平和な日常~冬~5
そのまま調理は始まるがこの日は和食を中心にしたメニューにしている。
基本的に年配者が多いことと事実上の新年会ということもあって、お酒に合うことを前提として考えていた。
「なんかメニューが飲み会みたいですね。」
「内容はほとんど新年会らしいしな。 堅苦しい会食じゃないって話だよ。」
食材の仕込みをしながら木乃香達にメニューを説明をしていくが、メニューが食事というよりは飲み会に近いことに明日菜は不思議そうな表情をする。
厨房も立派だし先程チラッと見てきた会議室も立派であり、イメージ的にもっとドラマで見るような高級料理でも食べそうだと思っていたらしい。
ぶっちゃけ明日菜に限らずみんな魔法協会のイメージがまだ今一つ微妙なようであった。
「みんな何かいいことあったのか?」
そんな横島と木乃香達は手分けして仕込みから調理へと入っていき、いつもならばお偉いさん相手の料理は多少なりとも緊張する木乃香達であるが、特に木乃香・夕映・のどかの三人はこの日は緊張どころか楽しそうでご機嫌な様子である。
「魔法も楽しみやけど、ウチはこうしてみんなで料理してる方が楽しいわ。」
「私もそうかも。」
「そうですね。」
昨日戻って来たばかりで今日も朝から仕事をしていた木乃香達が、何故機嫌がいいのか分からない横島は少し考えても答えが浮かばなく直接尋ねるもその答えはシンプルというか少し不思議なものであった。
特別変わったことがないいつもの調理なのだが木乃香はそれが心底楽しいようであり、のどかと夕映もすぐに同意だと頷く。
明日菜とさよとタマモはどっちかと言えば横島と同じく意味が分からないようであったが、これに関しては年末年始も一緒だった明日菜達と離れていた木乃香達の違いだろう。
魔法や異空間アジトなど今までの常識を覆す秘密を知ったのはみんな同じだが、その前に一週間ほどとはいえ年末年始に離れていた時間の影響は小さくはない。
決して実家が嫌いな訳ではないが人は僅かでも離れてみて改めて相手を理解することはまあよくあることなのだ。
実家と異空間アジトと麻帆良と短期間にそれぞれ全く違う環境を経験した三人は、改めて今ある日常の価値を噛み締めていた。
「そりゃ魔法の練習は地味だし単純作業の繰り返しだからな。」
「ううん、そういう意味やあらへんよ。」
相変わらず意味が分からない横島は地味で単純な魔法の練習がつまらないのかと勘違いするが、三人はそんな横島と同じく意味を理解してない明日菜達を見て思わず顔を見合わせて笑ってしまう。
「何がそんなに面白いのよ。」
流石に三人だけで理解して笑ってしまうと横島のみならず明日菜やさよも何か気になるらしく明日菜は追求するも、木乃香達は明日菜が自分達の気持ちを理解出来ないほど横島と一緒に居ることが当たり前になってることに気付き余計に可笑しくなっていた。
「ここ最近で私達の日常も変わったものだと、しみじみと感じただけですよ。 誰のせいとは言いませんが。」
「いや魔法の件は別に俺が仕組んだ訳じゃないぞ。」
結局いつまでも三人だけで笑っていると明日菜も面白くなさそうにするので夕映が説明するが、その答えと夕映の意味ありげな表情に流石に明日菜とさよは気付くがやはり横島と幼いタマモは気付けず特に横島はまだ魔法にこだわっている。
「もう私達も昔のようには戻れないですよ。」
「前も言ったが大丈夫だって。 基本的な日常生活は変わらんから。」
この男はいったいいつになれば気付くのだろうと木乃香達は半ば呆れながら笑い見守るが、夕映は本当にもう自分達は戻れないと明確な意思表示をしていた。
そして先日異空間アジトで刀子が見せた覚悟を自分達も持たねばならないと心に決める。
「なんか、一瞬みんなが大人に見えたような……。」
ちなみに最後まで話が噛み合わない横島は、そんな木乃香達の姿に今までにない大人の女を感じて背筋がぞくりとした気がした。
