平和な日常~春~

(茶々丸は最近クラスに馴染んだネ AIがかなり成長してる証拠カ)

一方賑やかな教室の中で超は周りに合わせて騒ぎつつも美砂・円・桜子と話をしている茶々丸に視線を向けていた

例によってエヴァが朝からサボりな為に茶々丸は一人だったのだが、最近は親しいクラスメートが増えて周りと会話してる事が多いのである

少し前までは自分の席に座り一人で大人しくしていたのだが、最近は木乃香達や桜子達と話をする事が多いのだ

特に美砂・円・桜子の三人との組み合わせは超にとっても意外な物だった

彼女達と親しくなるきっかけは桜子との猫の話だったのだが、お互いの猫好きな為に妙に会話が弾んでいたのである

それから桜子と一緒に居る機会の多い美砂や円とも会話をするようになったが、茶々丸が彼女達と一緒にファッションやカラオケなどの話をする姿には超でさえ驚きを隠せなかったらしい

それほど茶々丸から積極的に話し掛ける訳ではないが、茶々丸に組み込まれたデータには人間の日常に関するデータなども多く、いろいろな事をよく知ってる茶々丸に美砂や円の印象も悪くなかった


(AIの成長が予想より早いが、まだ想定内ネ。 この先どうなるか楽しみだヨ)

茶々丸は超の計画には必要な存在であると同時に、今後の様々な計画の為の実験体でもある

その成長を見守る超の瞳には、化学者としての好奇心と自らの生み出した存在を見守る親のような愛情とが入り混じった感情が写っていた



一方出張中の高畑はといえば、イギリスのメルディアナ魔法学校を訪れていた


「学園長はネギ君の受け入れには消極的なままです。 僕の方からも麻帆良の実力者の何人かに非公式に話を持ち掛けましたが、ネギ君の受け入れに積極的に協力してくれる人は居ませんでした」

出張のついでにイギリスを訪れてネギの祖父である魔法学校長と話をしていた高畑だったが、その表情は冴えないままである

近右衛門がネギの受け入れに否定的だった後、高畑は親しい麻帆良の有力者などに非公式に協力をお願いしたのだがいい返事は貰えなかったのだ

みんなネギの将来に期待して現状のネギに同情はするが、かと言って自分が表立って受け入れる事には否定的だった

ネギの母親の正体をどこまで知っているかは個々に違うが、誰もが数年前のウェールズの隠れ里の壊滅の再来を恐れている


「うむ……、どこも答えは一緒じゃな。 馬鹿息子の不始末のせいで不敏な子じゃよ。 自分の息子一人守れない奴の何が英雄じゃ」

高畑の話にメルディアナ学校長の表情は険しい

息子の負の遺産のせいで幼い孫が自由に生きられない現状は、祖父としてはとても耐えられない状況だった


「ナギは常に一生懸命に生きて……」

「そう言う問題ではない。 子供を作り産むと言う事は親としての責任を持つという事だ。 それが結果はどうだ? 故郷の村は滅ぼされ幼い子供は心に傷を抱えてしまった」

厳しい表情の学校長に高畑はフォローするように語るが、学校長のやり場のない怒りは収まらない


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