さて大掃除をしている横島達だが、こちらはお昼になり超包子の屋台に来ていた。

日頃はあまり外食はしない横島であったが、大掃除の最中なだけに手早く済ませられる外食に来ている。


「超さん、うちに帰らないんですか？」

「ワタシは忙しくて帰れないネ。 冬休みは予定が立て込んでいるヨ。」

冬の麻帆良は当然ながら寒いが超包子の屋台は昼時ということもあり混雑していた。

まあみんながみんな帰省する訳ではないし、大学部の学生達なんかは年末年始はバイトに明け暮れる者も珍しくない。

さよは当然のように年末のこの日も働く超を目撃すると家にかえらないないのかと尋ねるが、超は超包子の営業以外もいろい予定があり忙しいと言う。


「相変わらず生き急いでるな。 中学生なんだからもうちょっと遊べよ。」

ニコニコとした笑顔を見せつつさよに年末年始の予定の一部を教える超に、横島はたまらず生き急いでるなとため息混じりにこぼす。

信念があり明確な目標がある彼女にとって時間が何よりも貴重なのは横島も重々理解しているが、彼女の願いはこの世界では叶わないと知るだけになんとも言えない心境になる。


「マスターが一緒に遊んでくれるのカ？ それは有りがたいネ。 ちょうど実験のモ……ではなく協力してくれる人を探してたネ。」

「今、モルモットって言おうとしなかったか！？」

「見た目以上にタフそうだからマスターなら大丈夫ヨ！」

「全然大丈夫そうには見えんが？ ってかマッドサイエンティスト実験なんて冗談じゃないわ！」

珍しく真面目に超を心配する横島だが、今度は超が横島をからかうような事を口にすると横島もそれに合わせるように変化していく。

さよは一人だけ超の話を真に受けて心配そうになるが、明日菜はいつもの冗談だと悟ったらしく普通に食事をしている。

ちなみにタマモは話の意味をあまり理解してないので、横島と超を楽しそうだと見てるだけだった。


「まったく……」

結局昼時で忙しい超は馬鹿話もそこそこに仕事に戻っていくが、若干振り回された横島は少しだけ疲れたような表情を見せる。


「超さんといい横島さんといい、頭のいい人ってほんと変わってるわよね。」

「ちょっとまて明日菜ちゃん、俺は普通だぞ！」

一方の明日菜は二人の会話を聞きながら改めて超や横島は変わってるなと感じたらしく少し呆れた表情をしていたが、横島は自分は普通だとすぐに反論する。

横島は完璧超人と異名をもつ超と違い隙が多く、割りと初歩的なミスをよくするがどちらも明日菜からみると別次元の存在にも思えた。


「横島さんはもうちょっと真面目に生きたら超さんみたいになれたんじゃないんですか？」

そしてこれは明日菜のみならず２ーＡの少女達に共通する意見だが、横島はもう少し真面目に生きたら超のようになるのではと考えられている。

なんというか潜在的なスペックは負けてないのに、横島の行動基準は楽しいか楽しくないかの二者択一だけに才能の無駄遣いだとも言われていた。


「俺は常に真面目に生きてるぞ。 みんなが笑って暮らせるのが一番だろ。」

「そういう言い方をすればそうですけどね。」

もう少し真面目に生きていたらと言う明日菜に横島は真顔で真面目に生きてると答えみんなが笑って暮らせるのが一番だと答えるが、それは明日菜も当然ながらそう思うがどこか話をずらされた気がしてならなかった。