平和な日常~冬~4
一方散歩に出掛けたタマモはエヴァ宅に寄ってチャチャゼロを仲間に加えるといつもと同じくみんなで散歩にゆく。
途中馴染みの人達と新年の挨拶を交わしてお菓子やお年玉を貰いながら散歩をしていくが、チャチャゼロをエヴァ宅に送った帰り道に予期せぬ人物とばったり出会っていた。
「あけましておめでとうございます!」
「あっ、明けましておめでとうございます。」
その人物の顔を見るとタマモは本日何度目かの元気がいい新年の挨拶をしていて、相手は少し驚いた表情になり戸惑いの表情を見せながらも挨拶を返す。
「おうちにかえらなかったの?」
「……私には帰るうちなどないんですよ。」
タマモが出会った人物は刹那であった。
木乃香が帰省したので暇だった刹那は年末年始も魔法協会の仕事をしていたが、未成年の刹那に出来る仕事は見回りくらいである。
神鳴流であり腕前自体は麻帆良でも有数な刹那だが未成年の中学生であることに変わりはなく、日頃指導している刀子が居ない関係で同じく日頃指導している高音と愛衣が居ないガンドルフィーニと臨時で組んでいた。
ただ基本的に戦闘になることなどほとんどないので、一日のうち数時間見回りをする程度でぶっちゃけ暇であった。
タマモは刹那が実家に帰らなかったことが少し不思議だったようだが、刹那は少し言葉に詰まったのちに帰る家などないと静かに語る。
「まほらがおうちなんだ。 わたしとおんなじだね!」
少し言いにくそうな刹那の様子にタマモは子供ながら深く聞いてはいけないと思ったのかそれ以上深く尋ねることはなく、自分と同じ麻帆良が家だと考えたようで笑顔を見せていた。
「麻帆良が家ですか?」
「うん、そうだよ。」
麻帆良が家だと嬉しそうに語るタマモの言葉に刹那は何故か胸に響くほどの衝撃を感じてしまう。
恐らくタマモは故郷と言いたかったのだろうと刹那は思うが、それでもこの街が家だと言い切るタマモに何か今までの自分の価値観にはないモノを感じてならない。
「そうだ! うちにきて、いっしょにごはんたべよ!」
「えっ!?」
そのままあまり会話が弾むこともなくタマモと刹那は裏通りの路上で互いに見つめ合うが、タマモはふと何かを閃いたらしく突然刹那をご飯に誘っていた。
そのあまりに脈略のない言葉に刹那はタマモが何を言い出したのかすぐに理解出来ないようでポカーンとするも、タマモは名案だとばかりにうんうんと自己完結して頷くと刹那の手を取り歩き始める。
「ちょっと待って下さい。 私は……。」
「だめなの?」
目の前のタマモは一体何を考えてるのか理解出来ない刹那は混乱した様子でタマモを止めようとするが、タマモが悲しそうに見上げるとダメだとは言えなかった。
まあ仮に木乃香が麻帆良に居れば刹那は何がなんでも逃げたかもしれないが、ちょうどこの時木乃香は麻帆良には居ない。
そして何より刹那は昨年末に刀子に言われた《黙っていても気持ちがいずれきちんと伝わると思っているならそんな甘い考えは捨てなさい》との言葉が頭から離れないのだ。
正直刹那は聞いてみたかった。
タマモや横島がどんな気持ちで木乃香に裏の自分を打ち明けるのかを。
恐らく今日ならば横島宅には横島達家族しかいないだろうと思った刹那は、食事をするかしないかはともかくとしてタマモか横島に魔法のことを打ち明ける心境を聞けるかとも思ってしまう。
結局刹那はタマモの手を振り切る勇気がないまま、様々な思いに葛藤しつつ流されるように横島宅に向かうことになる。
途中馴染みの人達と新年の挨拶を交わしてお菓子やお年玉を貰いながら散歩をしていくが、チャチャゼロをエヴァ宅に送った帰り道に予期せぬ人物とばったり出会っていた。
「あけましておめでとうございます!」
「あっ、明けましておめでとうございます。」
その人物の顔を見るとタマモは本日何度目かの元気がいい新年の挨拶をしていて、相手は少し驚いた表情になり戸惑いの表情を見せながらも挨拶を返す。
「おうちにかえらなかったの?」
「……私には帰るうちなどないんですよ。」
タマモが出会った人物は刹那であった。
木乃香が帰省したので暇だった刹那は年末年始も魔法協会の仕事をしていたが、未成年の刹那に出来る仕事は見回りくらいである。
神鳴流であり腕前自体は麻帆良でも有数な刹那だが未成年の中学生であることに変わりはなく、日頃指導している刀子が居ない関係で同じく日頃指導している高音と愛衣が居ないガンドルフィーニと臨時で組んでいた。
ただ基本的に戦闘になることなどほとんどないので、一日のうち数時間見回りをする程度でぶっちゃけ暇であった。
タマモは刹那が実家に帰らなかったことが少し不思議だったようだが、刹那は少し言葉に詰まったのちに帰る家などないと静かに語る。
「まほらがおうちなんだ。 わたしとおんなじだね!」
少し言いにくそうな刹那の様子にタマモは子供ながら深く聞いてはいけないと思ったのかそれ以上深く尋ねることはなく、自分と同じ麻帆良が家だと考えたようで笑顔を見せていた。
「麻帆良が家ですか?」
「うん、そうだよ。」
麻帆良が家だと嬉しそうに語るタマモの言葉に刹那は何故か胸に響くほどの衝撃を感じてしまう。
恐らくタマモは故郷と言いたかったのだろうと刹那は思うが、それでもこの街が家だと言い切るタマモに何か今までの自分の価値観にはないモノを感じてならない。
「そうだ! うちにきて、いっしょにごはんたべよ!」
「えっ!?」
そのままあまり会話が弾むこともなくタマモと刹那は裏通りの路上で互いに見つめ合うが、タマモはふと何かを閃いたらしく突然刹那をご飯に誘っていた。
そのあまりに脈略のない言葉に刹那はタマモが何を言い出したのかすぐに理解出来ないようでポカーンとするも、タマモは名案だとばかりにうんうんと自己完結して頷くと刹那の手を取り歩き始める。
「ちょっと待って下さい。 私は……。」
「だめなの?」
目の前のタマモは一体何を考えてるのか理解出来ない刹那は混乱した様子でタマモを止めようとするが、タマモが悲しそうに見上げるとダメだとは言えなかった。
まあ仮に木乃香が麻帆良に居れば刹那は何がなんでも逃げたかもしれないが、ちょうどこの時木乃香は麻帆良には居ない。
そして何より刹那は昨年末に刀子に言われた《黙っていても気持ちがいずれきちんと伝わると思っているならそんな甘い考えは捨てなさい》との言葉が頭から離れないのだ。
正直刹那は聞いてみたかった。
タマモや横島がどんな気持ちで木乃香に裏の自分を打ち明けるのかを。
恐らく今日ならば横島宅には横島達家族しかいないだろうと思った刹那は、食事をするかしないかはともかくとしてタマモか横島に魔法のことを打ち明ける心境を聞けるかとも思ってしまう。
結局刹那はタマモの手を振り切る勇気がないまま、様々な思いに葛藤しつつ流されるように横島宅に向かうことになる。