平和な日常~冬~4
それから数時間が過ぎて元旦の朝というか夜明け前に起きた明日菜は手早く準備をして新聞配達に出かけることにする。
「手伝おうか? 元旦は大変なんだろ?」
他の人を起こさぬようにと静かに寝ていた部屋から出た明日菜だが、ちょうど狙ったかのように同じタイミングで横島も起きて来ていた。
店の仕入れや仕込みやで日頃は明日菜と同じく朝が早い横島であるが、まさか元旦の朝もこんな時間に起きて来るとは思わず明日菜は驚いてしまう。
「せっかくですけど気持ちだけで十分ですよ。 今日くらいはゆっくりして下さい。」
少し眠そうな横島に明日菜は日頃の習慣で目が覚めたのかと考えたようで、横島の予期せぬ提案を丁重に断っている。
「遠慮しなくてもいいんだが。」
「そうかもしれませんね。 でも新聞配達だけはできる限り自分の力でやりたいんです。」
「そうか。 なら暖かくして行けよ。 外は寒いからな。」
横島としては純粋に大変だろうからと声をかけたのだが、明日菜は新聞配達だけはできる限り自分の力でやりたいと言う。
麻帆良祭の時は忙しかったこともあって横島に手伝ってもらったこともあるが、今日は手伝ってもらうほどではないと判断したようだ。
まあ実際のところ横島と明日菜の関係も当時と今では結構違うし、明日菜の成長も著しいので新聞配達に対する価値観も少し変わったようではあるが。
「うっ、寒い!」
そんな横島に見送られて家を出た明日菜だが、肌を刺激するような冷たい空気に眠気が一気に覚めたようになる。
やっぱり手伝って貰おうかななんて考えてしまうが、そんな自分に活を入れると新聞販売店に向かって走り出す。
「結局甘えちゃうのよね。 せめて新聞配達だけは自分の力でやり通さないと。」
いつの間にか横島と一緒居るのがすっかり当たり前になってしまった明日菜であるが、放っておくと際限なく甘くなる横島には悩むことも未だに多かった。
タマモやさよは横島が預かったからまだいいのだと思うが、自分は立場が違うので一定のけじめはつけないと明日菜は思うのだ。
まあ明日菜自身も決して現在の環境が嫌な訳ではなく、どちらかと言えば甘えたいのが本音であるが。
尤も明日菜は現状を冷静に見てるようで見えてなく、自分と横島の関係が世間一般から見るとすでに友達というレベルを逸脱してることには相変わらず気付いてないことなどは明日菜らしいところだった。
ともかく明日菜は早く新聞配達を終わらせようと急ぐことになる。
一方横島は明日菜の後を追うように出掛けた高畑を見送り、二度寝しようとタマモが寝ている布団に戻っていた。
高畑に関してはクリスマス以降、朝の新聞配達の時には明日菜の護衛をしてるらしい。
年末年始はどうしても麻帆良が手薄になる時期であり、特に早朝は人気も少ないので危険ではあるのだ。
尤も現状の明日菜には危険な要素はなく横島と近右衛門は土偶羅から高畑の行動を報告で聞いていたが、近右衛門は高畑の好きなようにさせたいと静観するらしいので横島も口出しはしていない。
まあ高畑が明日菜を護衛していることを第三者に知られると少々厄介にはなるが、そもそも麻帆良に入ってきている諜報員は本当に有能な者は居ないので高畑が出し抜かれることはないようである。
麻帆良がいかに独立勢力として成功していても所詮は一介の魔法協会であって、魔法世界や地球側魔法協会においての戦略上の優先順位なんかは正直さほど高くはない。
麻帆良に有能な人材を送るならメガロメセンブリアやヘラス帝国に送るのが当然のことであった。
少し話は逸れたが気持ち良さそうに眠るタマモに誘われるように横島も再び眠りにつくことになる。
「手伝おうか? 元旦は大変なんだろ?」
他の人を起こさぬようにと静かに寝ていた部屋から出た明日菜だが、ちょうど狙ったかのように同じタイミングで横島も起きて来ていた。
店の仕入れや仕込みやで日頃は明日菜と同じく朝が早い横島であるが、まさか元旦の朝もこんな時間に起きて来るとは思わず明日菜は驚いてしまう。
「せっかくですけど気持ちだけで十分ですよ。 今日くらいはゆっくりして下さい。」
少し眠そうな横島に明日菜は日頃の習慣で目が覚めたのかと考えたようで、横島の予期せぬ提案を丁重に断っている。
「遠慮しなくてもいいんだが。」
「そうかもしれませんね。 でも新聞配達だけはできる限り自分の力でやりたいんです。」
「そうか。 なら暖かくして行けよ。 外は寒いからな。」
横島としては純粋に大変だろうからと声をかけたのだが、明日菜は新聞配達だけはできる限り自分の力でやりたいと言う。
麻帆良祭の時は忙しかったこともあって横島に手伝ってもらったこともあるが、今日は手伝ってもらうほどではないと判断したようだ。
まあ実際のところ横島と明日菜の関係も当時と今では結構違うし、明日菜の成長も著しいので新聞配達に対する価値観も少し変わったようではあるが。
「うっ、寒い!」
そんな横島に見送られて家を出た明日菜だが、肌を刺激するような冷たい空気に眠気が一気に覚めたようになる。
やっぱり手伝って貰おうかななんて考えてしまうが、そんな自分に活を入れると新聞販売店に向かって走り出す。
「結局甘えちゃうのよね。 せめて新聞配達だけは自分の力でやり通さないと。」
いつの間にか横島と一緒居るのがすっかり当たり前になってしまった明日菜であるが、放っておくと際限なく甘くなる横島には悩むことも未だに多かった。
タマモやさよは横島が預かったからまだいいのだと思うが、自分は立場が違うので一定のけじめはつけないと明日菜は思うのだ。
まあ明日菜自身も決して現在の環境が嫌な訳ではなく、どちらかと言えば甘えたいのが本音であるが。
尤も明日菜は現状を冷静に見てるようで見えてなく、自分と横島の関係が世間一般から見るとすでに友達というレベルを逸脱してることには相変わらず気付いてないことなどは明日菜らしいところだった。
ともかく明日菜は早く新聞配達を終わらせようと急ぐことになる。
一方横島は明日菜の後を追うように出掛けた高畑を見送り、二度寝しようとタマモが寝ている布団に戻っていた。
高畑に関してはクリスマス以降、朝の新聞配達の時には明日菜の護衛をしてるらしい。
年末年始はどうしても麻帆良が手薄になる時期であり、特に早朝は人気も少ないので危険ではあるのだ。
尤も現状の明日菜には危険な要素はなく横島と近右衛門は土偶羅から高畑の行動を報告で聞いていたが、近右衛門は高畑の好きなようにさせたいと静観するらしいので横島も口出しはしていない。
まあ高畑が明日菜を護衛していることを第三者に知られると少々厄介にはなるが、そもそも麻帆良に入ってきている諜報員は本当に有能な者は居ないので高畑が出し抜かれることはないようである。
麻帆良がいかに独立勢力として成功していても所詮は一介の魔法協会であって、魔法世界や地球側魔法協会においての戦略上の優先順位なんかは正直さほど高くはない。
麻帆良に有能な人材を送るならメガロメセンブリアやヘラス帝国に送るのが当然のことであった。
少し話は逸れたが気持ち良さそうに眠るタマモに誘われるように横島も再び眠りにつくことになる。