平和な日常~冬~4
生まれた世界がすでに存在しないと突如語る横島に少女達はどう言葉を返していいか分からなかった。
元々横島の過去に何かあるのは親しい者ならば少なからず感じていたことであるが、それでも魔法やら世界やらが関わるとは思ったこともない。
いつものタチの悪い冗談であって欲しいと願う者も居れば、一体何があったのかと更なる過去を知りたいと願う者も居る。
ただ何より少女達が気になったのは存在しないという微妙な言葉の意味であった。
「まあ、その話はとりあえず置いとくとして移動しようか。」
そんな一気に静まり返った空気に横島は少し居心地が悪そうな表情になるも、あっさりと軽い調子で話を流して移動を促す。
正直なところ今の横島は自分が特別不幸だとは思ってなく、むしろ恵まれてるとすら思っている。
結果的に世界は無くなってしまったがそれでもかつての仲間や友人達は魂を保護したことで将来的な復活も不可能ではないし、何より過去に決着を付けることが出来たことは幸せだとすら最近は考えていた。
特に高畑や詠春と関わるようになってからは余計にそう思うのだ。
まあ横島の希望がアシュタロスの遺産だというのは、本当に皮肉なものだとは今も感じるが。
「深刻な顔するなって。 そんな聞くも涙語るも涙の話じゃないからさ。」
「横島君は軽すぎるからのう。 ただ故郷を失った者や故郷を追われる者は世の中には珍しくない。 みんなには少し早い気もするが、現実と向き合い皆で協力して生きていけばいいではないか。」
その後重苦しい空気の中で歩き出す一同を横島はなんとか元気付けようとするも、それが逆に本当は辛いのではとの疑念を生んでしまい上手くいかない。
最終的には困ったようにオロオロする横島を見かねて近右衛門が少女達を諭すようにフォローする言葉をかけると、ようやく少女達はハッとしたように気を取り直すことになる。
「……ねえ、あの人形に見覚えあるんだけど。」
「奇遇ね。 私もよ。」
少女達が気を取り直したことで魔法やらこれから何処に行くのかなどの話を再開するが、転移場の管理施設に近付くと警備員の服装をしたハニワ兵達数体が横島達一行を出迎えた。
一瞬小型のロボットかと思った少女達だが、それは少女達が何度か見掛けたハニワ兵そのものである。
「はじめまして! わたしはタマモ。」
そしてあのハニワの人形も魔法絡みだったのかと改めて理解する少女達の前ではタマモが真っ先にハニワ兵の警備員達に挨拶をしているが、タマモにとってハニワ兵の故郷へ来ることは夏から待ちに待った出来事であり本当に嬉しそうだった。
「実はうちにもハニワさんが一緒に住んでるんですよ。 私達のお洋服作りも作ってくれますし、物知りでとっても頼りになるんです。」
「あれ、じゃあ横島さんの知り合いで洋服作りが趣味の人って……。」
「やっぱり魔法って凄いね!」
横島の予期せぬ発言の戸惑いが完全に抜けきらない少女も居る中でのタマモの微笑ましい光景はみんなの心を癒すことになるが、そんな時さよがハニワ兵が家にも居ると告白すると少女達は以前から存在は知っていた洋服作りの上手い横島の友人がハニワの人形だと理解して魔法の凄さに改めて瞳を輝かせる。
尤も近右衛門は元より高畑や刀子は、完全に自我を持つ人形など一流の魔法使いでも簡単ではないと少女達に理解させねばと頭を悩ませるが。
というかハニワ兵が一緒に暮らしてて洋服なんかを作っていたなど近右衛門達は初耳であった。
以前来た時はバベルの塔などで頭がいっぱいで気付かなかったが、自我を持ち表情豊かなハニワ兵が一体どれだけ居るのかと思うと少し嫌な予感がした。
元々横島の過去に何かあるのは親しい者ならば少なからず感じていたことであるが、それでも魔法やら世界やらが関わるとは思ったこともない。
いつものタチの悪い冗談であって欲しいと願う者も居れば、一体何があったのかと更なる過去を知りたいと願う者も居る。
ただ何より少女達が気になったのは存在しないという微妙な言葉の意味であった。
「まあ、その話はとりあえず置いとくとして移動しようか。」
そんな一気に静まり返った空気に横島は少し居心地が悪そうな表情になるも、あっさりと軽い調子で話を流して移動を促す。
正直なところ今の横島は自分が特別不幸だとは思ってなく、むしろ恵まれてるとすら思っている。
結果的に世界は無くなってしまったがそれでもかつての仲間や友人達は魂を保護したことで将来的な復活も不可能ではないし、何より過去に決着を付けることが出来たことは幸せだとすら最近は考えていた。
特に高畑や詠春と関わるようになってからは余計にそう思うのだ。
まあ横島の希望がアシュタロスの遺産だというのは、本当に皮肉なものだとは今も感じるが。
「深刻な顔するなって。 そんな聞くも涙語るも涙の話じゃないからさ。」
「横島君は軽すぎるからのう。 ただ故郷を失った者や故郷を追われる者は世の中には珍しくない。 みんなには少し早い気もするが、現実と向き合い皆で協力して生きていけばいいではないか。」
その後重苦しい空気の中で歩き出す一同を横島はなんとか元気付けようとするも、それが逆に本当は辛いのではとの疑念を生んでしまい上手くいかない。
最終的には困ったようにオロオロする横島を見かねて近右衛門が少女達を諭すようにフォローする言葉をかけると、ようやく少女達はハッとしたように気を取り直すことになる。
「……ねえ、あの人形に見覚えあるんだけど。」
「奇遇ね。 私もよ。」
少女達が気を取り直したことで魔法やらこれから何処に行くのかなどの話を再開するが、転移場の管理施設に近付くと警備員の服装をしたハニワ兵達数体が横島達一行を出迎えた。
一瞬小型のロボットかと思った少女達だが、それは少女達が何度か見掛けたハニワ兵そのものである。
「はじめまして! わたしはタマモ。」
そしてあのハニワの人形も魔法絡みだったのかと改めて理解する少女達の前ではタマモが真っ先にハニワ兵の警備員達に挨拶をしているが、タマモにとってハニワ兵の故郷へ来ることは夏から待ちに待った出来事であり本当に嬉しそうだった。
「実はうちにもハニワさんが一緒に住んでるんですよ。 私達のお洋服作りも作ってくれますし、物知りでとっても頼りになるんです。」
「あれ、じゃあ横島さんの知り合いで洋服作りが趣味の人って……。」
「やっぱり魔法って凄いね!」
横島の予期せぬ発言の戸惑いが完全に抜けきらない少女も居る中でのタマモの微笑ましい光景はみんなの心を癒すことになるが、そんな時さよがハニワ兵が家にも居ると告白すると少女達は以前から存在は知っていた洋服作りの上手い横島の友人がハニワの人形だと理解して魔法の凄さに改めて瞳を輝かせる。
尤も近右衛門は元より高畑や刀子は、完全に自我を持つ人形など一流の魔法使いでも簡単ではないと少女達に理解させねばと頭を悩ませるが。
というかハニワ兵が一緒に暮らしてて洋服なんかを作っていたなど近右衛門達は初耳であった。
以前来た時はバベルの塔などで頭がいっぱいで気付かなかったが、自我を持ち表情豊かなハニワ兵が一体どれだけ居るのかと思うと少し嫌な予感がした。