平和な日常~冬~4
一方雪広邸に到着した横島達だが時間が少し早かった為に庭を散歩していた。
例によって散歩好きなタマモが雪広邸を散歩したくてウズウズしていたからなのだが、流石に他にも招待客が居る屋敷の中を散歩する訳にもいかずにあやかに頼んで庭を散歩させてもらっている。
特にタマモは日頃は一緒に散歩しない横島達と一緒に散歩することが嬉しいようで走り回ってはしゃいでいた。
「もうちょっと暖かい季節ならここで弁当を持ってきてピクニックでもしたくなるな。」
「いや、他人の庭でピクニックをするのはどうかと思うです。」
季節的に草花の緑が幾分乏しいのは少し残念だが、雪広邸のように丁寧に整備された緑地はなかなかお目にかかれるものではない。
もうちょっと暖かい季節ならばピクニックでもしてタマモと遊びたいと思わずこぼす横島であるが、いくら居心地がいいと言っても所詮は他人の庭でありピクニックなど普通はしないと夕映に突っ込まれることになる。
尤も横島ならば本当にやりそうだとも思うが。
普通の日本人ならば遠慮するような社交辞令を横島は時々真に受けて行動してしまうが、何故か横島の場合は問題になったことはなかった。
「ほら、せっかくおめかししてきたのに汚れちゃうから気を付けなきゃダメよ。 さよちゃんもそこは危ないわよ!」
そんな本当にやりそうな横島を今年はどうなるのだろうと期待と不安が入り交じった表情で見つめる夕映であるが、ふと視線を流すと明日菜がはしゃぐタマモやさよを止めている。
雪広邸の新年会ということでおめかしして来た一同だがタマモは気にせず走り回っているし、さよはさよで転んだら危ない池の畔などではしゃいでいるのだ。
「明日菜さん。 二人のお姉さんみたいですね。」
「アスナあんだけ子供嫌いや言うてたのになぁ」
その光景はまるで世話好きな長女がドジな妹と幼い妹の世話を焼いてるように周りからは見えていた。
思わずつぶやいたのどかの一言に横島達は一斉に笑い出してしまう。
元々明日菜はタマモに対して面倒見が良かったが年末年始を一緒に過ごしたからか、その様子は少し変化しているのだ。
分かりやすく言うならば遠慮が無くなって来たというか、さよやタマモとの距離が昨年と比べると確実に縮まっているように見えていた。
「うーん、本当に家の子として嫁に出してやろうか。 それなら高畑先生とこにも嫁に行けるだろうし。」
「勝手な押し付けはだめですよ。 明日菜さん本人がきちんと決断するなら構いませんが。」
そして本当の姉妹のように見える明日菜達に横島は以前冗談で話した明日菜を引き取るとの話を本当にやろうかとこぼすも、当然ながら夕映達に止められてしまう。
普通ならば冗談で終わる話も横島の場合はやりかねないし、そもそもの問題として横島が語る明日菜が高畑を好きだとの前提が最近微妙なのは明日菜本人ですら自覚している。
横島達との交流や高畑と向き合ったことで明日菜は自分の想いが家族に対するものに近いと気付いているのだから。
結局人の心の痛みや苦しみを見抜く横島の相変わらずの恋愛オンチっぷりに、周りの少女達は最早あきれ果てて何も言えなかった。
いい加減気付いてよ!との心の声は何故か横島にだけは届かないようである。
例によって散歩好きなタマモが雪広邸を散歩したくてウズウズしていたからなのだが、流石に他にも招待客が居る屋敷の中を散歩する訳にもいかずにあやかに頼んで庭を散歩させてもらっている。
特にタマモは日頃は一緒に散歩しない横島達と一緒に散歩することが嬉しいようで走り回ってはしゃいでいた。
「もうちょっと暖かい季節ならここで弁当を持ってきてピクニックでもしたくなるな。」
「いや、他人の庭でピクニックをするのはどうかと思うです。」
季節的に草花の緑が幾分乏しいのは少し残念だが、雪広邸のように丁寧に整備された緑地はなかなかお目にかかれるものではない。
もうちょっと暖かい季節ならばピクニックでもしてタマモと遊びたいと思わずこぼす横島であるが、いくら居心地がいいと言っても所詮は他人の庭でありピクニックなど普通はしないと夕映に突っ込まれることになる。
尤も横島ならば本当にやりそうだとも思うが。
普通の日本人ならば遠慮するような社交辞令を横島は時々真に受けて行動してしまうが、何故か横島の場合は問題になったことはなかった。
「ほら、せっかくおめかししてきたのに汚れちゃうから気を付けなきゃダメよ。 さよちゃんもそこは危ないわよ!」
そんな本当にやりそうな横島を今年はどうなるのだろうと期待と不安が入り交じった表情で見つめる夕映であるが、ふと視線を流すと明日菜がはしゃぐタマモやさよを止めている。
雪広邸の新年会ということでおめかしして来た一同だがタマモは気にせず走り回っているし、さよはさよで転んだら危ない池の畔などではしゃいでいるのだ。
「明日菜さん。 二人のお姉さんみたいですね。」
「アスナあんだけ子供嫌いや言うてたのになぁ」
その光景はまるで世話好きな長女がドジな妹と幼い妹の世話を焼いてるように周りからは見えていた。
思わずつぶやいたのどかの一言に横島達は一斉に笑い出してしまう。
元々明日菜はタマモに対して面倒見が良かったが年末年始を一緒に過ごしたからか、その様子は少し変化しているのだ。
分かりやすく言うならば遠慮が無くなって来たというか、さよやタマモとの距離が昨年と比べると確実に縮まっているように見えていた。
「うーん、本当に家の子として嫁に出してやろうか。 それなら高畑先生とこにも嫁に行けるだろうし。」
「勝手な押し付けはだめですよ。 明日菜さん本人がきちんと決断するなら構いませんが。」
そして本当の姉妹のように見える明日菜達に横島は以前冗談で話した明日菜を引き取るとの話を本当にやろうかとこぼすも、当然ながら夕映達に止められてしまう。
普通ならば冗談で終わる話も横島の場合はやりかねないし、そもそもの問題として横島が語る明日菜が高畑を好きだとの前提が最近微妙なのは明日菜本人ですら自覚している。
横島達との交流や高畑と向き合ったことで明日菜は自分の想いが家族に対するものに近いと気付いているのだから。
結局人の心の痛みや苦しみを見抜く横島の相変わらずの恋愛オンチっぷりに、周りの少女達は最早あきれ果てて何も言えなかった。
いい加減気付いてよ!との心の声は何故か横島にだけは届かないようである。