平和な日常~冬~5
その日の夕方になると横島はいつもより早く店を閉めると木乃香・明日菜・のどか・夕映・さよにタマモをつれて近衛邸に来ていた。
「立派な厨房ですね。」
横島達は到着早々に近衛邸の中でも麻帆良学園の学園長としての公邸としてある厨房に入るが、そこは横島の店とは違い最新の設備が整ってる厨房である。
広さも横島の店より若干だが広いほどで初めて近衛邸に来た木乃香以外の面々が驚いていた。
「そんじゃ始めっか。」
この日横島達が近衛邸に来たのは遊びに来た訳ではなく今夜行われる関東魔法協会の年始の会議に出す料理を作るためであった。
年始めの最初の会議となる今夜は、魔法協会の幹部に加え魔法協会の存在を知る支援企業のメンバーも参加する一年で一番大きな会議となる。
会議の前半は昨年の総括や今年の課題などを話し合うが、後半は料理と酒を出されて事実上の新年会となるらしい。
今回の出張料理に関しては昨年のうちに近右衛門から依頼されていたもので当初は横島一人でやる予定だったが、木乃香達への魔法の情報開示が上手くいったことで隠す必要がなくなっていたので手伝ってもらうことにしていた。
今日は会議の参加者が80名ほどの予定で正直横島でも一人で準備するには一日がかりになるので、助手が欲しかったのが本音であった。
しかも魔法協会の会議なので部外者には助手を頼めないし、何より知らない料理人を頼んで助手として使うよりは横島の味や調理に慣れてる木乃香達の方が作業が捗るということがある。
調理は横島と木乃香とのどかで行い、明日菜達は皿や器を並べるといった雑用や簡単な調理補助と仕事はいくらでもあった。
「そう言えば横島さんは何度か来たことあるんでしたね。」
「魔法協会の会議はねえぞ。 ただみんなに魔法を明かすのどうするかとかは相談しに来たけどな。 それと俺の素性も話したしさ。」
さっそく料理を仕込みから始める横島達であるが、夕映はふと木乃香以外では横島が以前に近右衛門に呼ばれて来たことを思いだし話を振ってみる。
前々から横島と近右衛門の関係は気になっていて、昨年末には横島が何度か近右衛門に呼ばれていたことも気になっていたのだ。
そんな夕映の問いかけに横島はあっさりと魔法関連の相談に来たと告げると、木乃香達はやっぱりと言いたげな表情を見せる。
「実はほんと言うと俺は出身のこととかは明かすつもりがなかったんどけどな。 学園長先生が予想以上の誠意を見せてくれてさ。 その結果だよ。 一言でいえば誠意と信頼で人を動かす王道って言えば王道なんだけど、同じこと出来る人間はそうはいないだろうな。」
そのまま横島はなんとなく現状に至るいきさつを語るが、本来ならば現状のようにするつもりはなく全ては近右衛門の決断によるものだと聞くと木乃香達は興味深げに聞いていた。
なんというか横島が魔法関連でも普通でないのは異空間アジトで散々理解したが、その横島を完全に引き込み味方にしたのが近右衛門だと聞くと普段はなかなか知ることの出来ない近右衛門の組織人としての力量を初めて知った気がする。
「誠意と信頼なんや。」
「そもそも俺みたいな得体の知れない余所者を本当に心からの誠意と信頼で仲間として受け入れられるか? まして魔法は世間じゃ秘匿されてるから魔法協会もいろいろ大変なんだぞ。 ぶっちゃけ俺には出来んと思うな。」
誠意と信頼とは一言で言えば王道であり特別珍しくも難しくもないように思えるが、魔法という秘匿されてる世界の中で怪しさ満点の横島に自ら誠意と信頼を見せるのは仮に横島ならば出来ないと言い切った。
実際木乃香達は近右衛門と横島の関係について魔法を知った後も疑問が残っていたし、異空間アジトという人知を越える強大な力を持つ横島と魔法協会という責任ある立場の近右衛門の関係が気になってはいたのだ。
古今東西、国でも集団でも組織でも自らより力や権力がある人間を信頼して下に置ける者は多くはない。
例え個人的に相手を理解しても、公人としてそれをするのは簡単ではないのは少し考えれば分かることである。
