヴァを挑発するつもりはなく少々言葉と態度がキツいだけである。
「ねえ……。」
「相性悪いんっすかね。」
一方刀子と横島は二人で緊迫した空気を作り出すエヴァと土偶羅に軽く置いていかれていた。
刀子は横島に止めたらと言いたげだが、横島はどうしようかと迷ったままだ。
「そうそう、お前の過去でお前の知らないだろう事実もあるが聞きたいか?」
「私の知らな過去だと? いいだろう。 話せ。」
「うむ、お前から人としての人生を奪った者のことだ。 極論を言えばその者はまだ生きている。 お前達が世界樹と呼ぶ蟠桃の地下に封印されてな。」
そんな横島達を尻目に土偶羅は相変わらずのマイペースで話を続けるが、彼は突然エヴァに自身の知らない過去の情報があると持ちかける。
すっかり不愉快そうなエヴァはその言葉に表情を更に険しくするが、それでも土偶羅の話を聞いてしまう。
「馬鹿なあの男は私が……。 いや、奴なら……。」
「これは近衛近右衛門も知らないし横島にも報告してないことだ。 ワシの他に知るのはお前の知り合いだとアルビレオ・イマだけだろう。 何故奴が知ってるかまでは調べてないがな。」
それはエヴァにとって、いまだかつてないほどの衝撃だったのかもしれない。
かつてエヴァ自身が殺したと思っていた尤も憎むべき相手がよりによって創造主と呼ばれる存在だったのだから。
「土偶羅、どういうことだ?」
「アレの対処を検討する際に過去を調べたら偶然エヴァンジェリンに繋がったのだ。 つまりアレはエヴァンジェリンのカタキでもあるのだ。」
ショックを受けたように固まるエヴァに横島はたまらず事情を尋ねるも、創造主がエヴァのカタキでもあると言われて横島もまた驚いてしまう。