平和な日常~冬~6
「これはまたずいぶんとレトロな店やな。」
その後七時を過ぎた頃になると、刀子がこの日の話し合いを終えた関西の交渉団の一行を連れて横島の店に到着していた。
店の外観は相変わらずドラマにでも出て来そうなほどの雰囲気で、今夜はすでに閉店して貸し切りにしてるので看板は見られなく外観からはなんの店か分からないだろう。
「いらっしゃいませ。」
そんなアンティークな店に入る一行を迎えたのは夕映と明日菜とさよとタマモだった。
店の雰囲気と不釣り合いなほどあまりに若い店員の少女達に関西の一行はしばし唖然とするも、刀子に促されるままに店内へと足を踏み入れる。
季節的に店内は暖かく邪魔にならない程度の音楽が流れていて、彼らは店内に入ってここが喫茶店であることを初めて知った。
「お飲み物はいかがなさいますか?」
店内はすでに店の中央に関西の交渉団計十名と刀子が座る席を用意していて、席に座るとすぐにおしぼりと飲み物のメニューというかリストを配る。
飲み物のリストは喫茶店用ではなく今夜の為に夕映達が夕方に作った物であり、貸し切りなので値段が書かれてないこととメニューにはないお酒のリストが載っていた。
「随所と馴染み深い酒ばっかりやわ。 関東で見るとは思わなかったな。」
「そういやそうやな。」
飲み物のリストからそれぞれに酒を選んでいくが、半数ほどがビールで残りは日本酒や焼酎を頼む。
一行はお酒のリストを見て馴染み深い酒ばかりなことに少し驚いていたが、この日のお酒は食材と一緒に京都から送ってもらった酒だけに当然だった。
そのままお酒や料理が続々と運ばれて来ると、その料理にまた驚くことになる。
それは馴染み深い京料理の中でも庶民的なおばんざいだったのだから。
「刀子君、この店は一体……。」
「すぐに分かることですけど、ここは先日皆様が会われた木乃香お嬢様が働いてる店になります。」
なんというか意外性で楽しませるような驚きの数々だが、今日の主催者である刀子はそんなもてなしをするタイプには見えない。
何か訳ありかとも考え始めた一行に刀子はクスッと笑みを見せるとネタばらしをする。
「どうも、いらっしゃいませ。」
「みなさん、こんばんは~。」
そんな刀子のネタばらしに時を合わせるように横島と木乃香も料理を運んで来ると、一行はすぐにはどんな反応をしていいか分からなかったのか固まってしまう。
「あらどうしたの?」
「あのひと、とうこさんににてる。 おとうさん?」
それは少し困ったような微妙な空気であるが、それを一瞬で変えたのはやはりタマモの一言だった。
タマモは先程から箸やコップに取り皿などを運んでいたが、関西の一行の中の一人の年配男性を何故か興味深げに見ていたのだ。
「ええ、あの人は私のお父さんよ。 よく分かったわね。」
「わかるよ! おやこだもん。」
木乃香の両親の時もそうだがタマモは視覚と同時に匂いで相手を判別していて、無意識だがそれは純粋な匂いというより霊臭をかぎ分けてもいる。
突然タマモが家族を当てたことに関西の一行の空気は緩み、刀子と父の直人を見比べそんなに似てるかと会話が弾んでいく。
その後七時を過ぎた頃になると、刀子がこの日の話し合いを終えた関西の交渉団の一行を連れて横島の店に到着していた。
店の外観は相変わらずドラマにでも出て来そうなほどの雰囲気で、今夜はすでに閉店して貸し切りにしてるので看板は見られなく外観からはなんの店か分からないだろう。
「いらっしゃいませ。」
そんなアンティークな店に入る一行を迎えたのは夕映と明日菜とさよとタマモだった。
店の雰囲気と不釣り合いなほどあまりに若い店員の少女達に関西の一行はしばし唖然とするも、刀子に促されるままに店内へと足を踏み入れる。
季節的に店内は暖かく邪魔にならない程度の音楽が流れていて、彼らは店内に入ってここが喫茶店であることを初めて知った。
「お飲み物はいかがなさいますか?」
店内はすでに店の中央に関西の交渉団計十名と刀子が座る席を用意していて、席に座るとすぐにおしぼりと飲み物のメニューというかリストを配る。
飲み物のリストは喫茶店用ではなく今夜の為に夕映達が夕方に作った物であり、貸し切りなので値段が書かれてないこととメニューにはないお酒のリストが載っていた。
「随所と馴染み深い酒ばっかりやわ。 関東で見るとは思わなかったな。」
「そういやそうやな。」
飲み物のリストからそれぞれに酒を選んでいくが、半数ほどがビールで残りは日本酒や焼酎を頼む。
一行はお酒のリストを見て馴染み深い酒ばかりなことに少し驚いていたが、この日のお酒は食材と一緒に京都から送ってもらった酒だけに当然だった。
そのままお酒や料理が続々と運ばれて来ると、その料理にまた驚くことになる。
それは馴染み深い京料理の中でも庶民的なおばんざいだったのだから。
「刀子君、この店は一体……。」
「すぐに分かることですけど、ここは先日皆様が会われた木乃香お嬢様が働いてる店になります。」
なんというか意外性で楽しませるような驚きの数々だが、今日の主催者である刀子はそんなもてなしをするタイプには見えない。
何か訳ありかとも考え始めた一行に刀子はクスッと笑みを見せるとネタばらしをする。
「どうも、いらっしゃいませ。」
「みなさん、こんばんは~。」
そんな刀子のネタばらしに時を合わせるように横島と木乃香も料理を運んで来ると、一行はすぐにはどんな反応をしていいか分からなかったのか固まってしまう。
「あらどうしたの?」
「あのひと、とうこさんににてる。 おとうさん?」
それは少し困ったような微妙な空気であるが、それを一瞬で変えたのはやはりタマモの一言だった。
タマモは先程から箸やコップに取り皿などを運んでいたが、関西の一行の中の一人の年配男性を何故か興味深げに見ていたのだ。
「ええ、あの人は私のお父さんよ。 よく分かったわね。」
「わかるよ! おやこだもん。」
木乃香の両親の時もそうだがタマモは視覚と同時に匂いで相手を判別していて、無意識だがそれは純粋な匂いというより霊臭をかぎ分けてもいる。
突然タマモが家族を当てたことに関西の一行の空気は緩み、刀子と父の直人を見比べそんなに似てるかと会話が弾んでいく。