平和な日常~冬~4
一方この日一足先に麻帆良に戻ってきていたのは夕映であった。
「ほれお年玉だぞ。」
「流石にお年玉を貰うのはどうかと……。」
「じゃあ、冬のボーナスにするか? 俺はどっちでもいいぞ。」
約一週間ぶりの再会にタマモは嬉しそうに夕映を迎えるが、横島はさっそく夕映にお年玉をあげている。
実は横島は一昨日の桜子と宮脇兄妹の久美にもお年玉をあげていて、二人は素直に喜んで貰っている。
夕映の場合はお年玉を貰うような関係ではないと考えたのか素直に受け取らないが、横島が適当な様子でボーナスにするかと告げて明日菜も貰ったと聞くと悩みながらも受け取っていた。
「正月もそろそろ終わりかぁ。 早いな。」
横島は店を今日まで休みにしているが、今日は朝から酒を飲んでない。
正月も明けて四日目であるし今日は午後には雪広邸に行くので、流石に朝から酒を飲んで食っちゃ寝するのは終わりにしたようだ。
ちなみに高畑に関しても今日が仕事始めのようですでに居ない。
特に何かをしたと言える正月ではなかったが、元々自堕落な生活が好きな横島は久し振りに自堕落な生活をした影響でだらけた様子である。
「どんな正月を送ったのか目に見えるようです。」
そんな昨年末と比べて明らかにだらけた横島に夕映は少しため息をつくと、明日菜とさよと顔を見合わせて笑っていた。
夕映に関しても最低限だが横島や友人達とメールしていたこともあり横島が三が日ずっと酒を飲んでいたことは知っているが、元々夕映は祖父も父も真面目な人間だったことから横島の正月の過ごし方には呆れていたのだ。
流石に正月からくどくどと言いたくないのであえて注意はしなかったが、横島の場合はそのままズルズルとだらけてしまいそうで心配はしていた。
「横島さんって、根本的に子供なのよねー。」
まあ普段はきちんと仕事をするので今日くらいは大目に見ようかと口をつぐむ夕映に、明日菜は年末年始を通して感じたことをポロリと溢す。
横島自身は自分は立派な大人だと自画自賛するかもしれないが、根本的な思考は子供と同じだと明日菜は感じたらしい。
それは必ずしも悪い意味ばかりではないが、横島は特に放っておくと危なっかしいと感じることが珍しくないのだろう。
「家の母は横島さんを褒めてましたよ。 いいお土産を頂きましたしね。」
「人からの評価は不思議なほど高いのよね。」
そのままタマモと遊ぶ横島を眺めながら本人に聞こえるような声で堂々と横島の話をする明日菜達であるが、当の横島は何も言わずに聞き流していたというかほとんど聞いてなかった。
(うーん、明日菜ちゃんはともかく夕映ちゃんは説明するの大変だろうな。 何処まで話すべきだ?)
それと言うのも夕映の顔を見るまでは少女達に自分の説明をしなければいけないことを横島はほとんど考えてなかったらしく、この好奇心の塊のような少女に自身の秘密や過去を何処まで話すべきか考える必要があると今更ながらに気づいたらしい。
近右衛門達や刀子には聞かれなかった個人的な過去をどう考えても夕映は聞きたいと思うはずなのだ。
(言えないよなぁ。)
一瞬全部話した方が楽だとの誘惑が頭を過るが、良くも悪くも言えない過去や言いたくない過去が多すぎた。
若気の至りとはいえセクハラ紛いの過去はできる限り言いたくはないし、自らの手で世界を終わらせたなんてもちろん言えるはずがない。
いずれはそれぞれの道を歩むだろう少女達に必要ないモノは隠さねばならないし、わざわざ嫌われたり幻滅されるような過去は言いたくないのだ。
結局横島は好奇心旺盛な少女達に何をどう話すか今更考え始めることになる。
「ほれお年玉だぞ。」
「流石にお年玉を貰うのはどうかと……。」
「じゃあ、冬のボーナスにするか? 俺はどっちでもいいぞ。」
約一週間ぶりの再会にタマモは嬉しそうに夕映を迎えるが、横島はさっそく夕映にお年玉をあげている。
実は横島は一昨日の桜子と宮脇兄妹の久美にもお年玉をあげていて、二人は素直に喜んで貰っている。
夕映の場合はお年玉を貰うような関係ではないと考えたのか素直に受け取らないが、横島が適当な様子でボーナスにするかと告げて明日菜も貰ったと聞くと悩みながらも受け取っていた。
「正月もそろそろ終わりかぁ。 早いな。」
横島は店を今日まで休みにしているが、今日は朝から酒を飲んでない。
正月も明けて四日目であるし今日は午後には雪広邸に行くので、流石に朝から酒を飲んで食っちゃ寝するのは終わりにしたようだ。
ちなみに高畑に関しても今日が仕事始めのようですでに居ない。
特に何かをしたと言える正月ではなかったが、元々自堕落な生活が好きな横島は久し振りに自堕落な生活をした影響でだらけた様子である。
「どんな正月を送ったのか目に見えるようです。」
そんな昨年末と比べて明らかにだらけた横島に夕映は少しため息をつくと、明日菜とさよと顔を見合わせて笑っていた。
夕映に関しても最低限だが横島や友人達とメールしていたこともあり横島が三が日ずっと酒を飲んでいたことは知っているが、元々夕映は祖父も父も真面目な人間だったことから横島の正月の過ごし方には呆れていたのだ。
流石に正月からくどくどと言いたくないのであえて注意はしなかったが、横島の場合はそのままズルズルとだらけてしまいそうで心配はしていた。
「横島さんって、根本的に子供なのよねー。」
まあ普段はきちんと仕事をするので今日くらいは大目に見ようかと口をつぐむ夕映に、明日菜は年末年始を通して感じたことをポロリと溢す。
横島自身は自分は立派な大人だと自画自賛するかもしれないが、根本的な思考は子供と同じだと明日菜は感じたらしい。
それは必ずしも悪い意味ばかりではないが、横島は特に放っておくと危なっかしいと感じることが珍しくないのだろう。
「家の母は横島さんを褒めてましたよ。 いいお土産を頂きましたしね。」
「人からの評価は不思議なほど高いのよね。」
そのままタマモと遊ぶ横島を眺めながら本人に聞こえるような声で堂々と横島の話をする明日菜達であるが、当の横島は何も言わずに聞き流していたというかほとんど聞いてなかった。
(うーん、明日菜ちゃんはともかく夕映ちゃんは説明するの大変だろうな。 何処まで話すべきだ?)
それと言うのも夕映の顔を見るまでは少女達に自分の説明をしなければいけないことを横島はほとんど考えてなかったらしく、この好奇心の塊のような少女に自身の秘密や過去を何処まで話すべきか考える必要があると今更ながらに気づいたらしい。
近右衛門達や刀子には聞かれなかった個人的な過去をどう考えても夕映は聞きたいと思うはずなのだ。
(言えないよなぁ。)
一瞬全部話した方が楽だとの誘惑が頭を過るが、良くも悪くも言えない過去や言いたくない過去が多すぎた。
若気の至りとはいえセクハラ紛いの過去はできる限り言いたくはないし、自らの手で世界を終わらせたなんてもちろん言えるはずがない。
いずれはそれぞれの道を歩むだろう少女達に必要ないモノは隠さねばならないし、わざわざ嫌われたり幻滅されるような過去は言いたくないのだ。
結局横島は好奇心旺盛な少女達に何をどう話すか今更考え始めることになる。