平和な日常~冬~4
一階の倉庫の中身は完全に店の備品であった。
珍しいのは麻帆良亭の看板なんかがあったが、他はテーブルクロスや食器などが中心である。
「これは高そうな食器ですね。」
「うん、きれいなおさら」
そんな奥の方から出てきた食器は明らかに今までの物とは質が違い高そうというか気品がある物だった。
さよとタマモは珍しそうにその食器を手に取り眺めるが、横島は驚きというか驚愕の表情を浮かべている。
「それマイセンの食器だ。 高いぞ。 最近の相場は知らんがざっと見積もっても一つ最低十万はするな。 なんでこんなのあるんだろ?」
それはヨーロッパでも最高級の食器であるマイセンの食器であった。
横島が驚くのも無理はなくマイセンだけで二十点ほどの食器がある。
さらっと値段を口にする横島に価値を理解できないタマモを除いたさよと明日菜は、固まったようにそっと食器をダンボールに戻す。
「元からある食器も安くはないけど、こりゃ別物だわ。 今度坂本さんに返すか。」
「店で使ってる食器も高いの?」
「ああ、特に名の知れたブランドじゃないけど買えば一つ一万以上はするんじゃないか?」
流石に横島も一つ十万以上もする食器は使えないし黙って貰うにしては高すぎるので前のオーナ夫妻に返そうと決めるが、明日菜は話の流れで普段店で使ってる食器もそこそこ高い高級品だと聞き表情が引きつっている。
ただこれに関しては横島が用意した物ではなく元々ある麻帆良亭の物なので最近の大量生産の安物でないのは当然だった。
実のところ横島が借りなければ店の食器や建具などは数日の内に全て売却される予定であった。
「なんか使うの怖くなりますね。」
「物は使ってこそ価値があるんだよ。 それにこの店の雰囲気で百均の皿とか使ってたら雰囲気ぶち壊しだろうが。」
とりあえずマイセンの食器は別にして倉庫の整理を続ける横島達だが、明日菜とさよは普段使ってる物の値段を聞いたからか若干ビビり気味だ。
横島はそんな二人に物は使ってこそ価値があると分かったようなことを言うが、実際には横島自身も限度があり高すぎる食器なんかは使いたくないと考えてるので本質的には似たようなものである。
「関東大震災?、うわっこれ大正時代の新聞ですよ!?」
その後横島と明日菜達は食器の値段を聞いたからか慎重に荷物を確認して倉庫から一旦運び出していくが、意外と面白いの食器を包んだりしている新聞であった。
古いのは大正時代の新聞まであとて、まるで歴史の流れを見るように様々な年代の新聞がある。
「夕映ちゃんが見たら喜びそうね。」
何故か古い新聞を見て楽しそうに騒ぐさよに明日菜は思わず笑ってしまい、今日居ない夕映なんかも喜びそうだとつぶやく。
まあさよは自分の生きていた時代に近い新聞なんかを見つけて喜んでいただけだが、あいにくと明日菜はあまり興味がないらしい。
「この倉庫には長い歴史が詰まってるからな。 この新聞で包んだ人もまさか二十一世紀まで残るなんて思ってもなかっただろうよ。」
一方の横島は狭い倉庫にも百年以上の麻帆良亭の歴史が詰まってると考えると感慨深いものがあった。
自分がいつまでここで店をやるかは分からないが遠い未来にもしこの店が残っていて誰かが継いでいたならば、その者達は自分達のことをどう感じるのだろうと思うと苦笑いも出そうになるが。
ともかく歴史の長さを感じつつ倉庫の整理と掃除は続いていくことになる。
珍しいのは麻帆良亭の看板なんかがあったが、他はテーブルクロスや食器などが中心である。
「これは高そうな食器ですね。」
「うん、きれいなおさら」
そんな奥の方から出てきた食器は明らかに今までの物とは質が違い高そうというか気品がある物だった。
さよとタマモは珍しそうにその食器を手に取り眺めるが、横島は驚きというか驚愕の表情を浮かべている。
「それマイセンの食器だ。 高いぞ。 最近の相場は知らんがざっと見積もっても一つ最低十万はするな。 なんでこんなのあるんだろ?」
それはヨーロッパでも最高級の食器であるマイセンの食器であった。
横島が驚くのも無理はなくマイセンだけで二十点ほどの食器がある。
さらっと値段を口にする横島に価値を理解できないタマモを除いたさよと明日菜は、固まったようにそっと食器をダンボールに戻す。
「元からある食器も安くはないけど、こりゃ別物だわ。 今度坂本さんに返すか。」
「店で使ってる食器も高いの?」
「ああ、特に名の知れたブランドじゃないけど買えば一つ一万以上はするんじゃないか?」
流石に横島も一つ十万以上もする食器は使えないし黙って貰うにしては高すぎるので前のオーナ夫妻に返そうと決めるが、明日菜は話の流れで普段店で使ってる食器もそこそこ高い高級品だと聞き表情が引きつっている。
ただこれに関しては横島が用意した物ではなく元々ある麻帆良亭の物なので最近の大量生産の安物でないのは当然だった。
実のところ横島が借りなければ店の食器や建具などは数日の内に全て売却される予定であった。
「なんか使うの怖くなりますね。」
「物は使ってこそ価値があるんだよ。 それにこの店の雰囲気で百均の皿とか使ってたら雰囲気ぶち壊しだろうが。」
とりあえずマイセンの食器は別にして倉庫の整理を続ける横島達だが、明日菜とさよは普段使ってる物の値段を聞いたからか若干ビビり気味だ。
横島はそんな二人に物は使ってこそ価値があると分かったようなことを言うが、実際には横島自身も限度があり高すぎる食器なんかは使いたくないと考えてるので本質的には似たようなものである。
「関東大震災?、うわっこれ大正時代の新聞ですよ!?」
その後横島と明日菜達は食器の値段を聞いたからか慎重に荷物を確認して倉庫から一旦運び出していくが、意外と面白いの食器を包んだりしている新聞であった。
古いのは大正時代の新聞まであとて、まるで歴史の流れを見るように様々な年代の新聞がある。
「夕映ちゃんが見たら喜びそうね。」
何故か古い新聞を見て楽しそうに騒ぐさよに明日菜は思わず笑ってしまい、今日居ない夕映なんかも喜びそうだとつぶやく。
まあさよは自分の生きていた時代に近い新聞なんかを見つけて喜んでいただけだが、あいにくと明日菜はあまり興味がないらしい。
「この倉庫には長い歴史が詰まってるからな。 この新聞で包んだ人もまさか二十一世紀まで残るなんて思ってもなかっただろうよ。」
一方の横島は狭い倉庫にも百年以上の麻帆良亭の歴史が詰まってると考えると感慨深いものがあった。
自分がいつまでここで店をやるかは分からないが遠い未来にもしこの店が残っていて誰かが継いでいたならば、その者達は自分達のことをどう感じるのだろうと思うと苦笑いも出そうになるが。
ともかく歴史の長さを感じつつ倉庫の整理と掃除は続いていくことになる。