平和な日常~冬~6
さてそんなこの日も夜を迎えると、少女達と入れ違うように近右衛門とあやかの父政樹と千鶴の父衛が店に訪れていた。
取り立てて重要な案件がある訳ではないが、現状てま横島と近右衛門達に必要なのは相互理解と交流であり特に近右衛門達は時間がある時は自分達から店に来るようにしている。
「ワシは今日という日には何かあるかもしれんと少し気になっておったんじゃが。 まさか横島君は忘れてるとは……。」
最近近右衛門は重要な問題は芦優太郎こと土偶羅の分体に意見を求めることが増えているようで、どうやら今日が本来ならばネギが来る日だと聞いていたらしい。
土偶羅は心配無用だとは言ったようだが、全く気にならないという訳にもいかないようだ。
「現状程度だと歴史の揺り戻しはないと思いますよ。 まあ長期的に見て世界が混乱に向かうのは確かでしょうけど。」
歴史の揺り戻しというか世界が本来あるべき方向へ流れていくのは横島も土偶羅も認めているが、それが自分達に影響があるかと言われると実はそんなに心配はない。
かつての世界で神魔の最高指導者を圧倒した横島の存在と、アシュタロスが自分の亡き後の世界への嫌みを込めて遺した異空間アジトと土偶羅が居れば世界の流れの影響など些細でしかない。
無論全く影響がない訳ではないが、少しばかり流れの方向を変えてやれば自分達と周囲を守るくらいは出来た。
「こう言う言い方をすると困るかもしれないが、君なら根本的な問題を解決した方が早いのでは?」
「魔法世界の消滅を回避するだけなら多分そうっすよ。 しかし結局は長期的に世界が混乱する流れなのは変わらないんですよ。 どのみち新たな問題が浮上するだけでして。」
横島と近右衛門達はお酒を飲みながら話していたからか次第に本音に近い言葉も出始めるが、少し悩みながらも横島に核心に迫る質問をしたのは衛だった。
世界の流れや歴史の影響に世界が数多あると理解する横島達にしては、現状は遠慮というか消極的にも見えてしまうのだろう。
横島自身も魔法世界の消滅を回避するだけならばさほど難しいことではないが、問題は魔法世界の消滅を止めても二つに分かれた世界の歪みや世界の流れまで変わらないことにある。
極論を言えば最終的には横島と土偶羅で世界の管理でもしない限りは別の問題が出てくるだけであり、世界の管理というのは神族の役割なので完全に越権行為になる。
たとえ人間界に神族が居なくとも存在そのものが無い訳ではないので、横島にとって過剰な世界への介入は禁じ手であった。
「なるほど。 どのみち物語のような平和な世界はあり得ないと。」
「そこまで言ってませんよ。 全ての生きとし生けるものがみんな同じ未来を願えば可能と言えば可能ですよ。 ただ現実にはあり得ないでしょうけど。」
横島の説明に近右衛門達は結局自分達の厳しい現状は変わらないのだと理解したからか少し重苦しい空気になるも、横島はそれを安易に否定も出来ずに困ってしまう。
ただ横島にしても魔法世界を絶対に見捨てると決めてる訳ではなく、現状では助ける義理もないので様子見の段階であるだけだが。
「魔法世界の人達がもう少し真剣に世界や歴史と向き合うなら、こっそり力を貸してもいいんですけどね。」
「まずそれは無理じゃろう。」
そのまま横島は魔法世界を助ける条件のようなものを口にするが、近右衛門はそれは無理だと考える間もなく言いきる。
横島の条件は第三者から見ても良心的であり甘くもあったが、二十年前の英雄による世界の救済に味をしめた魔法世界が自分達の血を流し誇りや歴史を捨ててまで出来るとは近右衛門には思えない。
結局は自分達の未来は自分達で守るという努力をするしかないのだと理解しただけでも、政樹と衛は話をして良かったのだろうと思うしかなかった。
取り立てて重要な案件がある訳ではないが、現状てま横島と近右衛門達に必要なのは相互理解と交流であり特に近右衛門達は時間がある時は自分達から店に来るようにしている。
「ワシは今日という日には何かあるかもしれんと少し気になっておったんじゃが。 まさか横島君は忘れてるとは……。」
最近近右衛門は重要な問題は芦優太郎こと土偶羅の分体に意見を求めることが増えているようで、どうやら今日が本来ならばネギが来る日だと聞いていたらしい。
土偶羅は心配無用だとは言ったようだが、全く気にならないという訳にもいかないようだ。
「現状程度だと歴史の揺り戻しはないと思いますよ。 まあ長期的に見て世界が混乱に向かうのは確かでしょうけど。」
歴史の揺り戻しというか世界が本来あるべき方向へ流れていくのは横島も土偶羅も認めているが、それが自分達に影響があるかと言われると実はそんなに心配はない。
かつての世界で神魔の最高指導者を圧倒した横島の存在と、アシュタロスが自分の亡き後の世界への嫌みを込めて遺した異空間アジトと土偶羅が居れば世界の流れの影響など些細でしかない。
無論全く影響がない訳ではないが、少しばかり流れの方向を変えてやれば自分達と周囲を守るくらいは出来た。
「こう言う言い方をすると困るかもしれないが、君なら根本的な問題を解決した方が早いのでは?」
「魔法世界の消滅を回避するだけなら多分そうっすよ。 しかし結局は長期的に世界が混乱する流れなのは変わらないんですよ。 どのみち新たな問題が浮上するだけでして。」
横島と近右衛門達はお酒を飲みながら話していたからか次第に本音に近い言葉も出始めるが、少し悩みながらも横島に核心に迫る質問をしたのは衛だった。
世界の流れや歴史の影響に世界が数多あると理解する横島達にしては、現状は遠慮というか消極的にも見えてしまうのだろう。
横島自身も魔法世界の消滅を回避するだけならばさほど難しいことではないが、問題は魔法世界の消滅を止めても二つに分かれた世界の歪みや世界の流れまで変わらないことにある。
極論を言えば最終的には横島と土偶羅で世界の管理でもしない限りは別の問題が出てくるだけであり、世界の管理というのは神族の役割なので完全に越権行為になる。
たとえ人間界に神族が居なくとも存在そのものが無い訳ではないので、横島にとって過剰な世界への介入は禁じ手であった。
「なるほど。 どのみち物語のような平和な世界はあり得ないと。」
「そこまで言ってませんよ。 全ての生きとし生けるものがみんな同じ未来を願えば可能と言えば可能ですよ。 ただ現実にはあり得ないでしょうけど。」
横島の説明に近右衛門達は結局自分達の厳しい現状は変わらないのだと理解したからか少し重苦しい空気になるも、横島はそれを安易に否定も出来ずに困ってしまう。
ただ横島にしても魔法世界を絶対に見捨てると決めてる訳ではなく、現状では助ける義理もないので様子見の段階であるだけだが。
「魔法世界の人達がもう少し真剣に世界や歴史と向き合うなら、こっそり力を貸してもいいんですけどね。」
「まずそれは無理じゃろう。」
そのまま横島は魔法世界を助ける条件のようなものを口にするが、近右衛門はそれは無理だと考える間もなく言いきる。
横島の条件は第三者から見ても良心的であり甘くもあったが、二十年前の英雄による世界の救済に味をしめた魔法世界が自分達の血を流し誇りや歴史を捨ててまで出来るとは近右衛門には思えない。
結局は自分達の未来は自分達で守るという努力をするしかないのだと理解しただけでも、政樹と衛は話をして良かったのだろうと思うしかなかった。