しみじみと話す横島の話を聞いた木乃香達は、昨日まで居た異空間アジトの凄さに隠れていた近右衛門の凄さをようやく理解していた。
「立派な厨房ですね。」
横島達は到着早々に近衛邸の中でも麻帆良学園の学園長としての公邸としてある厨房に入るが、そこは横島の店とは違い最新の設備が整ってる厨房である。
広さも横島の店より若干だが広いほどで初めて近衛邸に来た木乃香以外の面々が驚いていた。
「そんじゃ始めっか。」
この日横島達が近衛邸に来たのは遊びに来た訳ではなく今夜行われる関東魔法協会の年始の会議に出す料理を作るためであった。
年始めの最初の会議となる今夜は、魔法協会の幹部に加え魔法協会の存在を知る支援企業のメンバーも参加する一年で一番大きな会議となる。
会議の前半は昨年の総括や今年の課題などを話し合うが、後半は料理と酒を出されて事実上の新年会となるらしい。
今回の出張料理に関しては昨年のうちに近右衛門から依頼されていたもので当初は横島一人でやる予定だったが、木乃香達への魔法の情報開示が上手くいったことで隠す必要がなくなっていたので手伝ってもらうことにしていた。
今日は会議の参加者が80名ほどの予定で正直横島でも一人で準備するには一日がかりになるので、助手が欲しかったのが本音であった。
しかも魔法協会の会議なので部外者には助手を頼めないし、何より知らない料理人を頼んで助手として使うよりは横島の味や調理に慣れてる木乃香達の方が作業が捗るということがある。
調理は横島と木乃香とのどかで行い、明日菜達は皿や器を並べるといった雑用や簡単な調理補助と仕事はいくらでもあった。
「そう言えば横島さんは何度か来たことあるんでしたね。」
「魔法協会の会議はねえぞ。 ただみんなに魔法を明かすのどうするかとかは相談しに来たけどな。 それと俺の素性も話したしさ。」
さっそく料理を仕込みから始める横島達であるが、夕映はふと木乃香以外では横島が以前に近右衛門に呼ばれて来たことを思いだし話を振ってみる。
前々から横島と近右衛門の関係は気になっていて、昨年末には横島が何度か近右衛門に呼ばれていたことも気になっていたのだ。
そんな夕映の問いかけに横島はあっさりと魔法関連の相談に来たと告げると、木乃香達はやっぱりと言いたげな表情を見せる。
「実はほんと言うと俺は出身のこととかは明かすつもりがなかったんどけどな。 学園長先生が予想以上の誠意を見せてくれてさ。 その結果だよ。 一言でいえば誠意と信頼で人を動かす王道って言えば王道なんだけど、同じこと出来る人間はそうはいないだろうな。」
そのまま横島はなんとなく現状に至るいきさつを語るが、本来ならば現状のようにするつもりはなく全ては近右衛門の決断によるものだと聞くと木乃香達は興味深げに聞いていた。
なんというか横島が魔法関連でも普通でないのは異空間アジトで散々理解したが、その横島を完全に引き込み味方にしたのが近右衛門だと聞くと普段はなかなか知ることの出来ない近右衛門の組織人としての力量を初めて知った気がする。
「誠意と信頼なんや。」
「そもそも俺みたいな得体の知れない余所者を本当に心からの誠意と信頼で仲間として受け入れられるか? まして魔法は世間じゃ秘匿されてるから魔法協会もいろいろ大変なんだぞ。 ぶっちゃけ俺には出来んと思うな。」
誠意と信頼とは一言で言えば王道であり特別珍しくも難しくもないように思えるが、魔法という秘匿されてる世界の中で怪しさ満点の横島に自ら誠意と信頼を見せるのは仮に横島ならば出来ないと言い切った。
実際木乃香達は近右衛門と横島の関係について魔法を知った後も疑問が残っていたし、異空間アジトという人知を越える強大な力を持つ横島と魔法協会という責任ある立場の近右衛門の関係が気になってはいたのだ。
古今東西、国でも集団でも組織でも自らより力や権力がある人間を信頼して下に置ける者は多くはない。
例え個人的に相手を理解しても、公人としてそれをするのは簡単ではないのは少し考えれば分かることである。
しみじみと話す横島の話を聞いた木乃香達は、昨日まで居た異空間アジトの凄さに隠れていた近右衛門の凄さをようやく理解していた。