二年目の春

さてそれから数日が過ぎた週末の夜、横島とタマモは木乃香達と一緒に図書館探検部の活動に参加していた。

木乃香達がいろいろ忙しくなった影響で以前ほど活動出来なくなった図書館探検だが、それでも月に一度はなんとか活動している。


「魔法なんてものがあると考えるとこの図書館もまた違った意味で興味深いのよね。」

「それにしても本当に蔵書の目録がないとは……。」

例によってこの日も地下の蔵書の調査をしている一同だが、実は夕映は魔法の存在を知って以降に図書館島の地下についても調べていた。

本当は蔵書の目録なんかがあるのではと考えたらしいが、貴重な魔法書などはともかく一般の地下図書館の蔵書に関しては目録は魔法協会にもなかったらしい。


「関東魔法協会も過去に何度かゴタゴタがあったらしいからな。 その過程で紛失したのか誰かが破棄したのか。」

横島は相変わらず本棚の上で木乃香達を吊るしているロープを引っ張り上げたりする役割を果たしているが、暇らしくタマモと遊びながら木乃香達と話をしている。

図書館島に関しては魔法協会という裏側から見ても少し変わった存在であり、財産と言えるほどの蔵書があるものの管理が出来てないという欠点もあった。

まあこれは一言では言えないような複雑な魔法協会の歴史の賜物のような結果なのだが。


「そう言えばタマモちゃんが初めて来た時に空気が綺麗って言ってましたけど、それも魔法の効果なんですか?」

「そうだと思う。 図書館島の地下全域が魔法の結界の中だからな。 俺も詳しく知らんが環境維持の魔法とか防御魔法とかいろいろ使ってると思う。」

そのまま蔵書の調査を続ける一同であるが、二時間ほどして休憩にすることになる。

レジャーシートを広げて薄暗い地下での休憩になるが、まるでキャンプの夜みたいだとタマモは楽しげであった。

そんなタマモを微笑ましく見ていた一同だが、ふとのどかがタマモが初めて図書館島の地下に来た時に言っていた空気が綺麗だとの言葉を思い出す。

あの時も不思議だと感じたが、今考えて見ると閉鎖的なはずの地下に滝があったり空気が綺麗だったりする理由は魔法以外には考えられなかった。

尤もこの日は日頃説明役になっている刀子や高畑が居ないため、横島のうろ覚えな情報での説明になっていが。


「どうやら麻帆良の地下には魔法関係の施設が多いようですからね。 中にはほとんど使ってない場所も多いようですし、魔法関係者にも公開してない施設もあるらしいです。」

その後話題は麻帆良の地下に移るが横島はほとんど知らなく夕映の方がすでに詳しかった。

尤も夕映は一般の魔法関係者に公開されてる情報しか知らないが。

ちなみに夕映はのどかと魔法関係の情報を調べる為に魔法協会の施設を何度か訪れていて、一部の関係者からは勉強熱心だと感心されていて流石は雪広グループで認められた才女達だとその評価を地道に上げているが本人達は気付いてなかった。

実のところ一般的な見習い魔法使いはそこまで魔法関係の様々な情報なんかに興味を示さない人が意外に多いらしい。

まあ一般人が自分達の国や市町村のしくみやら情報を積極的に調べないのと同じで、生粋の魔法関係者はあまり魔法関係の情報に興味を持たないのかもしれないが。



18/100ページ
スキ