平和な日常~冬~5
冬の早い夕暮れを過ぎると横島の店はお客さんもまばらで、帰宅途中にスイーツを購入しに来る客が大半だった。
そんなフロアを明日菜とさよに任せた横島は木乃香とタマモと一緒に厨房で夕食の支度をしている。
「そうそう、上手やわ。」
どうやらこの日の夕食のメインは餃子にするらしく横島が手作りした餃子の皮に木乃香とタマモが餡を包んで形にしていくのだが、餃子作りが初体験であるタマモは横島と木乃香に教わりながら包んでいた。
幼いながら料理に興味を持ち自分も一緒に料理したいと常々願うタマモだけに、最近は夕食は率先してお手伝いをするようになっているのだ。
どうもクリスマスの時にケーキを作ったことがよほど楽しかったらしい。
「てまきずしみたいだね!」
流石に火を使うお手伝いはさせてもらえないものの、今夜の餃子は変わり種の餡もいくつか用意していたのでタマモは大晦日の手巻き寿司を思い出しながら餃子を包んでいる。
定番の豚肉と野菜の餡は当然ながらジャガイモや海老やウインナーやシーチキンなどをメインにしてチーズやトマトソースやマヨネーズなどで味をつける変わり種の餡も作っていた。
メインと野菜を決めて味付けして包むことがタマモ的には手巻き寿司のようで楽しいらしい。
「餃子は余った野菜とかも使えるし一石二鳥なんだよな。」
相変わらず食客が多い横島宅の夕食だけに大量の餃子が包まれていくが、そもそも餃子は野菜や肉などは店で余った食材を使えるので廃棄がなくなり一石二鳥のようである。
それに餃子の皮も野菜を練り込んで色付きにしており見た目もカラフルであった。
「そういえば料理作る魔法ってないん?」
「流石にそれはないんじゃないかな。 あったら便利だけど。 ただ料理に魔法を活用した魔法料理なら俺の世界にあるけどな。」
「魔法料理なんてあるんや。」
餃子をある程度包み終わると夕食の時間を見ながら他のおかずを作って餃子最後に餃子を焼いていく。
鉄のフライパンに油をしいて餃子を焼くとジュウと皮が焼ける音に香ばしい匂いがしてきて焼いてる横島ですらお腹が空くようだったが、ふと木乃香は魔法で料理が作れないのかと尋ねていた。
呪文を唱えると食材が料理に変わる魔法なんてあれば忙しい時は便利だなと単純に考えたらしいが、流石にそんな魔法はないし横島も使えない。
まあもしかすると文珠なら出来るかもしれないとは思うものの、文珠を最低二つは使って料理を作る気はないようである。
ただ木乃香は話のついでに説明した魔法料理に興味を示し、魔法の新たな可能性に希望を膨らませていた。
「基本的には特別変わった料理じゃなくて、普通の料理を魔法の力で栄養素を引き出して吸収をよくしたりするだけなんだけどさ。 そういや確か葛葉先生とエヴァちゃんとタマモ達には作ったことあるんだよな。」
「…………そうなんや。 ウチも食べたいわ。」
「おっおう。 じゃ明日にでも魔法料理作るよ。」
そのまま木乃香に請われる形で魔法料理の説明をしていく横島であるが、最後に思い出したように以前に刀子とエヴァなどには作ったことがあると語ると木乃香の表情が笑顔のまま固まってしまう。
恐らく木乃香としては笑顔のつもりで自分も食べたいと語ったつもりなのだろうが、横島は微妙に迫力がある木乃香の笑顔に何かヤバイと感じたのか明日すぐに作ることを約束する。
木乃香はそんなに魔法料理を食べたいのかと横島は相変わらずアホな勘違いをするが、なんとなく昔令子にしばかれる直前のような危機感にひさびさに冷や汗を流していた。
ただ木乃香は自分の変化にあまり気付いてなく、魔法を知らなかった自分に魔法料理を食べさせるのは無理だったのだろうとは思っている。
しかしそれでも今まで横島を支えて一緒に頑張って来た自負はあるので、自分達より先に横島の魔法料理を刀子達が食べたのはなんとなく面白くないのが本音だった。
