平和な日常~冬~5
出港時間になるとホエール君三号はゆっくりと岸壁を離れ港を出港していく。
外見に驚いた一行だが内部は割りと普通で小型の観光船に乗っているような印象だが、通常の船舶と違いエンジン音がしないことか。
港を出ると船内ではこれからの案内と注意事項のアナウンスが日本語で流れるが、ホエール君三号はクジラを主に見ることが出来る観光船らしい。
「うわ~、風が気持ちいいね。」
「ちょっと! 床が!!」
港を出るとホエール君三号は少しスピードを上げていて潮の匂いと海風が直接感じれて本当に心地いい。
遠ざかっていく陸地と一面に広がる海に少女達やハニワ兵達が魅了される中、船内アナウンスにて本船はこれよりスケルトンモードに換わりますとのメッセージが流れるとまるで床や壁が消えたかのように外の景色に切り替わる。
少女達はそのまま足元や壁に視線を向けると海中が透けて見えていて、まるで床が消えたようなその光景に若干慌てる者も居た。
流石に通路は歩きやすいようにと両端が船底のままだったが、本当に海の中にいるようなその状態には少し怖いくらいの印象さえ受ける。
そして船内アナウンスにて潜航しますと流れると消えていたはずの天井が出現して床と同じくスケルトンモードに換わり、ホエール君三号はゆっくりと潜航をしていく。
元々エンジン音さえ全くない静かなホエール君三号は海中に潜航すると波の音まで消えてしまい不思議なほど静かであった。
水面から降り注ぐ太陽の日射しに照らされる海中の様子は、ホエール君三号の驚きを吹き飛ばすほど美しく幻想的とも言える。
南国特有のカラフルな魚などが警戒することなくホエール君三号の周りを泳ぎ、手を伸ばせば触れそうなほど間近に近寄って来ていた。
足元には海底が見えないほど深い海が続き、その様子を言葉で現すならばまるで魚になったようだと言うのが適切かもしれない。
「凄いわ。」
「スキューバダイビングは経験がありますが、あれはあれで大変ですものね。」
横島が自慢げだったのもこれならば理解出来ると少女達は珍しく手放しで感動するが、それはお金持ちである雪広姉妹も同じらしい。
光景としてはスキューバダイビングをすると同じ光景は見られるものの、スキューバダイビングはいろいろと大変で雪広姉妹も経験はあるがこちらの方が気軽で楽しめる。
「最近の船は凄いのね。 ねえ、本物のハワイにもこんな船あるの?」
「確か普通の潜水艇はあったはずですわ。 ただあれは窓から海中を見るだけですのでこれとは別物ですが。」
途中最近の船は凄いと感動した明日菜が本物のハワイにもあるのかと尋ねるとあやかが答えるが、実際には観光潜水艇は本物のハワイにも存在するがスケールは全く違うものだった。
なにより窓やガラス越しとは思えぬ迫力はホエール君三号の魅力の一つなのだ。
「あっクジラだよ!」
そのまま海中遊覧が続くが少女達やハニワ兵達の歓声が一際大きくなったのはクジラの群れを見つけた時である。
それは二十頭ほどのザトウクジラ群れであり、ホエール君三号はするすると群れの真ん中に入っていく。
耳を済ませばクジラの声も聞こえるし何より全長十メートル以上のクジラと並走して航行しているので、クジラを本当に間近で監察出来る。
「このホエール君三号は完全にクジラに成り済ましてるからな。 クジラも驚かせないし安全に近寄れるんだ。」
三百六十度クジラに囲まれながらの回遊は他では絶対に見られない物であり、その光景は言葉を失うほどに素晴らしい。
その後およそ三十分ほどクジラと並走したホエール君三号は、少女達の名残惜しそうな声と共にクジラの群れから離れて港に戻っていく。
別れ際にクジラに向けて手を振るタマモに答えるかのようにクジラの声が聞こえると、タマモは嬉しそうにクジラが見えなくなるまで手を振っていた。
