平和な日常~冬~3
そのまま楽しく賑やかな時間はあっという間に過ぎて行く。
クリスマスパーティーのはずがアルバムを見ながら話をしていたことでどちらかと言えば忘年会のような雰囲気になるが、実のところ今日集まったメンバーは明日から順次帰省する予定なのでこうして騒げるのは今日が今年は最後になる。
年末年始を通して残っているのは横島達を除くと明日菜と高畑しかいない。
結果として忘年会のような意味合いもあるようだった。
「結局麻帆良に残るのはアスナだけか~」
「私は帰る場所がないだけだって」
いろいろ脱線しながらもアルバムを見終わる頃には楽しかったクリスマスが終わりに近づき、明日からはみんなバラバラで帰省だとの話になる。
少女達の中で一人だけ残る明日菜に少女達は少し気まずいような微妙な様子になるが、当の明日菜は慣れたことであり気にしてる様子はない。
まあ今年の場合は横島達が居て年末もしばらく店をあける予定なのであまり暇ではないのだ。
「私と千鶴さんや桜子さんの場合は麻帆良に自宅があるので帰省という感じではありませんわ」
加えて少女達の中でも実家の場所より帰省する期間はだいぶ違っている。
特に中心部から少し離れてはいるが同じ麻帆良市内に自宅がある少女は日頃からちょくちょく実家に帰っているので帰省期間が短い。
麻帆良を支える雪広家や那波家は本邸が麻帆良にあるし、一般人ながら麻帆良に実家のある桜子も正直帰省という印象は抱いてなかった。
「一番遠いのは木乃香と葛葉先生ですね」
「関西だと土日で日帰りも難しいから大変よね」
ちなみに一番実家が遠いのは京都出身の木乃香と刀子らしい。
他の少女達はみんな関東近郊出身であり東京はもちろんだが埼玉や神奈川なんかである。
麻帆良学園は市外の生徒が多いが、流石に中等部だと実家から距離的に近い生徒が大半のようだ。
「そう言えば木乃香って初等部からいたよね。 寂しくなかったの?」
「ウチはお爺ちゃんが居たから来たんよ。 実家は周りが山ばっかりやから学校に通うのが難しかったんや」
中学生の若さで親元を離れて寮生活を送るのはかなり勇気がいる決断だった。
ここにいる少女達はそんな経験がある分だけ一般的な中学生よりは自立しているのかもしれない。
ただそんな少女達から見ても小学生の時から親元を離れていた木乃香は次元が違うように感じる。
思わず寂しくなかったかと尋ねてしまうのどかだが、よくよく考えてみると今年に入っての木乃香の活躍の下地は元からあったのだろうとおもう。
しかし木乃香の話す麻帆良に来た訳を聞いた横島は、木乃香も二十年前の戦争の隠れた犠牲者だと見えた。
恐らくは木乃香のような隠れた犠牲者は東西の魔法協会の双方に多いだろうし、近右衛門達の目指す理想がどれだけ大変かは横島にもよく理解できる。
(なんとかしてやりたいがな)
横島自身は近右衛門や木乃香の為にもなんとかしてやりたいと思うが、人の積み重ねた時間の重さだけは横島にも土偶羅にもどうしようもないのだ。
結局今はこの先もまたこうしてみんなで騒げる幸せが続いて欲しいと願うしか出来なかった。
クリスマスパーティーのはずがアルバムを見ながら話をしていたことでどちらかと言えば忘年会のような雰囲気になるが、実のところ今日集まったメンバーは明日から順次帰省する予定なのでこうして騒げるのは今日が今年は最後になる。
年末年始を通して残っているのは横島達を除くと明日菜と高畑しかいない。
結果として忘年会のような意味合いもあるようだった。
「結局麻帆良に残るのはアスナだけか~」
「私は帰る場所がないだけだって」
いろいろ脱線しながらもアルバムを見終わる頃には楽しかったクリスマスが終わりに近づき、明日からはみんなバラバラで帰省だとの話になる。
少女達の中で一人だけ残る明日菜に少女達は少し気まずいような微妙な様子になるが、当の明日菜は慣れたことであり気にしてる様子はない。
まあ今年の場合は横島達が居て年末もしばらく店をあける予定なのであまり暇ではないのだ。
「私と千鶴さんや桜子さんの場合は麻帆良に自宅があるので帰省という感じではありませんわ」
加えて少女達の中でも実家の場所より帰省する期間はだいぶ違っている。
特に中心部から少し離れてはいるが同じ麻帆良市内に自宅がある少女は日頃からちょくちょく実家に帰っているので帰省期間が短い。
麻帆良を支える雪広家や那波家は本邸が麻帆良にあるし、一般人ながら麻帆良に実家のある桜子も正直帰省という印象は抱いてなかった。
「一番遠いのは木乃香と葛葉先生ですね」
「関西だと土日で日帰りも難しいから大変よね」
ちなみに一番実家が遠いのは京都出身の木乃香と刀子らしい。
他の少女達はみんな関東近郊出身であり東京はもちろんだが埼玉や神奈川なんかである。
麻帆良学園は市外の生徒が多いが、流石に中等部だと実家から距離的に近い生徒が大半のようだ。
「そう言えば木乃香って初等部からいたよね。 寂しくなかったの?」
「ウチはお爺ちゃんが居たから来たんよ。 実家は周りが山ばっかりやから学校に通うのが難しかったんや」
中学生の若さで親元を離れて寮生活を送るのはかなり勇気がいる決断だった。
ここにいる少女達はそんな経験がある分だけ一般的な中学生よりは自立しているのかもしれない。
ただそんな少女達から見ても小学生の時から親元を離れていた木乃香は次元が違うように感じる。
思わず寂しくなかったかと尋ねてしまうのどかだが、よくよく考えてみると今年に入っての木乃香の活躍の下地は元からあったのだろうとおもう。
しかし木乃香の話す麻帆良に来た訳を聞いた横島は、木乃香も二十年前の戦争の隠れた犠牲者だと見えた。
恐らくは木乃香のような隠れた犠牲者は東西の魔法協会の双方に多いだろうし、近右衛門達の目指す理想がどれだけ大変かは横島にもよく理解できる。
(なんとかしてやりたいがな)
横島自身は近右衛門や木乃香の為にもなんとかしてやりたいと思うが、人の積み重ねた時間の重さだけは横島にも土偶羅にもどうしようもないのだ。
結局今はこの先もまたこうしてみんなで騒げる幸せが続いて欲しいと願うしか出来なかった。