平和な日常~春~

小学生以下は教師や保護者の協力の元で行われており、収益は分配ではなくクラス単位でパーティーを開くなどして使うのが通例である

生徒が自主的に出し物を行い収益を分配出来るのは中学生からだったのだ

従って2ーAばかりではなく、中学部は全体的に気合いが入っている

高校生になると個人でバイトをする者も多いのでクラス単位の出し物には消極的な者も居るが、中学部ではかなりの割合でみんなが気合いが入っていた


「みなさん、静かにして下さい。 また時間が無くなりますよ」

がやがやと賑やかなクラスメートを纏めつつ進行するのはあやかだったが、悪のりが大好きなクラスメートが騒ぐためなかなか話し合いが進まない

ちなみに担任である高畑は例によって出張で居ないため、この場には生徒しかいなかった

止める者が少ない為に賑やかに騒ぐ中、夕映と木乃香は話し合いそっちのけで横島の店のバイトのローテーションを組んでいる


「でもクラスの出し物決まらんと正式な時間決まらんな~」

「基本的に早い者勝ちなところがありますからね。 こちらも早く時間を決めてしまいましょう」
バイト参加者の名簿と希望日時を聞いた二人は着々とバイトのスケジュールを決めてるが、問題はクラスの出し物だった

それによっては変わる可能性もあるのだが、基本的に麻帆良祭は早く予定が決まった方を優先させる傾向が強いので夕映はさっさと決めてしまうつもりらしい

すでに気合いの入ったクラブやサークルは人員のスケジュールを押さえてる事も多く、麻帆良祭は後になればなるほど人を集めるのが大変になるのだ


「ねえアスナ、横島さん麻帆良祭でどんな料理出すの? この前の事もあるから期待しちゃうな~」

「なんか考えとくって言ってたけど、この前みたいな激安じゃないわよ。 あんなの麻帆良祭でやったらいくら赤字になるかわかんないじゃないの」

一方明日菜は朝倉に横島の店の事を聞かれていた

報道部発行の麻帆良新聞や麻帆良スポーツもすでに記事は麻帆良祭が大半を占めており、朝倉は横島の店を記事に書きたいらしく根掘り葉掘り聞いていく

しかし明日菜は激安はしないし、それほど噂になるほど珍しい料理にならないと言い切る

この辺りは先日横島と木乃香達が話し合った時に決めた事であり、激安メニューはやらない事とあまりに高級な食材を使った料理なんかも出さない方向で話が決まっていた

ゴールデンウィークのスイーツ食べ放題のように、想定外の人が押し寄せる事を警戒したためである

まあ明日菜達としては横島が繁盛して儲かる分には賛成なのだが、下手に人が集まり過ぎて捌ききれなくなり評判が悪くなったり問題が起きたりするのを心配していたのだ

それだけ麻帆良祭の人出は凄まじく、横島が変な思い付きで失敗しないか彼女達はハラハラしているようである

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