外見に驚いた一行だが内部は割りと普通で小型の観光船に乗っているような印象だが、通常の船舶と違いエンジン音がしないことか。
港を出ると船内ではこれからの案内と注意事項のアナウンスが日本語で流れるが、ホエール君三号はクジラを主に見ることが出来る観光船らしい。
「うわ~、風が気持ちいいね。」
「ちょっと! 床が!!」
港を出るとホエール君三号は少しスピードを上げていて潮の匂いと海風が直接感じれて本当に心地いい。
遠ざかっていく陸地と一面に広がる海に少女達やハニワ兵達が魅了される中、船内アナウンスにて本船はこれよりスケルトンモードに換わりますとのメッセージが流れるとまるで床や壁が消えたかのように外の景色に切り替わる。
少女達はそのまま足元や壁に視線を向けると海中が透けて見えていて、まるで床が消えたようなその光景に若干慌てる者も居た。
流石に通路は歩きやすいようにと両端が船底のままだったが、本当に海の中にいるようなその状態には少し怖いくらいの印象さえ受ける。
そして船内アナウンスにて潜航しますと流れると消えていたはずの天井が出現して床と同じくスケルトンモードに換わり、ホエール君三号はゆっくりと潜航をしていく。
元々エンジン音さえ全くない静かなホエール君三号は海中に潜航すると波の音まで消えてしまい不思議なほど静かであった。
水面から降り注ぐ太陽の日射しに照らされる海中の様子は、ホエール君三号の驚きを吹き飛ばすほど美しく幻想的とも言える。
南国特有のカラフルな魚などが警戒することなくホエール君三号の周りを泳ぎ、手を伸ばせば触れそうなほど間近に近寄って来ていた。
足元には海底が見えないほど深い海が続き、その様子を言葉で現すならばまるで魚になったようだと言うのが適切かもしれない。
「凄いわ。」
「スキューバダイビングは経験がありますが、あれはあれで大変ですものね。」
横島が自慢げだったのもこれならば理解出来ると少女達は珍しく手放しで感動するが、それはお金持ちである雪広姉妹も同じらしい。
光景としてはスキューバダイビングをすると同じ光景は見られるものの、スキューバダイビングはいろいろと大変で雪広姉妹も経験はあるがこちらの方が気軽で楽しめる。
「最近の船は凄いのね。 ねえ、本物のハワイにもこんな船あるの?」
「確か普通の潜水艇はあったはずですわ。 ただあれは窓から海中を見るだけですのでこれとは別物ですが。」
途中最近の船は凄いと感動した明日菜が本物のハワイにもあるのかと尋ねるとあやかが答えるが、実際には観光潜水艇は本物のハワイにも存在するがスケールは全く違うものだった。
なにより窓やガラス越しとは思えぬ迫力はホエール君三号の魅力の一つなのだ。
「あっクジラだよ!」
そのまま海中遊覧が続くが少女達やハニワ兵達の歓声が一際大きくなったのはクジラの群れを見つけた時である。
それは二十頭ほどのザトウクジラ群れであり、ホエール君三号はするすると群れの真ん中に入っていく。
耳を済ませばクジラの声も聞こえるし何より全長十メートル以上のクジラと並走して航行しているので、クジラを本当に間近で監察出来る。
「このホエール君三号は完全にクジラに成り済ましてるからな。 クジラも驚かせないし安全に近寄れるんだ。」
三百六十度クジラに囲まれながらの回遊は他では絶対に見られない物であり、その光景は言葉を失うほどに素晴らしい。
その後およそ三十分ほどクジラと並走したホエール君三号は、少女達の名残惜しそうな声と共にクジラの群れから離れて港に戻っていく。
別れ際にクジラに向けて手を振るタマモに答えるかのようにクジラの声が聞こえると、タマモは嬉しそうにクジラが見えなくなるまで手を振っていた。