平和な日常~冬~3

ケーキを食べて食事が一段落すると少女達は更におしゃべりの方にシフトしていく。


「そうだ、みんなに俺からクリスマスプレゼント用意したんだ」

そんな中で横島は木乃香達に手伝って貰いながら食べ終えた皿を洗った後で、寝室から一つの紙袋を持って来る。

その中には長さ二十センチほどで幅が数センチほどの綺麗にラッピングされたプレゼントがあり、人数分取り出すとみんなに手渡していく。


「僕にもあるのかい?」

横島の性格をよく知ってる少女達は残念ながらプレゼント自体はあまり驚かなかったが、一番驚いたのは横島が高畑にまでプレゼントをあげたことだろう。

これには貰った本人である高畑も滅多に見せないほど不思議そうな表情をしてしまった。


「たいしたもんじゃないですから。 いや~、本当はもっと気の利いた物とか考えたんっすけど、あんまり値が張ると怒ら……じゃなくて心配されますから」

少女達がプレゼント自体に驚いてくれなかったことは少し残念な横島だが、みんなが受け取ってくれただけでもいいとも考えている。

正直今回のプレゼントは高すぎても怒られてしまうので本当に悩んだのだ。

しかも趣味嗜好の違う女性と女の子達を相手に差別することなくプレゼントをするとなると、最早横島ではどうしようもなかった。


「わたしたちもぷれぜんとあるんだよ!」

横島が渡したプレゼントは純粋に喜ぶ者も居れば心配そうに見つめる者もいる。

また横島が見栄を張ったのかと心配する者もそれなりに存在した。

そしてタマモは周りの少女達を見渡し、周りのみんなが頷くのを待って自分達もプレゼントを用意してると自信満々で口にする。


「タマモもみんなに用意してたのか? いつのまに……」

どうやらみんなが横島のプレゼントを開ける前にタマモもプレゼントを渡したいらしく、タマモはさっそくさよと一緒に使ってる部屋にプレゼントを取りにいく。

少女達が横島のプレゼントを半ば予想してたいたことと違い、横島はタマモが自分に隠してプレゼントを用意していたことを全く予想してなかったらしい。

そもそもタマモは夜の数時間以外はずっと横島と一緒なので驚くのも無理はないが。


「はい、ぷれぜんとだよ!」

「……んっ??」

ワクワクドキドキと表情に現れたタマモが戻るとこれまた紙袋を一つ持って来るが、横島の時と違ったのは中身を渡されたのは横島一人だということだった。

今この瞬間まで横島は、タマモは自分ではなく木乃香達みんなにプレゼントを用意したとばかり思っていたのだ。

しかし中に入っていたのは横島へのプレゼントが二つ。


「こっちはわたしとさよちゃんから、こっちはこのかちゃんたちみんなからだよ」

それは横島の渡したプレゼントと違い大きな物が二つで、一つはタマモとさよで用意した物でもう一つは木乃香達に美砂達にあやかと千鶴と刀子がお金を出し合ったプレゼントらしい。


「……って俺へのプレゼント!? 本当いつのまに……」

プレゼントに驚かなかった少女達とは対称的に、横島は見てる方がビックリするほど驚き戸惑ってしまう。

なまじ人より優れた能力や感覚があるだけに、横島としてはタマモが隠し事をしていたことすら信じられない。

思わず人形のフリをするハニワ兵に一瞬だけ視線を向ける横島だが、ハニワ兵は僅かに冷や汗を流すま当然ながら人形のフリを続けたまま無反応である。



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