平和な日常~春~
その日はとにかくパンがよく売れる日だった
通常のパン屋の半額程度のパンが並んでれば誰でも食べたくなるだろう
喫茶店の店内にまるでパン屋のようにパンが大量に並ぶ姿は少し異様だが、客達も最早この程度の変化に驚かなくなっている
「君は毎日楽しそうじゃのう」
朝食の時間が過ぎた頃、ふらりと近右衛門がやって来るが微妙に表情が暗い
楽しそうにパンを並べる横島を見て思わずため息をはいてしまう
「なんかあったんっすか?」
「何故みんなワシに厄介事を持ち込もうとするのかのう。 しかも誰もこの年寄りを労ろうとせん。 ワシもただの人間なんじゃがのう」
あまりに元気がない近右衛門に横島は流石に心配そうに声をかけるが、近右衛門はブツブツと愚痴のような文句のような言葉をこぼしていく
近右衛門の頭痛の種は高畑だった
今だにネギの受け入れを諦めてないようで、受け入れてくれそうな人間に頼んでいるのが問題なのだ
今のところ軽率に受け入れを承諾する者は居ないが、ネギの受け入れ問題があまり広まると厄介なことになる
(婿殿やアルに知れたら厄介なんじゃが…… これ以上厄介事はいらんわい)
世界樹の地下に封印されたモノを見守るように居るアルビレオ・イマもまた、近右衛門にとっては厄介な存在だった
ネギの行き先が決まらぬ現状などを知れば妙なことを企まないとは限らない
赤き翼の頭脳とも言われるアルビレオ・イマは、脳筋ばかりの赤き翼で数少ない頭脳労働担当だったことからもわかるようによく悪知恵が働くのだ
(物の分別を出来るかすら怪しい年の子供を独り立ちさせるなど、正気とは思えん。 最低あと5年は自分で教育すればいいだろうに……)
近右衛門の不満はネギの祖父であるメルディアナ魔法学校長にも及んでいた
来年10才になるような子供に何が分かり何が出来るかなどたかが知れている
それほど危機感を感じるならば、自分が校長を辞して教育すればいいと近右衛門は考えてしまうのだ
まあそう簡単には出来ない理由があることも近右衛門は理解してるが、自分の残り少ない余生をよその子守など正直ゴメンだった
「どうぞ、ハーブティーです。 頭がスッキリしますよ」
近右衛門が無言になり考え込んでる間に、横島はハーブティーの調合をしていたようだ
なんと言うかストレスを抱えた近右衛門がちょっと哀れに感じたらしい
「わしを労ってくれるのは、君や木乃香くらいじゃよ。 いっそわしの代わりに麻帆良学園の学園長にならんか?」
「遠慮しときます。 俺は人の上に立つ器じゃないっすよ。 この店一軒で十分なんです」
出されたハーブティーを飲みつつ横島に学園長にならないかと誘うほど、近右衛門は疲れていたのかもしれない
冗談と分かっていても横島の表情が引き攣っていたのが何よりの証拠だろう
(高畑君よりはマシなんじゃがのう)
近右衛門自身100%冗談の発言だったが、それでも高畑に学園を任せるなら横島の方がマシだろうと半ば本気で考えている
何より争いを避ける横島と争いを持ち込む高畑では、横島の方がマシだと感じるほど高畑の行動に困ってるらしい
通常のパン屋の半額程度のパンが並んでれば誰でも食べたくなるだろう
喫茶店の店内にまるでパン屋のようにパンが大量に並ぶ姿は少し異様だが、客達も最早この程度の変化に驚かなくなっている
「君は毎日楽しそうじゃのう」
朝食の時間が過ぎた頃、ふらりと近右衛門がやって来るが微妙に表情が暗い
楽しそうにパンを並べる横島を見て思わずため息をはいてしまう
「なんかあったんっすか?」
「何故みんなワシに厄介事を持ち込もうとするのかのう。 しかも誰もこの年寄りを労ろうとせん。 ワシもただの人間なんじゃがのう」
あまりに元気がない近右衛門に横島は流石に心配そうに声をかけるが、近右衛門はブツブツと愚痴のような文句のような言葉をこぼしていく
近右衛門の頭痛の種は高畑だった
今だにネギの受け入れを諦めてないようで、受け入れてくれそうな人間に頼んでいるのが問題なのだ
今のところ軽率に受け入れを承諾する者は居ないが、ネギの受け入れ問題があまり広まると厄介なことになる
(婿殿やアルに知れたら厄介なんじゃが…… これ以上厄介事はいらんわい)
世界樹の地下に封印されたモノを見守るように居るアルビレオ・イマもまた、近右衛門にとっては厄介な存在だった
ネギの行き先が決まらぬ現状などを知れば妙なことを企まないとは限らない
赤き翼の頭脳とも言われるアルビレオ・イマは、脳筋ばかりの赤き翼で数少ない頭脳労働担当だったことからもわかるようによく悪知恵が働くのだ
(物の分別を出来るかすら怪しい年の子供を独り立ちさせるなど、正気とは思えん。 最低あと5年は自分で教育すればいいだろうに……)
近右衛門の不満はネギの祖父であるメルディアナ魔法学校長にも及んでいた
来年10才になるような子供に何が分かり何が出来るかなどたかが知れている
それほど危機感を感じるならば、自分が校長を辞して教育すればいいと近右衛門は考えてしまうのだ
まあそう簡単には出来ない理由があることも近右衛門は理解してるが、自分の残り少ない余生をよその子守など正直ゴメンだった
「どうぞ、ハーブティーです。 頭がスッキリしますよ」
近右衛門が無言になり考え込んでる間に、横島はハーブティーの調合をしていたようだ
なんと言うかストレスを抱えた近右衛門がちょっと哀れに感じたらしい
「わしを労ってくれるのは、君や木乃香くらいじゃよ。 いっそわしの代わりに麻帆良学園の学園長にならんか?」
「遠慮しときます。 俺は人の上に立つ器じゃないっすよ。 この店一軒で十分なんです」
出されたハーブティーを飲みつつ横島に学園長にならないかと誘うほど、近右衛門は疲れていたのかもしれない
冗談と分かっていても横島の表情が引き攣っていたのが何よりの証拠だろう
(高畑君よりはマシなんじゃがのう)
近右衛門自身100%冗談の発言だったが、それでも高畑に学園を任せるなら横島の方がマシだろうと半ば本気で考えている
何より争いを避ける横島と争いを持ち込む高畑では、横島の方がマシだと感じるほど高畑の行動に困ってるらしい