平和な日常~冬~3

そして日付が変わった頃になると横島宅では、とうとうタマモが眠ってしまっていた。

サンタクロースに会いたいと頑張っていたが、早寝早起きが習慣になっているタマモでは頑張った方だろう。

ちなみに図書館探険部の活動にもタマモは相変わらず参加しているが、そちらも未だに徹夜は出来ていない。

まあ年齢的に考えると仕方ないのだろうが。


「クリスマスも終わりね」

眠ってしまったタマモを布団に運んでリビングに戻った横島だが、リビングでは少女達が今年のクリスマスも終わりだと少し感慨深げに話していた。

欧米などではクリスマスは25日が本番で終わった後もしばらく余韻に浸る国なんかもあるようだが、日本だと24日が盛り上がった後はすぐに年末の空気に変わる。

まあこれには日本では宗教としてのクリスマスではなくイベント化してるので当然だとも言えるが。


「そう言えばマスター年末年始の予定は?」

「今のところ考えてないなぁ、来月の4日にやるあやかちゃん家のパーティーには行くけど」

ふとテレビをつけてみると有名アーティストのクリスマスライブが放送されていた。

せっかくのクリスマスなのに横島と友人達の恋愛模様が進展しなかったことを密かに残念に思っていたハルナは、何か面白い話でもないかと横島に年末年始の予定を尋ねる。

彼女の場合は友人を心配する気持ちと他人の恋愛を楽しむ野次馬的な心境の両方あるようだが。


「雪広家のパーティーは私達も正式に招待されてますからね」

そんなハルナの思いつきにより話は年末年始の予定になるが、横島の予定は今のところ雪広家の年始パーティーに行くくらいだった。

正直横島は場違いだからと断ろうかとも考えていたが、あやかに頼まれる形で参加することにしている。

まあ横島の現在の立場からすると断れない誘いではあったが、他にも2-Aのクラスメートは麻帆良祭での活躍なんかもあり正式に招待されていた。

ちなみにあやかに個別に参加を頼まれたのは横島の他に超鈴音や夕映とのどかも同じである。

超は麻帆良祭以降何かと協力していることもあるし、麻帆良カレーや納涼祭絡みで評価を上げてる夕映とのどかは横島ほどではないが注目度は高く、雪広家としては是非参加して欲しいようだった。


「ふーん、旅行とか行かないの?」

「ちょっと考えはしたんだけどタマモが旅行はみんなで行きたいって言うからさ」

横島の語る年末年始の予定に面白みがなかったからか少しつまらなそうなハルナは、旅行とか行かないのかと尋ねるも旅行に関してはタマモがみんなで行きたいと譲らなかったので没になっている。

横島としてはタマモに雪景色でも見せに旅行でもと考えたのだが、タマモにとっての旅行というかお出かけはみんなで行きたいらしい。


「ならみんなで旅行に行こうよ! 冬休みの最後辺りにさ」

「賛成!」

「あんた達お金大丈夫なの?」

「お年玉入るし大丈夫だって!!」

ハルナが旅行の話を持ち出した後の流れはいつものようにあっという間だった。

美砂達が旅行に乗り気になると明日菜が費用の心配をするも止めることはなく話はどんどん進んでいく。

実のところ旅行に行くメンバーで金銭的に問題になりそうなのは美砂達とハルナくらいであり、明日菜を含めた木乃香達は横島の店でのバイトで意外とお金を持ってるしあやかや千鶴や刀子に関しては言うまでもないだろう。

結局はなし崩し的に年明けの旅行が決まった。





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