平和な日常~冬~3
「じゃあね、マスターもタマちゃんもよいお年を」
その後横島宅に泊まった少女達が起きたのはお昼の少し前であった。
店で横島が用意した遅い朝食を食べた少女達は昨日の疲れも見せずに元気な様子であったが、美砂と円とのどかは今日で帰省するので横島達に挨拶をして帰っていく。
帰省する期間は長くても十日ほどで平均すると一週間と少しなのだが、タマモは若干寂しそうに見送っている。
周りのみんなの帰省はお盆にもあったが、僅か一週間の別れが寂しく感じるほど仲良くなったと言うことだろう。
「みんなすぐ帰ってくるわよ」
「そうですよ」
そんな昨日の様子が嘘のように元気がないタマモを先ほどからなだめていたのは明日菜とさよである。
最終的に残るのが明日菜とさよの二人なので自然となだめ役になっていたようだ。
「タマモ、やっぱり旅行でも行くか? 年末年始なら遠くに行けるぞ」
「ううん、いかない。 りょこうはみんなといくってやくそくしたもん」
一時的とはいえ別れの寂しさを知るのはタマモにとって必要な経験なのだろうが、基本的に元気がないタマモを見てられない横島は以前にタマモが拒否した年末年始の旅行について再び持ち出す。
しかしタマモは先ほど帰った木乃香達や美砂達と約束をしたので、旅行はいく気がないらしい。
「そうだ。 明日菜ちゃんさえよかったら、年末年始は家に泊まらないか?」
そのまま元気がないタマモをなんとか喜ばせようと考えた横島は、以前から少し考えていたことだが明日菜を年末年始に一緒に家に泊まるようにと誘ってみることにした。
どのみち麻帆良に居るならば同じく年末年始予定がない明日菜も一緒に居るだろうし、そうするとわざわざ寮に帰らなくてもいいのではと考えたのだ。
「あすなちゃんおとまりするの?」
「うーん、特に予定もないしいいわよ。 去年のお正月は独りで暇だったし……」
そんな横島からの提案は明日菜にとって少し予想外だったようで驚いていたが、明らかに期待するような視線を向けるタマモに押される形で年末年始に横島宅へ泊まることに決める。
正直お盆の時も寮にはお風呂と寝に帰っただけだったし、明日菜自身も近いとはいえ横島宅に泊まった方が楽であった。
まあこれが横島が独り暮らしならばまた違ったのだろうが、さよとタマモが居るので男性の家に泊まるというよりは友人の家に泊まる感覚なので抵抗感がないのだろう。
「やった! ずっといっしょだね」
はっきり言えばすぐにみんな戻ってくると聞いてもどこか不安だったのだろう。
せめて明日菜が年末年始も一緒だと知るとタマモは嬉しそうに明日菜に抱きついていた。
「せっかくだから今年のおせち料理は手作りで作ろうか」
「横島さんならおせち料理も作れる……、って作れても独りだと作らないわよね」
タマモが元気になったことで横島達はほっと一息つくと、横島はそのままお正月のおせち料理を手作りしようかと言い出す。
明日菜とさよは横島ならば当然おせち料理も作れるんだろうと思うが、明日菜はそもそも横島があてもない旅をしていたことを思い出していた。
それにそもそもの問題として独り暮らしの人が手の込んだおせち料理を作るかと言われると普通は作らない気がする。
横島が何時から一人なのかは誰も聞いてないので詳しく知らないが、恐らくは前回作ったのは両親が生きていた頃なんだろうと思うとその辺りの話はあまりしない方がいいかと明日菜も気を使っていた。
「そうだ、年末年始は暇だし明日菜ちゃんにも料理を基礎から教えてやろう。 将来結婚したら役に立つぞ。 家事は女性がやるものだとまでは言わないけど料理の出来る女性はポイント高いからな」
そんな横島を気遣う明日菜と対照的に横島は何故か明日菜に料理を教えるとひとりで勝手に燃えている。
今まで木乃香やのどかが割と積極的に料理を教わっていたが、料理が苦手だという夕映と明日菜はほとんど教えることがなかったのだ。
「私、繊細な作業とか細かいことって苦手なんですよね」
「上手くいけば高畑先生に手料理振る舞えるようになるぞ」
「それは高畑先生も喜びそうですけど……」
