平和な日常~冬~4
昼食を挟んで午後の掃除は一階のフロアからであった。
飲食店である以上は横島達も日頃から衛生管理には気を付けているので基本的に一階は綺麗ではあるが、広い店内なだけに掃除にはそれなりに時間がかかっている。
特に普段はなかなか出来ない裏の裏まで掃除をしてるので、時間がかかるのは仕方ないのだろう。
「タマちゃん無理しちゃダメよ。」
「うん!」
フロアの掃除は基本的に横島が脚立を使って天井や高い位置にある照明を掃除する中、明日菜とさよとタマモの三人はカウンターやテーブルや椅子などの掃除をしている。
幼いタマモは元よりさよも結構ドジなので、必然的に明日菜が持ち前の面倒見の良さを発揮して仕切る形になり二人が怪我などしないように気を配っていた。
「こうしてみると少し傷んでる場所もあるわね。」
「骨董品に近い建物だからな。」
冷たい風が吹く年末に窓を開けての大掃除は大変だがそれ以上に気になるのは、建物やテーブルなんかが少し傷んでるところがあることだろう。
まあ傷なんかも味わいになると言えばその通りかもしれないが、修復した方がいい場所や物も多少ある。
「今日は無理だけど、そのうち暇を見つけて直しておくよ。」
「じゃあ、直した方がいいとこメモっておくわね。」
きっと傷の一つ一つに歴史というか思い出があると思うと感慨深いものを感じる明日菜だが、それはそれとしてこれから先も長く使うには早めの修復が必要なのは明らかだった。
結果として明日菜はさよとタマモと一緒に掃除をしながら修復が必要な場所をメモして残しておくことにする。
「あすなちゃん、ここもきずがあるよ!」
そして傷んでる場所を探しながら掃除をしようと言う明日菜の言葉に、タマモは真剣な様子であちこち見ては傷んでるところを明日菜に報告に来る。
特にテーブルや椅子の下なんかはタマモが小さな体を生かして潜り込んでは点検していた。
「よく、見つけたわね~。 この調子でどんどん行くわよ。」
「タマちゃん凄いね。」
やはりタマモの場合は自分がみんなの役に立てることが嬉しいようで誉めて欲しいと言わんばかりの笑顔を明日菜やさよに向けていて、そんなタマモの心情を理解した明日菜とさよは当然のように誉めている。
するとタマモはそんな二人にもっと喜んで貰おうとご機嫌な様子で掃除をしながらもキョロキョロと周囲を観察して傷などを探していく。
一方の横島は一人で照明の掃除をしていたが、タマモと明日菜の変化を見て人の成長の早さを実感していた。
タマモと出会った当初には木乃香達の中で一番戸惑っていたのは他ならぬ明日菜だったのだから。
そもそも子供嫌いを公言していた明日菜故に仕方なかったのだろうが、元々本当に子供が嫌いという感じではなくどう接していいか分からない様子だったのだから現在の二人を見ると明日菜は成長したなと実感する。
(嫌いなのは子供じゃなくて、何も出来なかった過去の自分なのかもな。)
己の無力さに苦しむのは人ならばいつか通る道なのかもしれないが、明日菜はその過去の厳しさ故に記憶を封じてもなお想いまでは封じれなかったのだろうと思うと横島は少し複雑な心境になってしまう。
ただ横島はタマモと一緒の明日菜を見ていると、いつの日か明日菜も自分の過去と向き合って自ら前を向いて歩み出すのではないかとそんな予感がする。
そしてその時のタマモはどれくらい大きくなっていて、どう行動するのかと思うと横島は素直に将来が楽しみであった。
飲食店である以上は横島達も日頃から衛生管理には気を付けているので基本的に一階は綺麗ではあるが、広い店内なだけに掃除にはそれなりに時間がかかっている。
特に普段はなかなか出来ない裏の裏まで掃除をしてるので、時間がかかるのは仕方ないのだろう。
「タマちゃん無理しちゃダメよ。」
「うん!」
フロアの掃除は基本的に横島が脚立を使って天井や高い位置にある照明を掃除する中、明日菜とさよとタマモの三人はカウンターやテーブルや椅子などの掃除をしている。
幼いタマモは元よりさよも結構ドジなので、必然的に明日菜が持ち前の面倒見の良さを発揮して仕切る形になり二人が怪我などしないように気を配っていた。
「こうしてみると少し傷んでる場所もあるわね。」
「骨董品に近い建物だからな。」
冷たい風が吹く年末に窓を開けての大掃除は大変だがそれ以上に気になるのは、建物やテーブルなんかが少し傷んでるところがあることだろう。
まあ傷なんかも味わいになると言えばその通りかもしれないが、修復した方がいい場所や物も多少ある。
「今日は無理だけど、そのうち暇を見つけて直しておくよ。」
「じゃあ、直した方がいいとこメモっておくわね。」
きっと傷の一つ一つに歴史というか思い出があると思うと感慨深いものを感じる明日菜だが、それはそれとしてこれから先も長く使うには早めの修復が必要なのは明らかだった。
結果として明日菜はさよとタマモと一緒に掃除をしながら修復が必要な場所をメモして残しておくことにする。
「あすなちゃん、ここもきずがあるよ!」
そして傷んでる場所を探しながら掃除をしようと言う明日菜の言葉に、タマモは真剣な様子であちこち見ては傷んでるところを明日菜に報告に来る。
特にテーブルや椅子の下なんかはタマモが小さな体を生かして潜り込んでは点検していた。
「よく、見つけたわね~。 この調子でどんどん行くわよ。」
「タマちゃん凄いね。」
やはりタマモの場合は自分がみんなの役に立てることが嬉しいようで誉めて欲しいと言わんばかりの笑顔を明日菜やさよに向けていて、そんなタマモの心情を理解した明日菜とさよは当然のように誉めている。
するとタマモはそんな二人にもっと喜んで貰おうとご機嫌な様子で掃除をしながらもキョロキョロと周囲を観察して傷などを探していく。
一方の横島は一人で照明の掃除をしていたが、タマモと明日菜の変化を見て人の成長の早さを実感していた。
タマモと出会った当初には木乃香達の中で一番戸惑っていたのは他ならぬ明日菜だったのだから。
そもそも子供嫌いを公言していた明日菜故に仕方なかったのだろうが、元々本当に子供が嫌いという感じではなくどう接していいか分からない様子だったのだから現在の二人を見ると明日菜は成長したなと実感する。
(嫌いなのは子供じゃなくて、何も出来なかった過去の自分なのかもな。)
己の無力さに苦しむのは人ならばいつか通る道なのかもしれないが、明日菜はその過去の厳しさ故に記憶を封じてもなお想いまでは封じれなかったのだろうと思うと横島は少し複雑な心境になってしまう。
ただ横島はタマモと一緒の明日菜を見ていると、いつの日か明日菜も自分の過去と向き合って自ら前を向いて歩み出すのではないかとそんな予感がする。
そしてその時のタマモはどれくらい大きくなっていて、どう行動するのかと思うと横島は素直に将来が楽しみであった。