平和な日常~冬~4
「うーん、どうしようか。」
その後横島は時間的にお昼の準備を始めるが、この日はせっかくなので伸二と作ることにする。
おせちはまだあるのでそれを食べるが、お雑煮は昨日とは違うもにしたい。
二階のキッチンの食材を確認した横島は一階の厨房から調味料などを幾つか持ってくると、さっそく調理を始める。
昨日はすまし仕立てにしたので今日は関西風にしようかと白味噌ベースのお雑煮を作っていく。
まあ餅の形やお雑煮に使う食材は必ずしも本格的な関西風のものではなかったが、身内で食べるだけに横島もそこまで気にしていない。
伸二の一ヶ月の成長を確認するように手伝って貰ったがそれなりに失敗と成功を繰り返して来たようで、一ヶ月前よりはだいぶ手慣れた手つきになって来ている。
「あんたの家のお父さんとお母さん相変わらず仕事なんだ。」
「うん、サービス業だから仕方ないんだよ。」
一方カルタをしていたタマモ達だが、明日菜は初等部の頃から一緒なだけに桜子の両親が正月休みもないことを知っていたらしい。
一昔前と違い最近では年末年始に仕事をしていることも珍しくはないが、過去に何度か年末年始に暇な者同士で遊んだことがあるようだ。
「お正月って言ってもあんまり普段と変わらない人って居るのよね」
元々明日菜自身もあまり正月らしい正月というのは経験がなく、高畑と二人でおせち料理を食べるくらいである。
それでも幼い頃は雪広邸に行って雪広家の親戚なんかと一緒に遊んだりもしたが、流石にある程度物心が付くと正月の三が日は遠慮して行かなくなっていた。
「でも今年はずっと泊まってるんでしょ。 いいじゃん。 私なんて何日もマスターのご飯食べてないから禁断症状が!」
正直なところ明日菜にとってお正月はさほど騒ぐような時ではないだけなのだが、桜子は今年のことを指摘すると羨ましそうに頬を膨らませる。
なんというか今日の明日菜は完全に横島家の家族のような雰囲気だったのだ。
宮脇兄妹なんかは当然遠慮というか家族ではないと分かるが、その分だけ違和感なく横島宅に溶け込む明日菜は桜子から見て家族にしか見えないほどであった。
「禁断症状って、あんたね。」
尤も明日菜にそんな自覚は全くなく、不満そうに禁断症状がと騒ぐ桜子を困ったような呆れたような表情で見ていたが。
「美味しいよ~」
「桜子ちゃんどうしたんだ?」
「禁断症状なんだって。」
「はっ?」
そしてお雑煮が出来るとみんなで昼食にするが美味しいと何度も連呼しながら、いつも以上にバクバクと料理を食べる桜子を横島は不思議そうに見つめていた。
朝飯食って来なかったのかと考えながら何かあったのかと明日菜に尋ねるも、その答えには横島は意味がわからんと言わんばかりだ。
「私は桜子ちゃんの気持ちよく分かるなぁ。 マスターの料理って時々無性に食べたくなるんですよ。」
そんな横島の目の前では桜子に触発されたのかさよとタマモも競うようにいつも以上にバクバクと料理を頬張っており、賑やかな食卓になっている。
先程の話を知らない横島と伸二は意味がわからないようだったが、意外にも桜子の気持ちを代弁したのは宮脇兄妹の妹の久美であった。
「人は離れると改めて分かるとかって言いますけど、その通りなんだなって私も思いましたよ。」
まるで早食いのように料理を頬張る三人を前に少ししんみりとした表情の久美は、一緒に食事をしていた頃を思い出し懐かしそうに微笑む。
賑やかに楽しく美味しい料理をお腹一杯食べるあの感覚は忘れられないものなのだろう。
兄の伸二も妹の言葉にある程度事情を察したらしく笑っていたが、少女達の中で唯一ずっと横島と一緒である明日菜はやはりイマイチ理解出来ないらしい。
もちろん言ってる言葉の意味は理解するも少し大げさじゃないかと思うようだった。