そんなフロアを明日菜とさよに任せた横島は木乃香とタマモと一緒に厨房で夕食の支度をしている。
「そうそう、上手やわ。」
どうやらこの日の夕食のメインは餃子にするらしく横島が手作りした餃子の皮に木乃香とタマモが餡を包んで形にしていくのだが、餃子作りが初体験であるタマモは横島と木乃香に教わりながら包んでいた。
幼いながら料理に興味を持ち自分も一緒に料理したいと常々願うタマモだけに、最近は夕食は率先してお手伝いをするようになっているのだ。
どうもクリスマスの時にケーキを作ったことがよほど楽しかったらしい。
「てまきずしみたいだね!」
流石に火を使うお手伝いはさせてもらえないものの、今夜の餃子は変わり種の餡もいくつか用意していたのでタマモは大晦日の手巻き寿司を思い出しながら餃子を包んでいる。
定番の豚肉と野菜の餡は当然ながらジャガイモや海老やウインナーやシーチキンなどをメインにしてチーズやトマトソースやマヨネーズなどで味をつける変わり種の餡も作っていた。
メインと野菜を決めて味付けして包むことがタマモ的には手巻き寿司のようで楽しいらしい。
「餃子は余った野菜とかも使えるし一石二鳥なんだよな。」
相変わらず食客が多い横島宅の夕食だけに大量の餃子が包まれていくが、そもそも餃子は野菜や肉などは店で余った食材を使えるので廃棄がなくなり一石二鳥のようである。
それに餃子の皮も野菜を練り込んで色付きにしており見た目もカラフルであった。
「そういえば料理作る魔法ってないん?」
「流石にそれはないんじゃないかな。 あったら便利だけど。 ただ料理に魔法を活用した魔法料理なら俺の世界にあるけどな。」
「魔法料理なんてあるんや。」
餃子をある程度包み終わると夕食の時間を見ながら他のおかずを作って餃子最後に餃子を焼いていく。
鉄のフライパンに油をしいて餃子を焼くとジュウと皮が焼ける音に香ばしい匂いがしてきて焼いてる横島ですらお腹が空くようだったが、ふと木乃香は魔法で料理が作れないのかと尋ねていた。
呪文を唱えると食材が料理に変わる魔法なんてあれば忙しい時は便利だなと単純に考えたらしいが、流石にそんな魔法はないし横島も使えない。
まあもしかすると文珠なら出来るかもしれないとは思うものの、文珠を最低二つは使って料理を作る気はないようである。
ただ木乃香は話のついでに説明した魔法料理に興味を示し、魔法の新たな可能性に希望を膨らませていた。
「基本的には特別変わった料理じゃなくて、普通の料理を魔法の力で栄養素を引き出して吸収をよくしたりするだけなんだけどさ。 そういや確か葛葉先生とエヴァちゃんとタマモ達には作ったことあるんだよな。」
「…………そうなんや。 ウチも食べたいわ。」
「おっおう。 じゃ明日にでも魔法料理作るよ。」
そのまま木乃香に請われる形で魔法料理の説明をしていく横島であるが、最後に思い出したように以前に刀子とエヴァなどには作ったことがあると語ると木乃香の表情が笑顔のまま固まってしまう。
恐らく木乃香としては笑顔のつもりで自分も食べたいと語ったつもりなのだろうが、横島は微妙に迫力がある木乃香の笑顔に何かヤバイと感じたのか明日すぐに作ることを約束する。
木乃香はそんなに魔法料理を食べたいのかと横島は相変わらずアホな勘違いをするが、なんとなく昔令子にしばかれる直前のような危機感にひさびさに冷や汗を流していた。
ただ木乃香は自分の変化にあまり気付いてなく、魔法を知らなかった自分に魔法料理を食べさせるのは無理だったのだろうとは思っている。
しかしそれでも今まで横島を支えて一緒に頑張って来た自負はあるので、自分達より先に横島の魔法料理を刀子達が食べたのはなんとなく面白くないのが本音だった。