何故か勝手に盛り上がる横島を明日菜は少し困ったように見つめていた。
その後横島宅に泊まった少女達が起きたのはお昼の少し前であった。
店で横島が用意した遅い朝食を食べた少女達は昨日の疲れも見せずに元気な様子であったが、美砂と円とのどかは今日で帰省するので横島達に挨拶をして帰っていく。
帰省する期間は長くても十日ほどで平均すると一週間と少しなのだが、タマモは若干寂しそうに見送っている。
周りのみんなの帰省はお盆にもあったが、僅か一週間の別れが寂しく感じるほど仲良くなったと言うことだろう。
「みんなすぐ帰ってくるわよ」
「そうですよ」
そんな昨日の様子が嘘のように元気がないタマモを先ほどからなだめていたのは明日菜とさよである。
最終的に残るのが明日菜とさよの二人なので自然となだめ役になっていたようだ。
「タマモ、やっぱり旅行でも行くか? 年末年始なら遠くに行けるぞ」
「ううん、いかない。 りょこうはみんなといくってやくそくしたもん」
一時的とはいえ別れの寂しさを知るのはタマモにとって必要な経験なのだろうが、基本的に元気がないタマモを見てられない横島は以前にタマモが拒否した年末年始の旅行について再び持ち出す。
しかしタマモは先ほど帰った木乃香達や美砂達と約束をしたので、旅行はいく気がないらしい。
「そうだ。 明日菜ちゃんさえよかったら、年末年始は家に泊まらないか?」
そのまま元気がないタマモをなんとか喜ばせようと考えた横島は、以前から少し考えていたことだが明日菜を年末年始に一緒に家に泊まるようにと誘ってみることにした。
どのみち麻帆良に居るならば同じく年末年始予定がない明日菜も一緒に居るだろうし、そうするとわざわざ寮に帰らなくてもいいのではと考えたのだ。
「あすなちゃんおとまりするの?」
「うーん、特に予定もないしいいわよ。 去年のお正月は独りで暇だったし……」
そんな横島からの提案は明日菜にとって少し予想外だったようで驚いていたが、明らかに期待するような視線を向けるタマモに押される形で年末年始に横島宅へ泊まることに決める。
正直お盆の時も寮にはお風呂と寝に帰っただけだったし、明日菜自身も近いとはいえ横島宅に泊まった方が楽であった。
まあこれが横島が独り暮らしならばまた違ったのだろうが、さよとタマモが居るので男性の家に泊まるというよりは友人の家に泊まる感覚なので抵抗感がないのだろう。
「やった! ずっといっしょだね」
はっきり言えばすぐにみんな戻ってくると聞いてもどこか不安だったのだろう。
せめて明日菜が年末年始も一緒だと知るとタマモは嬉しそうに明日菜に抱きついていた。
「せっかくだから今年のおせち料理は手作りで作ろうか」
「横島さんならおせち料理も作れる……、って作れても独りだと作らないわよね」
タマモが元気になったことで横島達はほっと一息つくと、横島はそのままお正月のおせち料理を手作りしようかと言い出す。
明日菜とさよは横島ならば当然おせち料理も作れるんだろうと思うが、明日菜はそもそも横島があてもない旅をしていたことを思い出していた。
それにそもそもの問題として独り暮らしの人が手の込んだおせち料理を作るかと言われると普通は作らない気がする。
横島が何時から一人なのかは誰も聞いてないので詳しく知らないが、恐らくは前回作ったのは両親が生きていた頃なんだろうと思うとその辺りの話はあまりしない方がいいかと明日菜も気を使っていた。
「そうだ、年末年始は暇だし明日菜ちゃんにも料理を基礎から教えてやろう。 将来結婚したら役に立つぞ。 家事は女性がやるものだとまでは言わないけど料理の出来る女性はポイント高いからな」
そんな横島を気遣う明日菜と対照的に横島は何故か明日菜に料理を教えるとひとりで勝手に燃えている。
今まで木乃香やのどかが割と積極的に料理を教わっていたが、料理が苦手だという夕映と明日菜はほとんど教えることがなかったのだ。
「私、繊細な作業とか細かいことって苦手なんですよね」
「上手くいけば高畑先生に手料理振る舞えるようになるぞ」
「それは高畑先生も喜びそうですけど……」
何故か勝手に盛り上がる横島を明日菜は少し困ったように見つめていた。