その後横島は時間的にお昼の準備を始めるが、この日はせっかくなので伸二と作ることにする。
おせちはまだあるのでそれを食べるが、お雑煮は昨日とは違うもにしたい。
二階のキッチンの食材を確認した横島は一階の厨房から調味料などを幾つか持ってくると、さっそく調理を始める。
昨日はすまし仕立てにしたので今日は関西風にしようかと白味噌ベースのお雑煮を作っていく。
まあ餅の形やお雑煮に使う食材は必ずしも本格的な関西風のものではなかったが、身内で食べるだけに横島もそこまで気にしていない。
伸二の一ヶ月の成長を確認するように手伝って貰ったがそれなりに失敗と成功を繰り返して来たようで、一ヶ月前よりはだいぶ手慣れた手つきになって来ている。
「あんたの家のお父さんとお母さん相変わらず仕事なんだ。」
「うん、サービス業だから仕方ないんだよ。」
一方カルタをしていたタマモ達だが、明日菜は初等部の頃から一緒なだけに桜子の両親が正月休みもないことを知っていたらしい。
一昔前と違い最近では年末年始に仕事をしていることも珍しくはないが、過去に何度か年末年始に暇な者同士で遊んだことがあるようだ。
「お正月って言ってもあんまり普段と変わらない人って居るのよね」
元々明日菜自身もあまり正月らしい正月というのは経験がなく、高畑と二人でおせち料理を食べるくらいである。
それでも幼い頃は雪広邸に行って雪広家の親戚なんかと一緒に遊んだりもしたが、流石にある程度物心が付くと正月の三が日は遠慮して行かなくなっていた。
「でも今年はずっと泊まってるんでしょ。 いいじゃん。 私なんて何日もマスターのご飯食べてないから禁断症状が!」
正直なところ明日菜にとってお正月はさほど騒ぐような時ではないだけなのだが、桜子は今年のことを指摘すると羨ましそうに頬を膨らませる。
なんというか今日の明日菜は完全に横島家の家族のような雰囲気だったのだ。
宮脇兄妹なんかは当然遠慮というか家族ではないと分かるが、その分だけ違和感なく横島宅に溶け込む明日菜は桜子から見て家族にしか見えないほどであった。
「禁断症状って、あんたね。」
尤も明日菜にそんな自覚は全くなく、不満そうに禁断症状がと騒ぐ桜子を困ったような呆れたような表情で見ていたが。
「美味しいよ~」
「桜子ちゃんどうしたんだ?」
「禁断症状なんだって。」
「はっ?」
そしてお雑煮が出来るとみんなで昼食にするが美味しいと何度も連呼しながら、いつも以上にバクバクと料理を食べる桜子を横島は不思議そうに見つめていた。
朝飯食って来なかったのかと考えながら何かあったのかと明日菜に尋ねるも、その答えには横島は意味がわからんと言わんばかりだ。
「私は桜子ちゃんの気持ちよく分かるなぁ。 マスターの料理って時々無性に食べたくなるんですよ。」
そんな横島の目の前では桜子に触発されたのかさよとタマモも競うようにいつも以上にバクバクと料理を頬張っており、賑やかな食卓になっている。
先程の話を知らない横島と伸二は意味がわからないようだったが、意外にも桜子の気持ちを代弁したのは宮脇兄妹の妹の久美であった。
「人は離れると改めて分かるとかって言いますけど、その通りなんだなって私も思いましたよ。」
まるで早食いのように料理を頬張る三人を前に少ししんみりとした表情の久美は、一緒に食事をしていた頃を思い出し懐かしそうに微笑む。
賑やかに楽しく美味しい料理をお腹一杯食べるあの感覚は忘れられないものなのだろう。
兄の伸二も妹の言葉にある程度事情を察したらしく笑っていたが、少女達の中で唯一ずっと横島と一緒である明日菜はやはりイマイチ理解出来ないらしい。
もちろん言ってる言葉の意味は理解するも少し大げさじゃないかと思うようだった。