麻帆良祭への道

さて六月に入りにわかに忙しくなって来た横島だったが、図書館探検部の活動も定期的に参加していた

こちらは相変わらず地道な作業で特には進展などないが、木乃香達と同じチームとして頑張っている

春の発表会で紹介した本の影響で多少名前と顔が売れた横島達は、探検部のトップメンバー達から多少情報が入るようになっていた

まあ横島は相変わらず何もしてないが、木乃香や夕映は大学部のトップメンバーから情報を貰い探検する範囲を決めている

まだ中学生な木乃香達な為にあまり厳しい場所の情報は教えて貰えないようだが、それなりに貴重な場所やルートは教えて貰えるようだった

元々図書館探検部は部員が多い代わりに幽霊部員や遊び半分な者も多く、地下の情報は力量に合わせてしか教えてなかったのだ

その点木乃香達は横島という成人の存在とやる気を認められ、中学生が主体のチームにしては異例の情報も僅かだが貰えるらしい


「図書館探検部は一般向けの探検大会やるんか」

「はい、他にも貴重な本の一般公開も同時に行ってますが、人気のあるのは探検大会です」

この日は地下六階に向かう事になった横島と木乃香達だったが、ここでも話題は麻帆良祭だった

例によって図書館探検部のイベントを説明する夕映だが、地下探検大会は人気のイベントの一つらしい

イベント名は探検大会となってはいるが、このイベントは実質的には図書館島の地下の見学に近かった

それでも世界最大とも言われる図書館島なだけに、地下の見学だけでも結構な希望者が集まるらしい


「麻帆良祭は公式イベントだけで百以上は軽くあるんよ。 非公式を合わせるといくつになるんやろ?」

「ゲリライベントも多いのよねー 実行委員会ってあれこれ五月蝿いからさ」

夕映の説明に続き木乃香やハルナが麻帆良祭のイベントの数や実情を教えているが、実行委員会が把握してる公式イベントだけで百種類を越える数があるようだ

他の非公式イベントやゲリライベントの数は倍にも及ぶとの噂もあり、実際の数は誰も把握出来ないのではとの噂だった


「イベントの数凄いな。 しかし実行委員会はそんな五月蝿いのか?」

「公式になると資金援助とかサポートがあるけど細かい規律も五月蝿いのよ。 資金稼ぎとかの目的がなくて楽しむだけのイベントは大半が非公式かゲリライベントね」

イベントの数に普通に驚く横島だったが、同時に麻帆良学園や実行委員会の苦労を思うと苦笑いが出てしまう

横島は知らないが実際麻帆良学園側はイベントの把握に毎年苦労するし、やり過ぎるイベントを止めたりするのも大変だった

ハルナは実行委員会が五月蝿いと言うが、それは一般的な意見でもあり高校や大学のサークルの大半は公式イベントと非公式イベントの両方やる事が普通なようだ


「楽しそうだな~ どっから見ようかな~」

麻帆良祭のイベントについて聞いていた横島はまるで子供のように目を輝かせてはしゃぎ、木乃香達はそんな横島に思わず笑ってしまう

こうしてみると同年代に見えてくるから不思議だった

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