平和な日常~冬~5
翌日になるといよいよ麻帆良亭一日限定復活の日となる。
前回と違い今回は麻帆良亭時代のメニューを全てそのまま復活させており、ついでに倉庫から麻帆良亭の看板も出してきて掲げられていた。
「しかし、予想外でしたよ。」
早朝から坂本夫妻の夫と横島が仕込みをして、妻はタマモとさよと一緒に店の内外を掃除していく。
店の隣近所の住人なんかはかつては毎日見られた坂本夫妻の妻が店の周りを掃除する姿に懐かしそうに声をかけている。
一方厨房では横島が意外そうな表情をして洋食の仕込みと平行してケーキを作り始めていた。
「うちは元々学生相手の洋食屋だったからな。 以前はデザートも力を入れてたんだ。 ここ数年は学生が減った影響で定番のものしかなかったがな。」
実は今日一日は麻帆良亭として店を営業するのだが、横島は坂本夫妻に頼まれてショートケーキなどの昔ながらのケーキを作っている。
麻帆良亭は元々学生相手の洋食屋だったので以前はデザートも力を入れていたらしい。
流石に坂本夫妻は専門外で自分達でケーキまでは作らなかったようであるが、かつて近所にあったケーキ屋に頼んで作ってもらっていたようだ。
歴代の店主も洋食として初代から受け継ぐ味は変えずに守り抜いていたようだが、何から何まで一切変えずに貫いた訳ではなく時代に合わせてそれなりにメニューは変えたりもしていたとのこと。
前回の時も意外と学生が多かったことから今日は横島のケーキも普段ほど種類はないがデザートとして販売することになっている。
「おはようございます」
そしてこの日一番にやって来たのは木乃香であり、次いで明日菜がやって来る。
二人は明日菜の新聞配達に合わせて起きて寮を出たようで、明日菜は新聞配達を終えて来たが木乃香は寮から直接来たので一足早かった。
横島と坂本夫妻は手伝いを頼んだ木乃香達には八時半でいいと言っていたが、木乃香が来たのはまだ外が暗い頃であり仕込みを始めたばかりの五時過ぎである。
「よう、早いな。 今日は多分日中混むけど大丈夫か? なんなら二階で休んでていいぞ。」
「昨日は早く寝たから大丈夫や」
木乃香のあまりのやる気に流石の坂本夫妻も驚きの表情を見せるも、横島は実はさほど驚いてない。
日頃は学校もあるので早朝から木乃香が仕込みに来ることはないが、休みの日なんかは手伝いに来たことが前にもあった。
「じゃあ頼むよ。」
一応木乃香の体調を気遣う横島であるが、体調がよくやる気もある以上そのまま手伝わせることにする。
昨日の仕込みでも明かであるが木乃香は坂本夫妻との料理を横島と同様にかなり楽しみにしていてやる気があった。
本来の歴史ならば魔法に向かうはずのやる気と興味は今のところ料理に向かっていた。
「タマちゃんもやる気満々やな。」
その後も仕込みと開店準備が進むが、木乃香と同じかそれ以上にやる気満々なのがタマモである。
この日の為に用意したメニューを各テーブルに置いたり料理の味見をしたりと瞳を輝かせて働いていた。
ちなみに横島の店では日頃から料理の味見はタマモの仕事のひとつになっている。
横島と同じく味覚や嗅覚が人とは桁違いに敏感なので木乃香なんかもよくタマモに味見を頼んでいた。
まあ坂本夫妻から見ると所詮は子供であり多少気になるようではあるが、それでも味見くらいはいいかとさせている。
前回と違い今回は麻帆良亭時代のメニューを全てそのまま復活させており、ついでに倉庫から麻帆良亭の看板も出してきて掲げられていた。
「しかし、予想外でしたよ。」
早朝から坂本夫妻の夫と横島が仕込みをして、妻はタマモとさよと一緒に店の内外を掃除していく。
店の隣近所の住人なんかはかつては毎日見られた坂本夫妻の妻が店の周りを掃除する姿に懐かしそうに声をかけている。
一方厨房では横島が意外そうな表情をして洋食の仕込みと平行してケーキを作り始めていた。
「うちは元々学生相手の洋食屋だったからな。 以前はデザートも力を入れてたんだ。 ここ数年は学生が減った影響で定番のものしかなかったがな。」
実は今日一日は麻帆良亭として店を営業するのだが、横島は坂本夫妻に頼まれてショートケーキなどの昔ながらのケーキを作っている。
麻帆良亭は元々学生相手の洋食屋だったので以前はデザートも力を入れていたらしい。
流石に坂本夫妻は専門外で自分達でケーキまでは作らなかったようであるが、かつて近所にあったケーキ屋に頼んで作ってもらっていたようだ。
歴代の店主も洋食として初代から受け継ぐ味は変えずに守り抜いていたようだが、何から何まで一切変えずに貫いた訳ではなく時代に合わせてそれなりにメニューは変えたりもしていたとのこと。
前回の時も意外と学生が多かったことから今日は横島のケーキも普段ほど種類はないがデザートとして販売することになっている。
「おはようございます」
そしてこの日一番にやって来たのは木乃香であり、次いで明日菜がやって来る。
二人は明日菜の新聞配達に合わせて起きて寮を出たようで、明日菜は新聞配達を終えて来たが木乃香は寮から直接来たので一足早かった。
横島と坂本夫妻は手伝いを頼んだ木乃香達には八時半でいいと言っていたが、木乃香が来たのはまだ外が暗い頃であり仕込みを始めたばかりの五時過ぎである。
「よう、早いな。 今日は多分日中混むけど大丈夫か? なんなら二階で休んでていいぞ。」
「昨日は早く寝たから大丈夫や」
木乃香のあまりのやる気に流石の坂本夫妻も驚きの表情を見せるも、横島は実はさほど驚いてない。
日頃は学校もあるので早朝から木乃香が仕込みに来ることはないが、休みの日なんかは手伝いに来たことが前にもあった。
「じゃあ頼むよ。」
一応木乃香の体調を気遣う横島であるが、体調がよくやる気もある以上そのまま手伝わせることにする。
昨日の仕込みでも明かであるが木乃香は坂本夫妻との料理を横島と同様にかなり楽しみにしていてやる気があった。
本来の歴史ならば魔法に向かうはずのやる気と興味は今のところ料理に向かっていた。
「タマちゃんもやる気満々やな。」
その後も仕込みと開店準備が進むが、木乃香と同じかそれ以上にやる気満々なのがタマモである。
この日の為に用意したメニューを各テーブルに置いたり料理の味見をしたりと瞳を輝かせて働いていた。
ちなみに横島の店では日頃から料理の味見はタマモの仕事のひとつになっている。
横島と同じく味覚や嗅覚が人とは桁違いに敏感なので木乃香なんかもよくタマモに味見を頼んでいた。
まあ坂本夫妻から見ると所詮は子供であり多少気になるようではあるが、それでも味見くらいはいいかとさせている。