平和な日常~冬~6

それから数日はテスト勉強と例によってテストの山かけをする日々が続く。

ただ前回と少し違うのは前回は本当にいろんな人のテスト予想が出回ったのに対して、今回は前回評判が良かった山かけだけが出回ったことだろう。

当然ながら当たる人の山かけが評判を呼び求められる形になっていて、横島の他には麻帆良で有名な塾の講師や引退した元教師に大学院生などかなり絞られている。

また一部の生徒はここ数年のテスト問題と有名な山かけを用いてテスト予想するサークルまで作り研究していた。

ちなみに横島は何故か麻帆良ではテストの山かけブームを作った人としての認知もされていたりするが。


「おー、みんなよく出来たじゃんか。」

「クラスの順位も今までで最高の六位まで上がったんだよ!」

そして期末テストが行われるが、2ーAは今回の期末で過去最高の六位までクラスの順位が上昇していた。

元バカレンジャー組も誰一人赤点を取ってないし、クラス全体を見ても高畑の努力の成果もあって成績が上昇しているのだ。

まあ本来ならばネギが担任になることで一気に一位まで上がるはずだったものが六位になったのはどう評価するべきか難しいところではあるが。

ただ最早別の未来を選んだ世界だという証とも言える。


「のどかちゃんと明日菜ちゃんもよく頑張ったな。」

加えて今回のテストでもまたのどかと明日菜の成績上昇が目立っていた。

のどかなんかは個人順位で五位に入ってしまい、今回四位のあやかに後少しのところだったらしい。

明日菜に関しても成績が二百八十位まで上昇していて、クラスメートの大半よりも成績が良かった。


「高畑先生も誉めてくれましたよ。」

今回は二年の最終テストということで一年を総括することになったようだが、のどかに関しては優秀な生徒が多い麻帆良において中等部とはいえ一桁の順位を一年維持するのは簡単ではない。

実はのどかの両親が一番ビックリしてるなんて話もあるほどであり、この上アルバイトまでしてるというのだからのどかは超や葉加瀬のような一種の天才かとも思われ始めている。


「私の場合はいつまた落ちるか分からないから必死ですよ。」

一方の明日菜は上昇率だけでいえば近年希に見るほどだが、本人は相変わらず必死らしい。

最近は横島が教えることが減りつつあるが、それでもその分のどかに助けて貰ってるのでどうしても自分の実力だけだとは思えないようだった。


「勉強の仕方も覚えたし、このまま継続すりゃそんな急には落ちんだろ。 ってかバイト掛け持ちしてこんだけ成績が良いのに自虐的になってたら他の子の立場がないって。」

長年染み付いたバカというレッテルに明日菜自身の意識が成績に追い付いてないが、横島はそんな明日菜を見て相変わらず自分のことは棚にあげて笑いながら諭すように語っていく。

女子中等部二年全体から見ても明日菜はすでに中位でも上の方に入るが、新聞配達と横島の店で掛け持ちでバイトをしている割には成績は高い方である。

あまり自虐的になると他の子が立場がないと言うと明日菜もハッとしたようになるが、夕映を筆頭に常連の少女達は未だにモテないと自虐的になる横島が言うかと少し呆れた表情をしていた。


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