基本的に年配者が多いことと事実上の新年会ということもあって、お酒に合うことを前提として考えていた。
「なんかメニューが飲み会みたいですね。」
「内容はほとんど新年会らしいしな。 堅苦しい会食じゃないって話だよ。」
食材の仕込みをしながら木乃香達にメニューを説明をしていくが、メニューが食事というよりは飲み会に近いことに明日菜は不思議そうな表情をする。
厨房も立派だし先程チラッと見てきた会議室も立派であり、イメージ的にもっとドラマで見るような高級料理でも食べそうだと思っていたらしい。
ぶっちゃけ明日菜に限らずみんな魔法協会のイメージがまだ今一つ微妙なようであった。
「みんな何かいいことあったのか?」
そんな横島と木乃香達は手分けして仕込みから調理へと入っていき、いつもならばお偉いさん相手の料理は多少なりとも緊張する木乃香達であるが、特に木乃香・夕映・のどかの三人はこの日は緊張どころか楽しそうでご機嫌な様子である。
「魔法も楽しみやけど、ウチはこうしてみんなで料理してる方が楽しいわ。」
「私もそうかも。」
「そうですね。」
昨日戻って来たばかりで今日も朝から仕事をしていた木乃香達が、何故機嫌がいいのか分からない横島は少し考えても答えが浮かばなく直接尋ねるもその答えはシンプルというか少し不思議なものであった。
特別変わったことがないいつもの調理なのだが木乃香はそれが心底楽しいようであり、のどかと夕映もすぐに同意だと頷く。
明日菜とさよとタマモはどっちかと言えば横島と同じく意味が分からないようであったが、これに関しては年末年始も一緒だった明日菜達と離れていた木乃香達の違いだろう。
魔法や異空間アジトなど今までの常識を覆す秘密を知ったのはみんな同じだが、その前に一週間ほどとはいえ年末年始に離れていた時間の影響は小さくはない。
決して実家が嫌いな訳ではないが人は僅かでも離れてみて改めて相手を理解することはまあよくあることなのだ。
実家と異空間アジトと麻帆良と短期間にそれぞれ全く違う環境を経験した三人は、改めて今ある日常の価値を噛み締めていた。
「そりゃ魔法の練習は地味だし単純作業の繰り返しだからな。」
「ううん、そういう意味やあらへんよ。」
相変わらず意味が分からない横島は地味で単純な魔法の練習がつまらないのかと勘違いするが、三人はそんな横島と同じく意味を理解してない明日菜達を見て思わず顔を見合わせて笑ってしまう。
「何がそんなに面白いのよ。」
流石に三人だけで理解して笑ってしまうと横島のみならず明日菜やさよも何か気になるらしく明日菜は追求するも、木乃香達は明日菜が自分達の気持ちを理解出来ないほど横島と一緒に居ることが当たり前になってることに気付き余計に可笑しくなっていた。
「ここ最近で私達の日常も変わったものだと、しみじみと感じただけですよ。 誰のせいとは言いませんが。」
「いや魔法の件は別に俺が仕組んだ訳じゃないぞ。」
結局いつまでも三人だけで笑っていると明日菜も面白くなさそうにするので夕映が説明するが、その答えと夕映の意味ありげな表情に流石に明日菜とさよは気付くがやはり横島と幼いタマモは気付けず特に横島はまだ魔法にこだわっている。
「もう私達も昔のようには戻れないですよ。」
「前も言ったが大丈夫だって。 基本的な日常生活は変わらんから。」
この男はいったいいつになれば気付くのだろうと木乃香達は半ば呆れながら笑い見守るが、夕映は本当にもう自分達は戻れないと明確な意思表示をしていた。
そして先日異空間アジトで刀子が見せた覚悟を自分達も持たねばならないと心に決める。
「なんか、一瞬みんなが大人に見えたような……。」
ちなみに最後まで話が噛み合わない横島は、そんな木乃香達の姿に今までにない大人の女を感じて背筋がぞくりとした気がした。