平和な日常~冬~5
「そういや、高畑先生はなんで魔法使えないんっすか?」
魔法の練習に励む少女達を見守る大人組と横島であるが、ぶっちゃけ特に見るべきものでもなく暇であった。
横島はそんな中で魔法の詠唱が出来ないと言われる高畑にふと興味を持つ。
「なんでだろうね。 実は明確な理由は見つかってないんだよ。 いくつか学説はあって今でも魔法関係者の中には研究してる人が居るんだけどね。」
「そんな難しい理由はない気がするんっすけど。 ちょっと看させて貰っていいっすか?」
近右衛門もエヴァも高畑のような存在が世の中には居るからとさほど不思議に感じないようであったが、横島からすると少し不思議だった。
極論を言えば普通は肉体か霊体のどちらかに異常がなければ魔法は使えるはずなのだ。
もっと言えば高畑は気も魔力も使えてる時点で力の行使は出来ているのだから、精霊の力を借りる西洋魔法の呪文が精霊に反応しないだけだろう。
「うーん……」
突然横島の興味が自分に向いた高畑は少し困惑していたが、別に看られて困ることもないので普通に拒否はしなかった。
魔法の練習をしていた少女達も横島が高畑の前に行き何かを始めたと知ると集まってきてしまい、いつの間にか横島と高畑は周りを囲まれる形になる。
しばらく高畑をじっと見つめていた横島であるが、それがただ見つめてるだけではないことに近右衛門やエヴァはすぐに気付く。
看られている高畑も横島の目の焦点が合ってないことから何かしてるのは分かるが、流石にそれが霊視だと知る者は居ない。
「えっ!?」
「よっ横島君?」
それは僅か一分ほどのことだった。
横島が高畑に手をかざすと突然高畑が微かに光りに包まれてしまう。
「治りましたよ。 原因は肉体と霊体の微かなズレだと思います。 言葉として発声した呪文と言霊として精霊に伝わる呪文が合わなかったんだと思います。」
珍しく真面目な横島は治りましたと一言告げると淡々と高畑が魔法を使えなかった理由を説明するが、あまりに簡単に治った事に高畑と大人組はポカーンとしており反応がない。
「貴様、何をしたか分かってるのか?」
「分かってるぞ。 肉体と霊体のズレを治しただけだからな。 正直高畑先生はあんまり魔法に適性あるようには見えないんだけどさ。」
終わった終わったと中庭の芝生に座り込む横島に未だに反応がない大人組と何をしたのかあまり理解してない少女達の代わりにエヴァが声をかけるが、横島とすればたいしたことはしてないとの認識らしい。
「えーと、冗談だよね?」
そしてようやく我に返った高畑は思わず横島に冗談かと尋ねるが、それだけ高畑にとって魔法は特別であり信じられないのだろう。
「誰か杖を貸してやれ。」
高畑の問いかけに横島が答える前にエヴァは少女達に杖を貸すように言うと、一番近くに居た明日菜が子供用の杖を高畑に手渡す。
少しニヤニヤとする横島とやってみろと言わんばかりのエヴァに流されるように高畑は杖に視線を向けるが、その手は汗ばんでいて微かに震えている。
「……プラクテ ビギ・ナル 火よ灯れ。」
それは幼い高畑が夢にまで見た魔法の呪文だった。
子供用の杖の先端の星形の発動体に微かな炎が出現すると、何も知らない少女達は凄いと喜びタマモはぱちぱちと拍手している。
そして今まで正確な理由さえ分からなかった問題を気まぐれであっさりと解決した横島に近右衛門達は、高畑が魔法を使えるようになった喜びよりも横島のぶっとんだ常識に改めて頭を抱えることになる。
魔法の練習に励む少女達を見守る大人組と横島であるが、ぶっちゃけ特に見るべきものでもなく暇であった。
横島はそんな中で魔法の詠唱が出来ないと言われる高畑にふと興味を持つ。
「なんでだろうね。 実は明確な理由は見つかってないんだよ。 いくつか学説はあって今でも魔法関係者の中には研究してる人が居るんだけどね。」
「そんな難しい理由はない気がするんっすけど。 ちょっと看させて貰っていいっすか?」
近右衛門もエヴァも高畑のような存在が世の中には居るからとさほど不思議に感じないようであったが、横島からすると少し不思議だった。
極論を言えば普通は肉体か霊体のどちらかに異常がなければ魔法は使えるはずなのだ。
もっと言えば高畑は気も魔力も使えてる時点で力の行使は出来ているのだから、精霊の力を借りる西洋魔法の呪文が精霊に反応しないだけだろう。
「うーん……」
突然横島の興味が自分に向いた高畑は少し困惑していたが、別に看られて困ることもないので普通に拒否はしなかった。
魔法の練習をしていた少女達も横島が高畑の前に行き何かを始めたと知ると集まってきてしまい、いつの間にか横島と高畑は周りを囲まれる形になる。
しばらく高畑をじっと見つめていた横島であるが、それがただ見つめてるだけではないことに近右衛門やエヴァはすぐに気付く。
看られている高畑も横島の目の焦点が合ってないことから何かしてるのは分かるが、流石にそれが霊視だと知る者は居ない。
「えっ!?」
「よっ横島君?」
それは僅か一分ほどのことだった。
横島が高畑に手をかざすと突然高畑が微かに光りに包まれてしまう。
「治りましたよ。 原因は肉体と霊体の微かなズレだと思います。 言葉として発声した呪文と言霊として精霊に伝わる呪文が合わなかったんだと思います。」
珍しく真面目な横島は治りましたと一言告げると淡々と高畑が魔法を使えなかった理由を説明するが、あまりに簡単に治った事に高畑と大人組はポカーンとしており反応がない。
「貴様、何をしたか分かってるのか?」
「分かってるぞ。 肉体と霊体のズレを治しただけだからな。 正直高畑先生はあんまり魔法に適性あるようには見えないんだけどさ。」
終わった終わったと中庭の芝生に座り込む横島に未だに反応がない大人組と何をしたのかあまり理解してない少女達の代わりにエヴァが声をかけるが、横島とすればたいしたことはしてないとの認識らしい。
「えーと、冗談だよね?」
そしてようやく我に返った高畑は思わず横島に冗談かと尋ねるが、それだけ高畑にとって魔法は特別であり信じられないのだろう。
「誰か杖を貸してやれ。」
高畑の問いかけに横島が答える前にエヴァは少女達に杖を貸すように言うと、一番近くに居た明日菜が子供用の杖を高畑に手渡す。
少しニヤニヤとする横島とやってみろと言わんばかりのエヴァに流されるように高畑は杖に視線を向けるが、その手は汗ばんでいて微かに震えている。
「……プラクテ ビギ・ナル 火よ灯れ。」
それは幼い高畑が夢にまで見た魔法の呪文だった。
子供用の杖の先端の星形の発動体に微かな炎が出現すると、何も知らない少女達は凄いと喜びタマモはぱちぱちと拍手している。
そして今まで正確な理由さえ分からなかった問題を気まぐれであっさりと解決した横島に近右衛門達は、高畑が魔法を使えるようになった喜びよりも横島のぶっとんだ常識に改めて頭を抱えることになる。